個展中止のお知らせ

タイトル通り、今年の5月の個展を中止することにしました。

理由といたしましては、二つあります。

一つは、プレッシャーで全く絵が描けなくなってしまったことです。

実は、個展が決まってから自分を追い込むために、わざと周囲に言っていたのですが(そして、このブログでも書いていたのですが)、結果的にそれがマイナスになってしまったのだと思います。

そしてもう一つは、展示する予定だったキャラクターの絵を描いていても、僕自身が面白みを感じなかったからです。

それなら「今までに描いた風景のイラストを展示してもいいのではないか」と思いましたが、そうすると今度はスペースが狭く感じられてしまいました。

その場合は、改めて広い会場を用意するほうがいいのかもしれません。

期待して下さった方々にとっては、このような結果になってしまって申し訳ありません。

でも、いつかは必ず個展を開いてみようと思います。

Keisuke

最近セツで描いた作品

さて、最近セツで描いた作品を載せることにします。
せっかくなので一気に紹介します。

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まずは人物水彩から。
最近はいろいろなタッチを試しています。

この作品は、まず人物デッサンのように輪郭線を描いてから、中を絵の具で塗るという方法で描いてみました。

ソファに座る男性
ソファに座る男性

結果は…う~ん、いまいちかなぁ。
平面的になってしまったので、何か物足りない印象を受けます。

モデルになった同級生の生徒は、カラフルな服を着ていたので、その分描きがいもあったのですが…。

次にこの作品は、油絵のような厚塗り風に仕上げてみました。

赤いジャケットが印象的だったので、それを目立たせるように描いてみました。
モデルは同じく同級生のOさんです。

赤いジャケットの男性
赤いジャケットの男性

ただ、厚塗り用の画材ではなく透明水彩で描いたので、画材と塗り方が少しケンカしてしまったかもしれません。

色調も少し暗くなってしまいました。

講評のときに、H先生は「重厚なタッチが独特で面白い」と言って、Aの評価を付けてくれました。

ですが、僕自身ではまだ納得のいかない部分もあります。

また、別の日には裸体水彩という授業もありました。

しかし、僕はこのとき体調が良くなかったため(精神的なものもあったのですが)、しばらくセツを休んでいて描けませんでした。

う~ん、残念です。

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そうそう、僕も人物水彩のモデルを一度やりました。

僕がセツのロビーで休憩しているときのこと。

「この日はモデルが集まらないから、やってみない?」

そうK先生が声を掛けてくれたので、やってみることにしたのです。

当日は、僕が持っている中で最も派手なチェック柄の服を着て、腰に赤い別の服を巻き、さらにグレーのマフラーをするという格好でした。

マフラーは大昔に自分で編んだものです。

こんな格好をしていた
こんな格好をしていた

人物水彩の授業では、3人の生徒がモデルとして選ばれて、描く人たちはその中から選ぶというシステムになっています。

誰も僕をモデルにした絵を描いてくれなかったらどうしよう…。

僕は心配しましたが、実際には8人くらいの生徒が僕の絵を描いてくれました。

このときは、用意されていた椅子に足を組んで腰掛けていました。

ところが、組んだ上側の足に血が流れなかったため、しばらくすると足の感覚がなくなってしまいました。

途中で休憩を挟みながらポーズを取っていたのですが、それでも次の日は筋肉痛になりましたよ。

でも、講評のときに僕を描いてくれた絵を見るのは面白かったです。

「この人は、僕のことをこう見ていたのか!」と思って、なんだか可笑しくなりました。

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次に、人物デッサンの作品です。

2Q生になると、鉛筆だけではなく自由に画材を使うことができます。

その一つに、筆デッサンという授業がありました。
これは、筆と墨汁を使って描くというものです。

筆を使って描くのは初めてなので、最初は緊張してしまいました。

筆デッサン(1)
筆デッサン(1)
筆デッサン(2)
筆デッサン(2)

筆で描くと、描き直しができないのに加えて、止めたいところでもスルッと行ってしまうのが難しかったです。

でも、完成したデッサンを見ると「筆の独特なタッチが出せたかな?」と思います。

また、現在販売されている中では最も濃い、8Bと10Bの鉛筆も試してみました。

「鉛筆で描いたデッサンは薄いなぁ…でも、描き直しはしたいな」と考えたためです。

さすがに10Bとなると、2Bの鉛筆と比べても芯がぶっといです。

これだけ太いと細かい部分は描きにくくなるのですが、その反面、鉛筆の濃さを生かした強弱を付けた線が描けます。

何よりも、伸び伸びとした線が描けるので気に入りました。

どちらかというと、10Bよりも8Bのほうが使いやすかったです。

次に、上級生に教えてもらった「ウォーターブラシ」という画材を使って、色を塗ることにしました。

これは、本体の軸の中に水を入れてから、柔らかい軸を押すことによって、水が筆先へ浸透して描くことができる画材です。

軸を強く押せば、パレットに水滴を落として使うこともできます。

水を入れる筆洗が不要になるため、とても使い勝手が良いので気に入っています。

これがウォーターブラシだ
これがウォーターブラシだ

僕はあらかじめ、パレットに固めておいた6色の透明水彩を用意し、それをウォーターブラシで溶かして色を塗ることにしました。

コスチュームデッサン(1)
コスチュームデッサン(1)
コスチュームデッサン(2)
コスチュームデッサン(2)

