小田原の曽我梅林で絵を描きました(その2)

吾妻山公園に行った3日後に、小田原の曽我梅林に行きました。
昨年も行った場所です(記事はこちら)。

ここは大規模な梅林で、シーズン中には約3万5千本の梅の花が一斉に咲き誇ります。

また、2月4日~3月5日には、「小田原梅まつり」というイベントも行われます。
流鏑馬(やぶさめ)や獅子舞の踊りなどが披露され、多くの人で賑わうそうです。

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当日は少し寒かったですが、良い天気でした。

東海道線の国府津駅で御殿場線に乗り換えます。

御殿場線
御殿場線

会場の最寄りの下曽我(しもそが)駅に到着し、大勢の観光客に混じって僕も下車します。
普段ならもっと閑散としているはずなのですが。

駅を出たところには野外ステージが設けられ、ギターを持ったミュージシャンが「岬めぐり」を歌っていました。

僕は会場の一つである別所梅林に足を運びました。
ここもたくさんの人出です。

この日は富士山がくっきりと見えていましたよ。

梅と富士山
梅と富士山
梅の花
梅の花
しだれ梅
しだれ梅
しだれ梅のアップ
しだれ梅のアップ

道路に沿って売店が並んでおり、ミカンを始めとする柑橘類や梅を使った商品が売られています。

さて、ここに来たのは梅の絵を描くためです。
この近くで描ける場所を探しましたが、人が多くて良い場所が見当たりません。

僕は会場の中を流れる小川に沿って歩きました。
川沿いには梅の木が植えられており、さながらトンネルのようです。
(一度、したたかに頭を枝にぶつけてしまいました)

小川に沿って歩く
小川に沿って歩く

小川の奥まったところまで歩くと、周囲には人が少なくなりました。
梅の花はあまり見えませんが、ここならいいでしょう。

僕はイーゼルを立てて、午前11時頃から描き始めました。

ここで描きました
ここで描きました

ただ、少ないと言えども、ときどき観光客が僕の横を通り抜けていきます。
僕は邪魔になっていたかも…ごめんなさい。

会場内には、スピッツの曲を琴でアレンジしたBGMが流れていました。
「スカーレット」「ロビンソン」「空も飛べるはず」「渚」「夢じゃない」

うーん、懐かしいです。
流行したのは、もう20年近く前になるんですね…。

日が傾くと、風が冷たくなってきました。
もう少し早くから描き始めれば良かったと思いながら、ホカロンで手を温めて描き続けます。

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午後4時半頃に絵は完成しました。
春ののどかな感じが伝わっているでしょうか。

完成した絵
完成した絵

絵には観光客も入れてみましたが、やはり人物は難しいです。
入れるか入れないか、どっちのほうがいいのかな。

僕は荷物を片付け、その場をあとにします。
閉店間際の販売所に入り、ポンカンを一袋買いました。

販売所
販売所

畑の中を歩いて駅まで戻りました。

帰り道
帰り道

Keisuke

吾妻山公園で絵を描きました(その2)

浄智寺で絵を描いた次の日は、二宮の吾妻山(あづまやま)公園に行きました。

ここは昨年の11月にも訪れましたが(記事はこちら)、1月から2月にかけては菜の花が見頃と知ったので、また行きたくなったのです。

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東海道線に乗り、二宮駅で下車します。
この日は天気も良く、春の陽気でした。

二宮駅
二宮駅

公園の入り口に到着し、300段ある階段を登りました。

入り口の階段
入り口の階段
途中の展望台から
途中の展望台から

階段の先には、木々の中の登り坂が待っています。
(途中でお腹が痛くなったのでトイレへ…)

