2月14日(火)~19日(日)の期間、銀座アートホールにて「セツ展」が行われます。
これはセツを代表する学校展です。
セツが今年で閉校になってしまうため、これが最後の機会になります。
ところが、残念ながら僕の絵は展示されません。
これには、以下のような経緯があるのです。
/////////////////////////
実は、セツ展では全生徒の作品ではなく、選考を経て選ばれた作品のみが展示されるのです。
その基準の一つとなるのが、セツ風であるかどうかということ。
「セツ風とは何か?」と説明するのは難しいのですが、もともとこの学校は自由さ+上品さを標榜しているため、それが基準の一つになっています。
そして、もう一つが人物画であること。
風景画や抽象画は、よっぽどいい絵ではないと入選しないことを、事前に聞かされていました。
でも、僕は風景画を描くのが好きなのです。
人物画は、あまり得意ではありません。
困った僕は、一点だけ人物画を描き、他は風景画を出そうと考えました。
審査が行われたのは、昨年の12月。
出せるのは一人7点まででした。
/////////////////////////
人物画は、セツの生徒であるYさんの絵を描くことにしました。
Yさんは、以前に映画の看板を描いていた大ベテランの人です。
年齢は78歳ですが、現在でもセツや四谷デッサン会で絵を描いています。
何歳になっても上達しようという意気込みには、頭が下がる思いです。
せっかくなので、今回は全判サイズの紙に挑むことにしました。
普段、人物水彩や風景画では四六判半切の紙を使っているのですが、全判はそれよりも面積が倍になります。
これは、広げた新聞紙を縦に二つ並べたのとほぼ同じ大きさです。
それをB1の木製パネルに、水張りすることにしました。
水張りとは、簡単に言うと水彩画で画用紙を波立たせないように、あらかじめパネルにぴったり固定する方法です。
(詳しい説明は、こちらのサイトを参照してください)
事前に小さな紙で練習してから、いよいよ本番!
紙が大きいので、お風呂場で作業することにしました。
浴槽に水をため、紙をその中に漬けて上からシャワーを掛けます。
それを何度か繰り返してから、パネルにテープで固定しました。
失敗しないか不安でしたが、何とか上手くできました。
僕はこれに、以前に群像デッサンの授業で描いた、Yさんの絵を基にして描き始めました。
シックな色合いで重厚感を出そうと思って、濃い色をどんどん重ねていきました。
完成した絵がこちらです。
タイトルは「78歳の画学生」です。
うーん、色味が沈んでしまったのは良くなかったかも…。
もっとYさん本人の雰囲気を出したかったのですが、あまり上手くいきませんでした。
描いているときも、あまり楽しくなかったです。
それは、そこに自分の作為が入り込むからかもしれません。
風景画なら、風景が自分の絵を引っ張ってくれることがあります。
見たままを素直に描くことで、絵ができあがります。
それに対して、スケッチを基にした人物画は、「こうしてやろう」という意図や作為が入り込むため、かえって描くのが苦しくなるのかもしれません。
また、今回初めて全判に挑戦したので、その大きさにまだ慣れていなかったのです。
それでも描いたことには変わりはないと思って、自信はなかったのですが、この絵を出すことにしました。
/////////////////////////
それに加えて、風景画を3点持っていくことにしました。
左から「金色のイチョウ」「秋の木漏れ日」「赤く色づいたカエデ」というタイトルです。
秋シリーズで統一してみました。
風景画はもっとたくさん描いたのですが、持って行けるのはこれが限界でした。
審査には作品の額装か水張りが必要で、持ち運びが非常に重くなるためです。
/////////////////////////
ここまで書けば、もうおわかりだと思われますが、僕は審査に落ちてしまったのです。
長くなったので続きます。
Keisuke