この8Bの鉛筆と透明水彩との組み合わせは、描いていて楽しかったです。
やっぱり色を塗るとテンションが上がりますね。

それから、「透明水彩だけで描いたらどうなるんだろう?」と思って、こちらも試してみることにしました。

これは、デッサンの正確さを鍛えるというよりも、どちらかというと雰囲気重視ですね。

透明水彩だけで(1)
透明水彩だけで(1)
透明水彩だけで(2)
透明水彩だけで(2)

これはこれで仕上がりが独特なものがあるので、こちらもしばらく練習してみたいと思います。

特に、僕は以前から女性特有の柔らかい線を描くのが苦手だったのですが、これだと曲線が描きやすいかったです。

やっぱり、透明水彩は描いていて楽しいですね。

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最後に、特別授業として行われた石膏デッサンについても書いてみます。

2017年4月になると、セツが閉校してしまうため、上級生しかいない現在は、火・木・土しか学校が開いていません。

そのため、何人かの先生がその合間に特別講座を設けてくれました。
石膏デッサンもその一つです。

これは、毎週土曜日にN先生が開いている講座です。

2Q生になると石膏デッサンの授業がなくなるため、このような機会が設けられました。

僕は今までに2回参加し、2回とも同じ場所から、以前に描いたモリエールと呼ばれる像のリベンジをしてみました。

1回目はあまり上手く描けなかったのですが、2回目はそれなりに描けたと思います(まだ甘い部分はありますが)。

モリエール像(1回目)
モリエール像(1回目)
モリエール像(2回目)
モリエール像(2回目)

ただ、2回参加した後は行っていないです。

その理由として、講座は土曜日の午前中にあるので、なかなかその時間に起きられないということと、僕が「やっぱりデッサンは嫌い!」と思っているからです。

これは、まずい料理を「体にいいから」と言って食べているのと同じような感覚です。

まあ、5歳児が「ニンジン嫌い!ピーマン嫌い!」と、駄々をこねているようなものなのかもしれませんが…。

僕は物を見るときに、まずが目に入ってくるので、形や陰影を追うという作業は、実はあまり好きではないのです。

デッサンは描けば描くほど上達する、というのはわかっているのですが。

…と、長々と言い訳をしてしまいましたが、来年は一日でも多く参加できるようにしたいです(自信はありません)。

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この一年を通してみると、5月にセツに入学してから、かなり人物のデッサンについては上達したと思います。

だって、一番最初の頃に描いた絵を見ると、「何これ、下手だ!」と思えるのですから。

来年は5月に個展があるので、それに向けてやっていきたいです。
でも2ヶ月間、全く手を付けてないや…どうしよう。

Keisuke

「YAMATE美術セミナー」でのクリスマス

先日、横浜の山手にある「YAMATE美術セミナー」に行ってきました。

YAMATE美術セミナーの入り口
YAMATE美術セミナーの入り口

この美術教室は、毎年クリスマスの時期になると、ヌードクロッキークリスマスパーティーが行われます。

僕は、以前デッサンを習うために、ここに通っていたことがあります。

今はもう通っていないのですが、こういう機会があるときには、年に一度でも顔を見せるようにしています。

また、毎年4月には「アトリエ展」という展覧会が行われ、そのときにはアトリエ中が絵で一杯になります。

僕も今年のアトリエ展には、スペインの巡礼路で描いたスケッチを展示しました。

パーティーの参加は無料ですが、参加者は全員プレゼントを用意します。
また、男性はワインを、女性は料理をそれぞれ持参する必要があります。

僕もアトリエに向かう前に、発泡性のマンゴーのお酒とプレゼントを買っておきました。

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当日はパーティーの前にヌードクロッキーが行われたので、僕はまずそれに参加することにしました。

山手のアトリエに到着して、会場となっている二階に上がります。
そこにはすでに10組ほどのイーゼル(絵を立て掛けるもの)と椅子が用意されていました。

ここでは3日前に、子供たちのクリスマスパーティーが行われていました。

そのため、壁面には子供たちが描いた大きな絵や、パーティーのプログラム、「ジングルベル」の歌詞が書かれた模造紙が貼られたままになっています。

また、床にはテープで作られた巨大なすごろくが描かれていました。

僕はまず昼食をとったあと、場所を選んで椅子に座り、準備を始めました。
参加者も続々と部屋に現れ、しばらくするとモデルさんもやってきました。

モデルさんは女性の方でした(それも美人さん!)

