二日目は盛岡市内の観光です。
家族や親戚と一緒に観光してもよかったのですが、僕は一人で回ることにしました。
どこかで絵が描けないかと思ったからです。
早起きして(実際にはよく眠れなかったのもありますが)、6:30に朝食をとり、7:00頃にホテルを出ました。
商店街を抜けて、盛岡城跡公園(岩手公園)の方向に向かいました。
盛岡城は戦国時代に工事が始められ、江戸時代の初めに完成したそうです。
残念ながら、明治時代に当時の施設はほとんど壊されてしまいましたが、のちに公園として整備されました。
まずは公園の近くの桜山神社へ。
御祭神は盛岡の領主である南部家代々の人たちだそうです。
この神社の裏手には、「烏帽子(えぼし)岩」と呼ばれる巨大な岩があります。
盛岡城を造るときに出てきた岩で、掘り出された後には、良い兆しのシンボルとして信仰されたそうです。
なんじゃこりゃ!でかっ!
人の背丈の数倍以上あったので、ただの岩なのに有無を言わせぬ迫力がありました。
若干置きかたが不安定に見えたので、そのうち転がり落ちてこないのだろうか、と少し心配になりましたが…。
それから盛岡城跡公園の中へ。
園内に入ってから右手に進むと、そこには石川啄木の句碑がありました。
「不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて空に吸はれし十五の心」
(※不来方とは、盛岡の昔の呼び名です。)
おお、これは教科書で読んだことがある!
石川啄木はまさしくここで寝転んでいたのか…と思うと、急に彼が身近なものに感じられました。
それから橋を渡って、本丸があった方へ向かいます。
中央には、南部中尉(南部藩主の末裔だそうです)の銅像…
…の「台座」だけがドンと置かれていました。
ここにはもともと、台座の上に馬に乗った南部中尉の銅像が置かれていたのですが、太平洋戦争時に、軍事資材として供出されてしまったそうです。
そのため、今は台座だけが残っています。
それから、一段高くなっていた本丸の階段から降りて、その周囲をぐるっと回ってみました。
石垣の石は、一つ一つが一般的なそれよりも大きな気がします。
神社の「烏帽子岩」もそうですが、この地方では巨石がよく出てくるのでしょうか。
石垣には、ところどころにギザギザに鑿で削ったような跡がありました。
おそらく、摩擦力を高めて石がずれないような目的があるのだと思います。
しかしそれらをよく眺めていると、大きな恐竜の歯型の跡にも見えてきたので、
何だかかっこいいな、と思いました。
(これは築城された当時につけられたものなのでしょうか?)
公園を抜けると、そこには川が流れていました。
盛岡市内には、主に三つの川が流れており、それぞれ北上川、雫石川、中津川と呼ばれています。
それら三本の川は市内で合流し、北上川となって石巻までつながっています。
(正確には石巻の手前で分岐していますが…)
僕はその中の一本である中津川を、上流方向に沿って歩いてみました。
この流域には、古い建物が多く残されていると聞いていたからです。
「上の橋」には木で作られた古い欄干が残されており、擬宝珠(ぎぼし)が取り付けられています。
その橋を渡って今度は下流方向へ向かいました。
途中にはレンガ造りの旧岩手銀行がありました。
この建物は1911年に着工され、三年の年月をかけて造られたものであり、国の有形文化財にも指定されています。
設計者は東京駅を造った人と同じなのだとか(言われてみるとそんな気もします)。
その近くにはガス灯がありました。
説明文には「最初に灯されたのは横浜だが、最初に開発したのは盛岡だ」と書かれていました。
よっぽどこのことをアピールしたいのでしょうか。
それから「下の橋」を渡って、また上流方向へ。
川沿いを一周して、また盛岡城跡公園に戻ってきました。
この公園の堀では、夏場に蛍が見られるそうです。
堀沿いに歩いたところには噴水もあり、亀が日向ぼっこをしていました。
とても落ち着く場所だったので、石に腰掛けてスケッチをすることにしました。
関東に比べると、木々の緑がまだ若い気がします。
緑というよりも黄緑に近いという感じでしょうか。
少し前までは、この辺り一体も冬景色だったのかもしれません。
堀にはたくさんの生き物たちが集まっていました。
水の中には亀や鯉がいて、水面にはカルガモが遊びに来ていました。
しかし、それらを絵の中にうまく入れることができませんでした。
カルガモを単独でスケッチをしたので、ここに置いておきます。
絵を描いていると、偶然にも市内観光をしていた家族と親戚たちに出会いました。
彼らはびっくりした様子でしたが、僕は「そのうち会うんじゃないかな~」と思っていました(笑)
また、何人かの現地の人が話しかけてくれて、絵の感想を言ってくれました。
おそらく、絵を描いている人の中には「集中が切れる」という理由で、話しかけられるのを嫌う人がいるかもしれません。
でも、僕はスケッチしながら見ず知らずの人と話すことが、実はひそかな楽しみなのです。
9:00頃から描き始めて、休憩を含めて四時間ほど描いていました。
でも、順調だったわけではなく、水面の表現がすごく難しかったです。
漣が立ったような感じを表現したかったのですが、なかなか思うようにいきませんでした。
ペンで表現するのは、少し難しいのかもしれません。
色もつけようと考えていたのですが、絵の具一式を持っていくと荷物が重くなってしまうため、当日は持ってきていませんでした。
その代わりに持ってきていた12色の色鉛筆で、ささっとだけ塗りました。
またそのうちに加筆したいです。
線画だけの絵が、どんどん溜まってしまいますが…。
13:00頃になると、さすがにお腹が空いてきたため、スケッチを切り上げて昼食をとることにしました。
盛岡駅の方向に向かうと、駅前の商店街ではお祭りが行われており、統一された着物を着たチームが音楽に合わせて踊っていました。
スケッチしているときに、公園の広場で練習している姿を見かけたので、「何の練習だろう?」と思っていたのですが、このためだったようです。
商店街を抜けて駅前に向かい、ぴょんぴょん舎という店に入りました。
あぁ^~心がぴょんぴょん(ry
僕はそこで盛岡の名産品である冷麺を食べました。
辛さには四段階ありましたが、あまり辛いと食べられなくなるので、少し用心して下から二つ目の「中辛」を頼みました。
出された料理の麺を一口食べてみると…
「う~ん、か・た・い!」
麺はチューブのように硬く、なかなか噛み切れませんでした。
トッピングは卵、キムチ、チャーシュー、きゅうり、スイカなどでした。
スイカは…この辛さに合っているのか合っていないのか、よくわかりません(笑)
中辛でも、思いのほか辛かったです。
スープも飲みたかったのですが、一口飲んだらむせてしまったので残してしまいました。
でも、全体的には美味しかったです。
それからお土産を買って帰宅しました。
今回、半日しか盛岡市内を観光できなかったので、また時間のあるときにゆっくりと回りたいです。
Keisuke