静物水彩の授業

セツ・モードセミナーでは、11月10日に秋休みが終わり、僕は3Q生から4Q生に進級しました。

Qというのは学年のことで、入学した時点では1Q生です。

それから半年に一度Qが上がり、4Q生で卒業になります。
つまり、卒業までに残されている時間は、あと半年ほどです。

1Q生だった生徒たちも進級し、僕のいる上級生のクラスと合流になりました。
そのため、校舎内は常に大勢の人でごった返しています。

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さて、4Q生になって、さっそく静物水彩の授業が行われました。

期間内にはセツの校舎が開放され、至るところに描くモチーフが置かれます。

この授業があるのは、一年に一度だけ。
しかも、昨年はサボってしまったため、参加するのはこれが初めてです。

期間は、金・土・日の三日間です。

金曜日と土曜日は、お昼から夜まで。
日曜日は、午前中から夕方まで校舎が開放されます。

ですが、11月の中旬に行われたこともあって、ちょうど紅葉の時期と重なっていたのです。

アトリエ内で描くよりも、晴れた日は外で描きたいなぁ….。

僕はそう思って、三日間のうち雨予報の土曜日にだけ、セツに来て描くことにしました。

ところが、金曜日の夕方にインフルエンザの予防注射を打ったところ、翌日に体調が悪くなってしまいました。

お腹を下して、体もだるくなっていたのです。

それでも、土曜日は原宿のギャラリーにも用事があったため、頑張って外出し、ギャラリーに寄ってからセツに向かいました。

セツの校舎
セツの校舎

校舎内には、一階のロビーから三部屋あるアトリエまで、至るところにモチーフが置かれていました。

花や植物、重ねられた本、石膏像、服、パン、バイオリンなど…。

すでに来ていた生徒たちは、好きなモチーフを選んで描き始めています。

僕は、最上階のアトリエの植物を描くことにしました。
(何という名前の花でしょうか?)

しかし、体がだるかったので、描き始めても絵に対して気持ちが入りませんでした。

早く帰りたいなぁ…と思って、結局、一時間ほどで終了です。

完成した絵
完成した絵

できあがった絵は、やっぱりいまいち!
そりゃ、一時間じゃ納得のいく絵は無理か…。

それでも描けたことには変わりないと思って、この日は帰りました。

ちなみに、翌日には体調が良くなったので、外で絵を描きました。

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後日、校舎のアトリエの一室で、合評会が行われました。

いつものように、壁一面に生徒たちの作品が貼り出されます。
2Q生の中にも、上手な人はたくさんいました。

今回、講評したのはN先生でした。

「今回は一点だけ?あなたなら、もっと描けるはずのに…」

「すみません、疲れていたんですよ」

「背景の黒い線が、味があるけど多いのが気になりますね。特に、この窓の線。
 別に、見たとおりに描かなくてもいいんですよ。
 けど、まあいいわ。一点だけどAです」

僕は酷評されることも覚悟していたので、ほっと胸をなで下ろしました。

Aの評価をもらった作品は、額に入れられてロビーに飾られます。
本当は、あまり胸を張って見せられる作品ではないのですが…。

まあ、言い訳かもしれませんが、僕の本職は風景画ということで、ひとつお願いします。

Keisuke

セツハル&ライブペイント!(その2)