坂道を登る
坂道を登る
スイセンの花
スイセンの花

そこからさらに登ると、山頂の芝生広場に到着しました。

芝生広場
芝生広場

目に飛び込んで来たのは鮮やかな黄色!
そう、菜の花が一面に咲いていたのです。

菜の花
菜の花
菜の花のアップ
菜の花のアップ

ここには展望台があり、相模湾と小田原周辺の市街地が見下ろせます。

遠くには箱根や丹沢の山々が横たわり、その奥には富士山がそびえ立っています。
くっきりと見えているのは、空気が澄んでいるからでしょうか。

展望台から
展望台から

芝生広場は、多くの人たちで賑わっていました。
彼らは花の写真を撮ったり、芝生に横になったりしています。

僕は周囲を歩き回り、絵を描けそうな場所を探しました。

ここはやはり富士山を描こうか。
でも、菜の花と富士山という組み合わせは、絵はがきのようで面白みがないなぁ…。

そう考えた僕は、あえて富士山を描かず、菜の花と人々が入るような構図にすることに決めました。

僕は展望台の壁際に座り、イーゼルを立てて午前11時頃から描き始めました。

まず、僕は人々の姿を別の紙に簡単にスケッチしました。
あとで絵に入れようと思ったからです。

それから青空、山々、海…と遠くから順に描いていきました。

途中経過
途中経過

ところで、描いている途中、やたら頭から離れない曲がありました。
これです。

TVアニメ『けものフレンズ』主題歌「ようこそジャパリパークへ / どうぶつビスケッツ×PPP」

このアニメの本編は見ていないのですが、強く印象に残るんですよね。

描き進めていくと、地元のおばちゃんが話しかけてきました。

「素敵な絵ですね」

「ありがとうございます。ここは景色がいいですね」

「この公園からは、伊豆半島の初島や式根島が見えるんですよ。
 空気の澄んだ日には、大島まで見えるんです。今日は見えないけどね」

おばちゃんは、遠くの島影を指差して教えてくれました。

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絵は午後4時頃に完成しました。
スケッチを基にした人物も入れています。

春の穏やかな日差しが感じられるでしょうか。

完成した絵
完成した絵

夕日に照らされた菜の花も綺麗でしたね~。

夕焼けと菜の花
夕焼けと菜の花

Keisuke

北鎌倉の浄智寺で絵を描きました(その2)

2月の中旬に、北鎌倉の浄智寺(じょうちじ)で絵を描いてきました。

ここ足を運ぶのは、およそ一年ぶりです(前回の記事はこちら)。
雰囲気が良いので何度でも行きたくなりますね。

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北鎌倉駅で下車し、しばらく歩いて浄智寺の前に到着。

浄智寺の入り口
浄智寺の入り口

雰囲気のある山門をくぐり、石の階段を登ります。

その先にある受付で、僕は尋ねました。

「すみません、境内で三脚(イーゼル)を立てて、絵を描いてもいいですか?」

「いいですよ。ただし、他のお客さんの迷惑にならないよう、お願いします」

許可を貰えたので、一通り境内を回って描くのに適した場所を探しました。
ここはこぢんまりとした寺のため、すぐに見て回ることができるのです。

書院
書院
ロウバイの花
ロウバイの花
梅の木
梅の木
梅の花
梅の花

山門を入った先には、ビャクシン(柏槇)と呼ばれる大木が三本あります。

いずれも鎌倉市の天然記念物になっていて、どれも幹がねじれたような形をしています。
この木は大きくなると、自然とそうなってしまうのだとか。

ビャクシンの木
ビャクシンの木

僕は、その中から一本を選んで描くことにしました。
ベンチに腰を下ろし、イーゼルを立てて午前11時頃からスタートです。

木の大きさを出すため、普段はあまり描かない縦の構図にしました。

途中経過
途中経過

ところが、日陰でじっとしていると徐々に寒くなってきました。
日向を歩いていると暖かいほどだったのですが。

ホッカイロも用意していたのですが、一つだけでは寒さはしのげませんね。
それでもあるのとないのとでは大違いです。

この日は平日で、観光客はちらほら。
木の下のベンチで休んでいるおじさんがいたので、その姿も描き加えました。

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絵は午後3時半頃に完成しました。
おじさんが大木の下で一休みしている場面です。

