先週の月曜日は、自分の中で勝手に「この日はアート日!」だと決めて、東京のいろいろなところを回ってきました。
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まず、最初に向かったのが渋谷で開催されていた、「セツの庭」展です。
これは、セツで選抜された12名の学生たちが中心になって物販を行う展示会です。
期間は一週間ほどでしたが、なかなか都合が付かなかったので、結局、僕が訪れたのは最終日でした。
会場は渋谷の西武渋谷店A館の7階で、店舗はハチ公口を出てスクランブル交差点を渡った先にあります。
渋谷に来るのはとても久しぶりです。
当日は雨だったのですが、スクランブル交差点はすごい人通りでした。
交差点では、海外から来た観光客が写真を撮っている姿も目に付きました。
やはり、ここは世界的に見ても日本文化を語る上で外せない場所なのでしょうか…。
交差点を渡って西武渋谷店に向かいます。
階段を昇って7階に着くと、すぐ出た先が物販の会場でした。
そこには、セツの同期であるPさん(と書くと、すぐにわかってしまいそうですが)がいて、僕が着くとすぐに出迎えてくれました。
会場は出展者ごとに各スペースに分かれていました。
その一角には彼女のコーナーもあり、そこにはダルマや剣玉・かんざしなどの、和風を基調としたグッズが置かれていました。
ダルマや剣玉は、彼女自身が無地のものを買ってきて、後から彩色したものです。
その色彩感覚を反映して、どれもサイケデリックな派手な色で塗られていました。
剣玉は実際に使用すると塗料が落ちてしまうため、飾る目的で売られていたのですが、遊べないのは少しもったいない気もします。
僕は手のひらサイズの小さなグッズを集めているので、もう少し小さくて価格が安いダルマがあれば、買いたかったのですが…。
そうそう、Pさんに教えてもらったのですが、ダルマにも置きかたや目の塗る順番に、いくつか決まりごとがあるのだそうです。
一つは、南を向けて置くこと。
そしてもう一つは、祈願するときは左目(向かって右)を塗り、願いが叶ったら右目(向かって左)を塗ることです。
これは、太陽が東から昇り西に沈むことと関係しているみたいですね。
勉強になりました。
(後で調べてみると、いろいろな説があるようです)
また、その近くには三枚の抽象画のような絵が置かれていました。
これらの絵は、期間中にイベントとしてライブペイントが行われたときに描かれたものです。
参加者たちがそれぞれ数名で分担して描いたそうで、どの絵も色彩がとても綺麗です。
「このイベントはとても楽しかったです」とPさんは言っていました。
会場が汚れないように養生シートを敷いて、好き勝手に描いたのだとか。
それから、会場を一通りぐるっと回ってみました。
その一角には、ある出展者が作った絵本が2冊置かれていました。
読んでみると面白かったのですが、サンプルを除くと在庫が切れてしまっていたため、買えませんでした。
他の物販は、アクセサリーや小物などが中心に売られています。
ですが、「これを買いたい!」と思わせるようなものは、特にありませんでした。
やはり、女性的なグッズが中心になっているので、自分の好みとは少しかけ離れてしまっているのかもしれません。
出展していたのはほとんどが女性だったのですが、唯一の男性の出展者がペーパークラフトを出品していました。
彼はセツに隣接しているギャラリーで個展を開いていたので、僕も絵は見たことがあります。
原色をふんだんに使い、人目を引くことが特徴的な絵です。
彼と話す機会があったので、いろいろ聞いてみました。
ですが、彼の取り扱っている商品はあまり売れていないそうですね…。
完成しても、置く場所がないのでしょうか。
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会場を後にして、お昼にそばを食べてから、次に中目黒にある美術系の古本屋に行きました。
この店を訪れようと思った理由は、以前からフォロンという画家(イラストレーター)の画集が欲しいと思っていたからです。
フォロンはベルギーの出身で、10年ほど前まで活躍していた人です。
僕はその独特な色合いと少し不気味なモチーフに引かれ、中学生の頃に美術の資料集で見たときから、ずっと気になっていたのです。
今まですっかり忘れていたのですが、ふと思い出して検索してみました。
すると、この店でフォロンの画集を取り扱っているとのことだったので、足を運んでみることにしました。
店舗は「dessin(デッサン)」という名前です。
住宅地の一角にあって小ぢんまりとしている、ちょっとした隠れ家的な店です。
中に入ると、ワンフロアの店内に本棚がずらりと壁面に並べられており、そこには画集や絵本などが置かれていました。
奥のフロアは展示会をしていて、手作りのお皿が並べられていました。
さらにその奥には、女性の店員さんの姿が見えます。
置かれているのは古書が中心でしたが、店内は綺麗に掃除されていました。
ムードを壊さない程度のお洒落な音楽が掛かっており、とても落ち着ける場所です。
ひなびた田舎の古本屋であるような、「ところ狭しと棚が並び、奥に気難しいそうな老人が座っていて、日焼けした古本が埃をかぶっている」という感じではありません。
いろいろな画集が売られていたので、僕はフォロンの画集を探しながらも、気になった本は手に取って読んでみることにしました。