これも今更になってしまいますが、以前にセツで行われた展覧会「セツハル」の続きの話をします。

期間中はライブペイントが行われ、グループで行う日と個人で行う日とがあります。

僕がもともと参加する予定だったのは、グループで行う日だけでした。

しかし、実際にやってみると「すごく楽しい!」と感じて、個人でも描きたくなってきたのです。

そのため、当初の予定にはなかったのですが、個人でも参加することにしました。

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グループでライブペイントを行った次の日のこと。

セツハルの開催時間に合わせて、午前11時頃にセツの中庭を訪れました。

僕はこの日、中庭の風景を描こうと思っていたのです。

とはいえ、来場した一般の人も中庭で休憩し、おしゃべりをしています。
なるべく他の人の邪魔にならない場所で、なおかつ良い構図を探すのは難しかったです。

結局、中庭への出口が見える場所で描くことにしました。

ここなら他人の邪魔にならないし、バラの木のアーチをうまく絵に収めることができるからです。

バラの手前には白いプラスチックのテーブルが置かれ、鉢の上にはピンクのチューリップが咲いています。

描いた場所
描いた場所

僕はいつも風景写生をするときのように、イーゼルを立て、画板に紙をクリップで止め、折りたたみ椅子に座って描き始めました。

ライブペイントというと、音楽をドンチキドンチキかけながら、多人数かつ短時間で作品を仕上げる、というのが一般的かもしれません。

僕のやっていることは、普段と変わらない風景写生のようです。

でも、描いているところを見せるという意味では、ライブペイントに違いありません。

ただ、見せると言っても、後ろに回り込まないと見えない位置で描いていました。

一応、「ライブペイント中 話しかけても大丈夫です」とノートに書き、切り株に置いておいたのですが…。
果たして、効果があったかどうかわかりませんね。

しばらくすると、DさんとYさんが中庭に現れました。
彼らも今日は個人でライブペイントを行う予定だそうです。

描いているときに、僕に話しかけてくれる人は少なかったのですが、セツの同級生だったTさんが、僕の絵を褒めてくれました。

「アトリエに飾ってある『光』の絵はいいね!
 抽象的で、今までにない新しい感じがする」

彼女は切り株の上のノートを見ると、こんなことを言っていました。

「こんなこと書いちゃダメだよ!
 私みたいに、用もないのにずっと話しかける人もいるもん」

まあ、あまり気にしないことにします。

セツの校舎は白い外壁でしたが、なんだか寂しいのでクリーム色にしました。
少しは暖かみが出せたかな。

少し日が傾いた午後4時半頃に、絵は完成しました。
はー、疲れた…でも、満足です。

描いた作品
描いた作品

Yさんは早々とライブペイントを終え、どこかに行ってしまっていました。

Dさんは僕と同じ頃に終わったので、完成した絵をアトリエの黒板に並べて貼ることにしました。

完成した作品
完成した作品

うーん、彼の作品は凄いなあ…。
独自の世界観があって、僕ではとても真似できません。

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最終日は搬出も兼ねて、午後からセツに行きました。

今までばたばたしていたので、この日はじっくりと他の人の作品や作品ファイルを見ることにしました。

コミックエッセイを描いている人の作品ファイルが、特に印象に残っています。

会場の様子
会場の様子

また、意外と僕の作品ファイルの評判が良かったです。

「木庭さん(僕のこと)の作品ファイル、やばいっすね。特に風景画は」

二十歳やそこらの生徒たちは、そう言っていました。

何がやばいのかと思ったら、「いい意味で」ということなのですね。
う~ん、微妙なジェネレーションギャップ。

僕は時間が合わず会えませんでしたが、この日は両親も来てくれました。
特に、父親は僕の今回の作品を気に入ってくれたようです。

僕の作品「光」
僕の作品「光」

また、ある大ベテランの生徒も、僕の作品(と、作品ファイル)を気に入ってくれました。

「君のが一番良かったよ。きっとプロになれる」

あ…ありがとうございます。

最後に、作品の搬出と校舎の片付けをしました。
大勢で作業をしたので、あっという間に元通りです。

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それと、僕の作品の感想を書いてくれた方々、本当にありがとうございました!

とても励みになります!
大事に読ませて頂いています。

Keisuke

見た通りに描いてはいけないの?

さて、これも今更の話ですが、特別講座の話をします。

セツでは、基本的に新入生(1Q生)は月・水・金に、上級生(2Qより上のクラス)は火・木・土に授業があります。

入学は半年に一回行われ、そこで在校生はクラスが上がっていきます。

しかし、セツは来年の四月で閉校してしまうため、去年の十月には新入生がいませんでした。

そのため、今年の四月まで月・水・金は授業が行われません。

その間、校舎を使わないのはもったいないため、先生が特別講座という形で授業をしてくれました。

僕はM先生とH先生の特別講座を受けることにしました。

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M先生の授業では、一回目はいろいろな技法を試し、二回目以降はプロのモデルさんを描く人物水彩の授業が行われました。

