三日目は、千葉の香取市に向かいました。
父親の車に乗り、初日と同じ潮来のスーパーの駐車場で降りました。
北利根川に架かる潮来大橋を越えると、千葉県の香取市に入ります。
祖父が亡くなったとき、この近くの斎場で葬儀が行われ、夜に家族でこの橋から花火を見たことがありました。
当日は晴れていましたが、風の強い日でした。
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さて、僕は佐原の「十二橋」を描こうと予定を立てていました。
佐原には、手こぎの舟で小さな十二個の橋をくぐる、「加藤洲十二橋めぐり」と呼ばれる観光スポットがあるのです。
以前に、一度だけ両親と一緒に乗ったことがありました。
橋には「思案橋」「黄門橋」など、それぞれ名前が付けられています。
独特の風情があり、ぜひ絵を描いてみたいと思ったのです。
ただ、詳しい場所は事前に調べてもよくわからなかったので、とりあえず案内板が出ている方に向かいました。
この辺りの利根川流域は、水田の多い農村地帯です。
植えられているのは早稲(わせ)と呼ばれる、田植えと収穫の時期が早い品種です。
僕の地元の横浜では、五月の中旬から下旬にかけて田植えをするのが一般的ですが、こちらでは既にゴールデンウィークまでに田植えが終わっていました。
僕はそんな田園地帯を歩きました。
しかし、案内板の方に行っても、十二橋の場所がわかりません。
小さな川の近くで、現地のおじさんが田んぼの様子を眺めていたので、聞いてみることにします。
「すみません、十二橋に行きたいんですけど…」
「十二橋?それなら、舟で行かないと見られないよ。
一応、この川沿いにずっと行けば、橋の近くまでは出られるけど」
う~ん、なんということでしょう。
仕方なく、十二橋をあきらめて別の場所を探すことにします。
しかし、さんざん歩き回っても、「これは!」という場所は見つかりませんでした。
今日は風が強いため、風よけになるような場所で描きたかったのです。
いつの間にか、元の潮来大橋の近くに戻ってしまいました。
しかし、ここで何気なく橋の下に行ってみると、意外と良い場所でした。
ここなら川の堤防がちょうどいい風よけになり、橋桁が強い日差しも遮ってくれます。
なおかつ、近くにコンビニもあって言うことなしです。
橋の上を通る車の音が少しうるさかったですが、気になるほどではありません。
気になったのは、堤防の平らな箇所(小段というそうです)と、橋桁との間隔が狭かったことです。
僕がそこに立つと、ぎりぎり頭が着くか着かないかというほどでした。
立って移動することはできましたが、橋桁には出っ張っている部分があり、一度、そこで頭を強く打ってしまいました…。
それでも、僕は小段にイーゼルを立て、午前10時頃にスケッチを始めました。
ここは観光地ではなく、周りには人がほとんどいないため、一人で黙々と描きました。
今日も昨日と同じように、少し強めの色を乗せていきます。
できるだけ自由に、筆の赴くままに描くことを意識しました。
川の岸辺は草地になっており、アシ(ヨシ)などの背の高い植物が生えています。
そこで釣りをする人も見かけました。
また、ときどき川を小型の舟が通っていきました。
川の向こう岸にはホテルや住宅が立ち並び、その奥の海側は工場地帯で、鉄塔や煙突が並んでいます。
遠くには川に架かる鹿島線の鉄橋が見えました。
たまに四両の電車がその上を走っていきます。
僕はそんな場面を描いていたのですが、コンビニで買った昼ご飯を食べたあとは、猛烈に眠くなってしまいました。
三日連続で描いていたので、やっぱり疲れていたのかもしれません。
僕はビニールシートの上に寝転び、昼寝をすることにしました。
30分くらい寝ると、少し頭がすっきりしました。
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スケッチを再開し、午後4時前に完成しました。
川の水面が良く描けたような気がします。
のどかで広々とした感じが出せたのではないでしょうか。
空や雲は風の流れを表現したかったけれど…どうでしょう。
少し説明的になってしまったかも。
絵の右側の斜めになっている堤防は、迷いながら描いたため、いまいちな出来でした。
4時半頃に、父親が近くのスーパーまで車で迎えに来てくれたので、それに乗って鹿島の家に戻りました。
ちなみに、今日も夕食を父親が作ってくれました。
メニューはあじフライです。
三日間、本当にありがとう!
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次の日に、高速バスとJRで自宅に帰りました。
鹿島の旅行のレポートは以上です~。
Keisuke