完成した絵
完成した絵

僕は道具を片付けてから受付に行き、今日のお礼を言いました。

「こんな絵を描いたんです」

僕は受付の女性に絵を広げて見せました。

「お上手ですね!先生なんですか?」

「いえ、今は学校に通っているんです」

僕は先生だと思われて慌ててしまいましたが、少し嬉しかったです。
将来的には、絵を教える仕事に携わるのもいいかもしれませんね。

最後に、もう一度境内を一回りして、閉門時間の午後4時半前に帰りました。

寺の本尊
寺の本尊

Keisuke

セツ展・2017(その2)

前回の続きです。

僕はセツ展に向けて、人物画を1点と風景画を3点持っていくことにしました。
一度に持っていけないので、二日に分けて搬入です。

セツの一室のアトリエは、作品置き場になっていました。
そこには大量の絵が置かれ、この段階でも圧倒されてしまいます。

僕はそこで梱包を解き、職員の指示通り絵に名前とタイトルを付け、出品票と一緒に提出しました。

ところが、僕は額の裏に吊り下げ用の金具を付けたままでした。

他の作品を傷つけてしまうため、取り外すように言われましたが、ねじが馬鹿になっていて外すのに苦労しました。

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搬入の翌々日には、早くも入選者の発表が行われました。

ロビーには大きな紙が貼り出され、入選者の氏名と作品タイトルが公表されていました。

応募したのは150名程度で、入選したのが80名ほどだそうです。

発表の様子
発表の様子

ところが、僕の名前は何度探しても見当たりませんでした。

落 ち た !

最も可能性があると思っていたのは、Yさんを描いた絵でしたが、人物画が一点だけというのは厳しかったかもしれませんね…。

まあ、このような結果は事前に想定していました。

もともと風景画は選ばれにくいことを知っていたし、しかも写実的な表現となると入選は難しいと思います。

とはいえ、やはり多少はショックを受けました。

入選者に対して「うらやましい!」とも思ったりしましたが、それを言い出すときりがないので、やめておきます。

ですが、出したことは全く無駄だったとは思っていません。
むしろいい経験になったと思っています。

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というわけで、僕の絵は全て持ち帰ることになりました。
一度では無理なので、また二回に分けて搬出です。

その際に、女性職員のM先生と話をする機会がありました。

「木庭君(僕のこと)の絵は、一点だけ最終選考まで残っていたんですよ」

「えっ、どの絵ですか?」と、僕は驚きました。

「『秋の木漏れ日』っていうタイトルの絵です」

僕の風景画は早々と落とされたと思っていたので、その事実は意外でした。

「ただ、今回木庭君が出してくれたのは、全部秋の風景でしょう。
 セツ展は二月に開催されるから、時期が合わなかったんですよ」

なるほど…そこまで考えていませんでした。
次からは、開催時期まで頭に入れておかないといけませんね。

また、先生はYさんの絵を「ゴッホの『タンギー爺さん』みたい」と言ってくれました。
(後ろに浮世絵が並んでいる絵です)

この絵はYさん本人にも見せたかったのですが、彼は早々と帰ってしまったので、見せる機会がありませんでした…。

「今回は残念だったけれど、木庭君が好きな絵を描くのが一番いいですよ。
 結局、自分の描きたい絵があるというのは強いから」

M先生はそうフォローしてくれました。

「外で個展をやってみたらどうかしら。セツとはまた別の評価が得られるかもしれないし」

「そうですね。ありがとうございます」

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長くなってしまいましたが、これがセツ展に僕の絵が展示されない経緯です。

あまり無責任なことは言えませんが、おそらくセツ展には素晴らしい絵がたくさんあるはずです。

ぜひ足を運んでみてください。
そのうち、また個展も開いてみたいですね。

Keisuke

セツ展・2017(その1)