第二回目の授業で、僕は透明水彩とオイルパステル(クレヨンのようなもの)を持って行き、バチック技法で描いてみました。

これは、まず紙にオイルパステルで描き、その上から透明水彩で塗るという技法です。

オイルパステルは水を弾くので、独特な風合いが生まれます。

台に腰掛ける男性
台に腰掛ける男性

この講座でも、普段の人物水彩の授業と同じように、描き終えたあとに生徒たちの作品がアトリエに並べられ、M先生による簡単な合評が行われました。

僕はこのときにM先生から、こう言われました。

「見た通りに描いているので、もっと崩して描いてみたら?」

これは、M先生に今までに何度も言われていることです。
僕は評価に対してがっかりしながらも、それに反発する気持ちもありました。

そのあと先生に階段で会ったとき、こんなことを言いました。

「僕は見た通りにしか描けないんです。
 ただ、いつも同じことを言われるのが、申し訳なく思っていて…」

「別に、あなたがそう描きたいなら、それはそれで構わないよ。
 ただ、セツでは残念ながら評価されない」

僕は帰りの電車の中で、うんうんと唸りながら考えました。
そう、僕は少し腹を立てていたのです。

「なぜ、見た通りに描く写実的な表現がいけないのか?」

この疑問に対するはっきりした答えが得られないので、ずっとモヤモヤしていました。

でも、先生の言いたいことはわかったし、僕は極端な性格です。

じゃあ、わかった。次はモデルさんなんか見ずに、思い切り崩して描いてやる。

そう思って、次の回に描いたのがこちらです(結局、少し見てしまいましたが)。

椅子に座る黄色の女性
椅子に座る黄色の女性

ちょうどモデルさんが黄色い服を着ていたので、人物を黄色、背景を青紫色に塗ってみました。

これはちょうど補色の関係で、お互いに引き立てあうことができます。

また、透明水彩のにじみ技法を使いました。
これは、僕が好きな佐々木悟郎さんというイラストレーターが、よく使う技法です。

でも、描いているうちに「ああ、これはダメだ」と感じました。

モデルさんの特徴を捉えていないし、雰囲気が違いすぎる。
明らかに失敗作だと思ったのです。

本当は講評してほしくなかったのですが、仕方がないので出すことにしました。

「先日とはずいぶん描き方が変わったね。色は綺麗だし面白いけど、あともう一つ何かが足りない」

M先生は、こう言っていました。
う~ん、う~ん。あともう一つか…。一体なんだろう。

電車の中で、僕はまた悩みました。
その足りない部分を教えてくれたっていいのに…と思いながら。

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しばらくしたあと、今度はH先生の特別講座がありました。

そのときの内容は、以下のようなものでした。

「人物水彩でAを取れなかった作品を持ってきて、どこが良くなかったのか検討し手直しする」

そのため、僕はこの作品を数点の作品と一緒に持っていきました。

H先生によると、「もう少し人物に濃い色を乗せてみたら?」とのこと。

そこで僕は人物にオレンジ系統の色を足し、背景も濃くして輪郭線も強くしてみました。

すると、失敗作だと思っていた作品も、「なかなかいいじゃん!」と思えるようになってきたのです。

(後日、この作品は「光」というタイトルでセツハルに出品しました)

手直し後の作品
手直し後の作品

その途中で、今まで疑問だったことをH先生に聞きました。

「どうして人物水彩は見た通りに描いてはいけないのか、と思っているんです。
 長い間、それでモヤモヤしたものがあって。
 創業者の節先生が、それを嫌っていたというのもあると思うんですけど…」

