いよいよ、僕は4月でセツを卒業になります。
その前に、3月末にアトリエで卒業審査が行われました。
対象となるのは2Q~4Q(入学して1年~2年)の生徒たちで、今までセツで習ってきたことの集大成を見せる、という名目です。
それに合格すれば晴れて卒業が認められます。
(でも、落ちても卒業はできるという話を聞きましたが…)
僕はこの日のために、去年の12月から今年の3月の間に描いた風景画を10点と、最近、授業で描いた2点の人物水彩画を持っていきました。
いつもの合評のときのようにアトリエ内の壁に貼り出します。
今回は卒業生が多いため、2つのアトリエを使っても全ての作品を貼りきれず、結局、3回にわけて合評が行われました。
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実は今まで、人物画については迷っていました。
というのも、見た通りに描くということから、なかなか脱却できなくて。
それが決して悪いわけではありませんが、セツでは評価の対象にならないのです。
(もちろん、良い評価を得るために絵を描いているわけではないですが)
どうしようか…と思いながら試行錯誤していたものの、なかなか形になりません。
自由に描けるクラスメイトたちがうらやましい!と思うときもありました。
ところが、最近になって急に抽象的な絵を描くことができたのです。
それはなぜか、僕自身でもうまく説明ができません。
ただ、思い当たる節があります。
それは人物水彩の授業の前日のこと。
僕は村上春樹の「騎士団長殺し」を読んでいました。
主人公は絵描きさんで、相変わらず訳がわからない話です。
それでも著者の小説にはすらすら読ませてしまう力があるので、気付いたら深夜になっていました。
読書中(あ、正しくは「格好」だった…)
次の日は寝不足気味。
しかも物語の世界に意識が引っ張られていたので、ぼーっとしながら絵を描いていました。
そして、完成した絵がこちらです。
うっすらと人物の輪郭が描かれていることがおわかりでしょうか。
自分でも良いのか悪いのかわからなかったのですが、とにかく、こんな絵ができるとは予想外でした。
合評は女性のM先生。
「え、これを木庭君が描いたの?今までとは全然違う。すごく良くなった!」
僕は初めて彼女から人物水彩でAの評価を頂きました。
実は、今まで他の先生からAを頂くことはあったのですが、彼女からは一度も頂いたことがなかったのです…。
評価が全てではないと思いつつも、やはり嬉しかったのは事実です。
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卒業審査の合評の話に戻します。
出した数は圧倒的に風景画のほうが多いのですが、多分、選ばれるのは人物画じゃないかな…という直感がありました。
審査をして頂いたのはH先生です。
「風景画も悪くないんだけど、人物画は新しい感じがするね。
今回は人物の方を取ってみようか。それじゃ、この絵を合格にします」
僕のしては、やはり風景画のほうに力を入れていたので、少し複雑な心境でしたが…。
ともあれ、無事に合格することができました。
ひとまずほっとしています。
卒業作品展は、4月17日(月)から22日(土)までセツの校舎で開催されます。
時間は、17日から21日までは13:00~20:00、22日は10:00~18:00です。
どなたでも来訪が可能なので、ぜひご覧下さい。
Keisuke