彼女が裸になってポーズを取ると、参加者たちはおもむろに描き始めました。

内容は、セツと同じように10分で1ポーズです。

しかし、セツが立って描くのに対して、ここではイーゼルの前の椅子に座ってクロッキー帳を使うという、セツとは少し違っている部分もあります。

クロッキー帳も「F6」というサイズのもので、普段セツで使っている四六判の八つ切りサイズと比べると、一回り大きくなっています。

また、縦と横の比率も異なっていて、こちらのほうが正方形に近いです。

いつもセツで人物のデッサンをしているので、ある程度なら自信はあったのですが、描き始めてみるととても難しく感じてしまいました。

その理由は二つあります。

一つは紙の大きさや、縦と横の比率が異なっていたこと。

そしてもう一つは、セツのモデルさんは痩せ型で長身の人が多いのですが、今回のモデルさんは日本人として一般的な体型であったということです。

(決して太っているわけではありません)

最初は紙一杯に収まらず、足先のスペースが余ってしまったり、頭の大きさが小さすぎたり大きすぎたりしてしまいました。

また、逆に紙一杯に大きく描こうとすると、実際のモデルさんよりもかなり体型が太くなってしまいました。

それでも、描いているうちに徐々に慣れてきました。

当日は鉛筆の他に透明水彩も持ってきていたので、途中から色も付けてみました。

クロッキーの一部
クロッキーの一部

今回、モデルさんは全部で12ポーズ取ってくれました。

でも、ようやく調子が出てきたところで終わってしまったので、「もっと描いていたいなぁ」と、物足りなく感じました。

それでも去年の作品と比べると、かなり上達しているのが実感できました。
やっぱりセツで描いているおかげですね。

終わった後は、M先生による講評が行われました。

イーゼルに参加者たちの作品を立て掛けて、一枚ずつ彼女があれこれと言っていきます。

M先生は、僕の作品に対してこんなことを言ってくれました。

「腰から足にかけてのボリュームが足りないけど、独特なタッチで描かれていますね。実際のプロポーションとは違っている部分もありますが、面白い線が描ければいいんです」

それを聞いた僕は、「失敗した!」と思った作品でも、「ああ、これはこれで面白いかもしれない」と思うようになりました。

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ヌードクロッキーが終わった後は、今度はアトリエの一階に移動します。

机を用意してテーブルクロスを掛け、クリスマスパーティーの準備が行われました。

パーティーだけ参加する人もいたので、総勢で16名が集まりました。
半数以上が僕にとっては初対面でした(僕が忘れているだけかもしれませんが…)。

テーブルには、女性たちが持ち寄った料理が並べられました。
ストーブの上では、おでんがぐつぐつと煮立っています。

準備が終わると、男性陣が用意していたワインが開けられ、パーティーが始まりました。

パーティーの様子
パーティーの様子

乾杯が終わったあと、一通り自己紹介が行われました。

楽器を演奏できるメンバーが数人いたので、彼らはギターとサックスで、「ジングルベル」と「ラスト・クリスマス」を演奏してくれました。

それを聞きながら「楽器が弾けるっていいなぁ…」と、僕は思いました。
来年から何か練習してみようかな。

演奏の終わったあと、僕は隣に座っているNさんに、持ってきていた「けいくんと うちゅうじん ピロン」の絵本を見せることにしました。

実は、Nさんも絵本を描いているそうなのです。

(そうそう、この絵本について書くのを忘れていました。
 以前に文芸社様から連絡が来ていて、今回は残念ながら落選だそうです)

絵本を見たNさんは、「面白かったです!」と言ってくれました。

でも、「どうして『けいくん』の正体は○○(ネタバレなので伏字)なの?」と、疑問に思ってしまったそうです。

彼によると、その必然性があまり感じられないのだとか。

それからM先生にも見せたところ、こんなことを言われました。

「この絵本は、まだ固い感じがするわね。
 ストーリーも比較的ありがちで、どこかで見たような気がする。
 それよりも、もっと誰も見たことのないものを描かないと!」

「あなたが今日描いたクロッキーはとても良かったです。
 イラストもあんな感じで描けるといいんだけど」

それを聞いて「うむむ、なるほどなぁ…」と僕は思いました。

もしかしたら、僕は想像だけで描くのはあまり得意ではないのかもしれません。

それよりも、何かモチーフとなるものを見ながら、自分なりのアレンジやらフィルタを通して作品として発表するほうがいいのかも、と考えました。

その後もいろいろな話をしていると、あっという間に夜9時を回ったので、そろそろ僕は帰ることにしました。

最後に、クリスマスプレゼントをもらいました。
開けてみると、酒に浸したチェリーが入ったチョコレートでした。

もらったプレゼント
もらったプレゼント

ちなみに、僕がプレゼントとして買っていたのは、「魔女の宅急便」に登場する、黒猫のジジが描かれたジグソーパズルでした。

ジジのイラスト(こんな感じだったはず…)
ジジのイラスト(こんな感じだったはず…)