本の価格はピンキリで、千円以下のものもあれば一万円以上する大型のものもあります。
まず目に付いたのは、エドワード・ホッパー(Wikipedia)という画家の画集です。
彼の画集は数冊置かれていました。
彼は20世紀の前半に活躍したアメリカの画家で、アメリカの街並みや、そこに生活する人の少し不安になるような日常を描いています。
有名なのは「ナイトホークス(Wikipedia)」と呼ばれる、バーで夜更かしをする人々の絵でしょうか。
僕はこの人の風景画も好きなのですが、今回はそれが目的ではないので買いませんでした。
棚の上には、サヴィニャック(Wikipedia)というフランスのイラストレーターの大型の画集が置かれていました。
彼は主にポスターなどで活躍した人で、手に取って読んでみるとユニークで面白かったです。
他にも、日本のイラストレーターの宇野亜喜良(うのあきら)(Wikipedia)さんの本や、「アン・ジュール」(絵本ナビ)という一切台詞のない犬の絵本などがありましたが、こちらも目的のものではないので読むだけです。
店内には、店員さんを除くと僕しかいなかったので、とても静かに本を読むことができました。
僕にとっては宝の山です。
そうしていろいろ探しているうちに、ようやく目的のフォロンの画集を見つけました。
彼の画集は数冊ありましたが、僕はその中でも価格・大きさ・収録点数などが良さそうな本を選びました。
この画集は日本で展示会を行ったときに販売されていたようで、3500円のやや大型の本です。
ぱらぱらとめくっていると、かなり好きな感じの絵が載っています。
彼は版画で印刷された作品も残していますが、僕はどちらかというと水彩絵の具で描かれた絵が好きですね。
そうやって気になった本を読んでいると、あっという間に二時間が過ぎてしまいました。
他の客も入ってきたので、そろそろ出る頃合いです。
僕は先ほどのフォロンの本をカウンターに持っていきました。
すみませんね、長居してしまって…。
そう思いつつも、いい買い物ができたのでまた来ようと思っています。
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最後に、「Humming Bee」と呼ばれるグループ展に行きました。
これは、僕が卒業した日本デザイン専門学校(以下「日デ」)のOBや先生たちを中心とした、細密な植物画を描くというグループです。
先日行われた「Brunch off展」の主催者である松井先生が、講師として描きかたを教えています。
現在は、月一回活動しているそうです。
以前は日デの教室を使っていたのですが、最近は下北沢に拠点を移しているのだとか。
ギャラリーは「コーヒー&ギャラリーゑいじう」という名前で、新宿にあります。
今まで気付かなかったのですが、セツの校舎にとても近い場所にあったのですね…。
場所は住宅地の少し奥まったところにあります。
過去に一度だけ行ったことがあるのですが、着くまでに迷ったことを覚えています。
今回もやはり迷ってしまいましたが、それでもどうにかしてギャラリーにたどり着きました。
このギャラリーの中は、一階と二階が展示スペースになっています。
一階にはカフェも併設されており、そこではコーヒーなどを飲みながら、ゆっくり作品を見ることができます。
一階に展示されていたイラストは、バラが中心になっていました。
どの作品も、とても細かく丁寧に描かれています。
しばらくすると、日デの講師だった片桐先生が現れました。
先生と話をするのは久しぶりでしたが、とても気さくに話しかけてくれました。
それから、二階に移動して別の展示物を見てみます。
二階には、それぞれの出展者が描きたいモチーフの植物が展示されていました。
松井先生の絵は、一階に置かれていたものもの含めると4~5点ありました。
二つの展示会を掛け持ちしていたのに、これだけの量の絵を描かれるなんて、どれだけ手が早いのですか…。
しばらく作品を見ていると、そこに片桐先生が現れました。
彼女は、絵の解説やサークルの活動内容について話してくれました。
「参加してみるのはどう?遊びに来るだけでもいいんですけど」
片桐先生はそう誘ってくれましたが、今のところまだ参加するつもりはありません。
なぜなら、今はセツで「自由な絵の描きかた」を学んでいるので、このような精密画とは、今は目指している方向性が違うのですよね…。
もちろん、図鑑に載るような精密な絵も、素晴らしいことは十分に承知なのですが。
いずれ僕が「植物画を描きたい!」と思ったら、参加してみることにします。
しばらくすると、そこに中年の男性のKさんと、若い女性のOさんが現れました。
二人とも日デの卒業生で、僕とは初対面です。
Kさんは今、アクセサリーを販売しているそうです。
もともとグラフィックデザインを10年やっていたのですが、結婚をしてからはアクセサリーの販売に切り替えたそうです。
Oさんは今年初めて参加する人で、チューリップを描いていました。
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というわけで、この日はアート関係の展示をいろいろ見てきました。
最近はあまり大きな絵を描く気がしないので、しばらくは見るのが中心になるかもしれません。
Keisuke