2月14日(火)~19日(日)の期間、銀座アートホールにて「セツ展」が行われます。

セツ展のDM
セツ展のDM

これはセツを代表する学校展です。
セツが今年で閉校になってしまうため、これが最後の機会になります。

ところが、残念ながら僕の絵は展示されません。

これには、以下のような経緯があるのです。

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実は、セツ展では全生徒の作品ではなく、選考を経て選ばれた作品のみが展示されるのです。

その基準の一つとなるのが、セツ風であるかどうかということ。

「セツ風とは何か?」と説明するのは難しいのですが、もともとこの学校は自由さ+上品さを標榜しているため、それが基準の一つになっています。

そして、もう一つが人物画であること。

風景画や抽象画は、よっぽどいい絵ではないと入選しないことを、事前に聞かされていました。

でも、僕は風景画を描くのが好きなのです。
人物画は、あまり得意ではありません。

困った僕は、一点だけ人物画を描き、他は風景画を出そうと考えました。

審査が行われたのは、昨年の12月。
出せるのは一人7点まででした。

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人物画は、セツの生徒であるYさんの絵を描くことにしました。
Yさんは、以前に映画の看板を描いていた大ベテランの人です。

年齢は78歳ですが、現在でもセツや四谷デッサン会で絵を描いています。
何歳になっても上達しようという意気込みには、頭が下がる思いです。

せっかくなので、今回は全判サイズの紙に挑むことにしました。

普段、人物水彩や風景画では四六判半切の紙を使っているのですが、全判はそれよりも面積が倍になります。

これは、広げた新聞紙を縦に二つ並べたのとほぼ同じ大きさです。

それをB1の木製パネルに、水張りすることにしました。

水張りとは、簡単に言うと水彩画で画用紙を波立たせないように、あらかじめパネルにぴったり固定する方法です。
(詳しい説明は、こちらのサイトを参照してください)

事前に小さな紙で練習してから、いよいよ本番!

紙が大きいので、お風呂場で作業することにしました。

浴槽に水をため、紙をその中に漬けて上からシャワーを掛けます。
それを何度か繰り返してから、パネルにテープで固定しました。

失敗しないか不安でしたが、何とか上手くできました。

パネルに水張りした紙
パネルに水張りした紙

僕はこれに、以前に群像デッサンの授業で描いた、Yさんの絵を基にして描き始めました。

下絵
下絵

シックな色合いで重厚感を出そうと思って、濃い色をどんどん重ねていきました。

途中経過
途中経過

完成した絵がこちらです。
タイトルは「78歳の画学生」です。

完成作品
完成作品

うーん、色味が沈んでしまったのは良くなかったかも…。

もっとYさん本人の雰囲気を出したかったのですが、あまり上手くいきませんでした。

描いているときも、あまり楽しくなかったです。

それは、そこに自分の作為が入り込むからかもしれません。

風景画なら、風景が自分の絵を引っ張ってくれることがあります。
見たままを素直に描くことで、絵ができあがります。

それに対して、スケッチを基にした人物画は、「こうしてやろう」という意図や作為が入り込むため、かえって描くのが苦しくなるのかもしれません。

また、今回初めて全判に挑戦したので、その大きさにまだ慣れていなかったのです。

それでも描いたことには変わりはないと思って、自信はなかったのですが、この絵を出すことにしました。

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それに加えて、風景画を3点持っていくことにしました。

左から「金色のイチョウ」「秋の木漏れ日」「赤く色づいたカエデ」というタイトルです。

秋シリーズで統一してみました。

秋シリーズ
秋シリーズ

風景画はもっとたくさん描いたのですが、持って行けるのはこれが限界でした。

審査には作品の額装か水張りが必要で、持ち運びが非常に重くなるためです。

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ここまで書けば、もうおわかりだと思われますが、僕は審査に落ちてしまったのです。

長くなったので続きます

Keisuke