H先生は、こう答えました。

「おそらくそれもあるんだろうけど、別に写実がいけないってわけじゃないよ。
デッサン力があれば、それはそれで一つの見せ方」

「木庭君が好きな佐々木悟郎さんくらいにデッサン力があれば、写実的な表現でも構わないよ」
 
「ただし、君はまだ勉強中で、それほどデッサン力があるわけでもないから、中途半端に見えてしまうんじゃないかな」

「今、下のギャラリーで飾っている人の作品も、写実的な表現でしょ?
 今日手直しした作品は、木庭君が写実から抜け出す第一歩になるかもね」

う~ん、なるほど。
なんとなく、モヤモヤがすっきりしたような気分です。

確かに、僕は中途半端だったのかもしれません。

多分、写実的な表現をしたいと思いながらも、その一方でそこから離れたいとも思っていたのではないでしょうか。

だから、針をどちらに振るかだと思います。

まだ試行錯誤をしている段階で、これから写実に向かうのか、抽象に向かうのか決まっていませんが。

Keisuke

セツハル&ライブペイント!(その1)

セツ・モードセミナーの展覧会「セツハル」の一環で、4月29日(金)にライブペイントが行われました。

これは有志の生徒たちが集まり、四人のグループで一枚の大きな絵を描くというものです。

描いている過程も観客に楽しんでもらおう、という趣旨があります。

僕はこのようなイベントは今までやったことはなかったのですが、好奇心に動かされて参加してみることにしました。

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ライブペイント当日は、晴天でも風が強かったです。

紙は中庭の棚に固定するつもりでしたが、思いきり風を受けて大きくたわんでしまいます。

そのため、横に寝かせて描くことにしました。

ビニールシートを床に敷き、その上に紙を置いて養生テープで固定します。
そのときに紙が破れてしまって、急遽テープで補修しました。

始まる時刻になると、会場の中庭には観客がちらほらと現れました。

その中には以前に通っていた専門学校の同級生もいて、差し入れをくれました。
ありがとう!

今回のライブペイントのテーマは「」と決まっていましたが、どういう絵を描くかはおのおの任せるということです。

そのため、ありきたりですが、僕は八重桜の絵を描くことにしました。

この桜は、以前にスケッチしたもの(また後日載せる予定です)を思い出しながら描いたものです。

紙の破れた跡が木の幹に見えてきたため、その部分を絵の具でなぞりながら描きました。

でも、テープが絵の具を弾いてしまうので、その箇所だけが目立ってしまいました。
せめて、テープを紙の裏側から固定すればよかったかも…。

あらかた桜を描き終えた後で、画面の左上から右下に向けて桜の花が散っている様子も描きました。
そうすれば、全体の統一感が取れるかなーと思って。

また、桜だけだと寂しいので、タンポポとヤマブキも描き加えました。

十二時半過ぎから始めて午後二時半頃まで、およそ二時間で仕上げました。

終わったことを告げると、観客の皆さんは拍手してくれました。
よかった~。

各自がてんでんばらばらに描いているので、「ちゃんとまとまるのかな?」と不安でしたが、結果としてなかなか面白い絵になりました。

ちゃんと人物が中心になっているし、絵としてのポイントができていると思います。

完成した作品
完成した作品

作品は乾かすために、しばらく地面に置いておきました。

でも、放置していたら、参加者とは別の生徒たちが片付けてくれました。
ありがとう…ごめんなさい。

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完成した作品は、一室のアトリエの黒板に貼り出されました。

四方八方から描いたので、僕の桜は天地が逆さまになっています。

黒板に貼り出された作品
黒板に貼り出された作品

始める前は不安だったのですが、とても楽しかったです。

Keisuke

ファッションイラストの授業(マリメッコ)

先日(と言っても、かなり前になりますが)、ファッションイラストの授業が行われました。

この授業は、毎回テーマが異なります。

前回は60年代後半~70年代前半のファッションがテーマでしたが、今回はマリメッコ(サイトはこちら)に関するイラストを描く、というものでした。

マリメッコとは、フィンランドのファッションブランドです。

中でも代表的なのがウニッコと呼ばれる大きな花柄模様で、これは第二のマリメッコのロゴとも呼ばれています。

余談になってしまいますが、僕はフィンランドと言えばやっぱりムーミンを思い出します。

一生に一度でいいから、オーロラを見に行きたいなぁ…とも思っています。

そういえば、村上春樹の長いタイトルの小説にもフィンランドが出てきましたね。
確認してみたら、マリメッコの名前だけは載っていました。

他にも、フィンランドのメタルバンドはお勧めです。

森の中で汚らしい格好で歌うコルピクラーニというバンドや、メンバー全員が恐竜の着ぐるみを着ているヘビザウルスなどです。

特に後者は子供向けのバンドかと思いきや、本格的な演奏で大人の鑑賞にも十分に耐えられるという…。

おっと、話がずれてしまいました。

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今回も、まずはエスキース(下絵)の授業が行われ、その数週間後に描いたイラストを見せ合う合評が予定されていました。

エスキースの授業では、実際にマリメッコの服を着たモデルさんがポーズを取ってくれました。

描いた下絵がこちらです。

下絵(1)
下絵(1)
下絵(2)
下絵(3)
下絵(3)
下絵(4)
下絵(4)

でも前回と同様に、今回も僕は困ってしまいました。

下絵を基にどうやってイラストにまとめるか、全くイメージが掴めなかったからです。

しかも、僕はファッションに疎く、マリメッコという名前も知りませんでした。

というわけで、どうやって形にするか…と悩んで、ぎりぎりまで手を付けませんでした。

しかし、ずっと放っておくわけにもいきません。

とりあえず八つ切り(いつも人物デッサンをするときと同じ大きさの紙)で描いたイラストを二枚仕上ました。

いつも背景で悩んでいるので、今回は「服と背景の境目をなくしてみたらどうだろう?」と思って描いたのがこちらです。

八つ切りのイラスト(1)
八つ切りのイラスト(1)
八つ切りのイラスト(2)
八つ切りのイラスト(2)

でも実際に仕上げたのを見ると、う~ん、あまり面白くない…。

というわけで、合評の前々日に追加で描くことにしました。

学校に置かれていたマリメッコの資料を見ていると、その中に水彩風のイラストの柄が載っていました。

僕はそんな感じで描けないかなぁと思って、チャレンジしてみました。

まず、四六判半切(人物水彩と同じ大きさの紙)を広げ、全体的に透明水彩のにじみを使ってベースとなる模様を作ります。

僕自身では意識していませんでしたが、自然と花柄のような模様になりました。

その上に、下絵を基にした人物を描きます。
下書きなしの一発勝負なので、かなり緊張してしまいました。

最後に、服の柄を薄く描きます。

それを三点同時に並行して進めました。
三つ並ぶと赤・黄・青の信号機のようです。

四六判半切のイラスト(1)
四六判半切のイラスト(1)
四六判半切のイラスト(2)
四六判半切のイラスト(2)
四六判半切のイラスト(3)
四六判半切のイラスト(3)

このイラストは八つ切りのものよりはいいかなと思ったので、この三点と八つ切り二点の、合わせて五点を合評会に出すことにしました。

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さて、合評会の当日はアトリエの一室に、ずらりと生徒たちのイラストが貼り出されます。

講評するのはN先生でした。

そこで言われたことは次の通りです。

・人物が背景に溶け込んでしまって目立たない(ある意味、それは狙っていましたが)。

・全体的ににじみを使っているので息苦しい。抜けるところがほしい。

・どんな媒体に使うか考えている?広告なら、このイラストじゃなくて写真を使うよね。

・写真の代わりにイラストを使うつもりなら、もっと人物を格好良く描いて。

というわけで、なかなかの酷評でした(-_-)

先生は少し悩んだあとで、赤い背景の人物に対してAの評価をしてくれました。
このイラストは、人物が正面を向いているから良いのだそうです。

Aの評価を受けたイラストはロビーに飾られますが、自信をなくした僕は、正直そんなに飾ってほしくないなぁ…と思ってしまいました。

先生によると、マリメッコに売り込みに行って使ってもらうことを想定するのだそうです。

う~ん、確かにそういった意識はありませんでした。

でも、それだと描くのが苦しくなってしまうような気がするのです。

やっぱり、元々あまり興味がないものを、むりやりイラストとして仕上げても、たいしたものはできないのかなぁ…。

まあいいや、次行ってみよう。
僕の得意分野で勝負すればいいと考えています。

決して、投げやりになっているわけではありませんが。

Keisuke