僕が買ったプレゼントも、誰かに喜んでもらえるといいなぁ…。

Keisuke

ファッションイラストの授業(オールドファッション)

先日(と言ってもずいぶん前ですが)、僕が2Q生になってから初めてセツで「ファッションイラストを描く」という課題が出されました。

これは、毎回あるテーマを基にして、ファッションに関連したイラストを描いてくるというものです。

以前には、「昭和の日本」や「映画」をテーマにして課題が出されたそうです。

今回のテーマは、「60年代後半~70年代前半のオールドファッションを描く」という内容でした。

テーマに沿った内容なら、紙の大きさや枚数、画材などは全て自由です。

この年代の特徴として、女性の間ではポップで華やかな色使いのワンピースやミニスカート、男性の間ではヒッピーモッズと呼ばれるファッションが流行していました。

最近は、この年代のファッションのリバイバルブームが起こっているそうです。
一週回って逆に新しいファッションだと言えるでしょう。

しかし、課題が発表されたときに僕は困ってしまいました。
なぜなら、僕はあまりファッションに興味がないからです。

服は必要最低限の分しか持っていないし、気付いたらずっと同じ服ばかり着ていることもあります。

でも、こんなことを、もし(せつ)先生がご存命のときに言っていたら、ものすごく怒られたに違いありませんが…。

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さて、それに先立ってセツでは「ファッションイラストエスキース」という授業が行われました。

「エスキース」というのは、フランス語で下絵のことです。
この下絵を基にしながら、新たにファッションイラストに描き起こします。

当日は男女二人のモデルさんが、その年代の衣装を着てポーズを取ってくれました。

彼らが着ていた衣装は、最近発売された復刻版ではなく、当時、実際に販売されていたビンテージ物なのだそうです。

彼らは二部屋に分かれ、いつものように合計で12ポーズ取ってくれました。

女性のモデルさんが着ている服は、非常にカラフルで人目を引きます。
また、男性のモデルさんは、ギターを持ってポーズを取ってくれました。

当日は色鉛筆とペンを持っていたため、色も少し塗ってみました。
こんな感じです~。

男性モデル(1)
男性モデル(1)
男性モデル(2)
男性モデル(2)
女性モデル(1)
女性モデル(1)
女性モデル(2)
女性モデル(2)

さて、僕はこの下絵を再構成するに当たって、どうしようか考えました。

ただ別の紙に清書するだけでは、面白くないなぁ…
もう少し、オリジナリティを出せないだろうか?

その結果、絵の中にストーリー性を持たせることを思いつきました。

僕が考えたのが、以下のような場面です。

恋に破れ、場末のバーで酒を飲む一人の女性がいた。

そこに、ギターを持った男性が現れる。

男性「僕の演奏を聞いてくれない?」
女性「あら、すてき!」

彼は椅子に腰掛けると、ポロンポロンとギターを爪弾き始めた。

男性「どうだった?」
女性「あまり上手くないのね」

…というストーリーを考えてみました。

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というわけで、僕は背景の取材のために、地元のバーに足を運んでみることにしました。

学校への行き帰りのときに、いつもこのバーの横を通ります。
その際に「雰囲気が良さそうだなぁ」と感じていて、今回取材することにしたのです。

僕が事前に電話して「店内の写真を撮ってもいいですか?」と聞くと、バーのオーナーは快くOKを出してくれました。

本当にありがとうございます!

僕はお酒をほとんど飲めないので、こういった店にはほとんど縁がありません。
そのため、入るときは緊張してしまいました。

店の入り口
店の入り口

このバーは、昼はスペイン料理、夜はお酒を出しているところです。
僕はお昼に行ったので、まだ店は空いていました。

僕はオーナーに再度確認して、店内の写真をたくさん撮りました。

店内はワンフロアで、テーブル席とカウンター席とがあります。

シックな木材が中心に使われ、お洒落な雰囲気です。
カウンターの上には、小さなクリスマスツリーが置かれていました。

僕は「ただ写真を撮っているのも悪いなぁ」と思ったので、撮り終えた後にカウンターに座り、オレンジジュースを注文しました。

オレンジジュース
オレンジジュース

カウンターには一人の中年の男性客が座っていました。

彼はひげを生やし、長い髪をポニーテールにしてまとめていたので、「笑い飯」の西田幸治さんに雰囲気がそっくりでした。

彼は僕に話しかけてくれたので、挨拶をして話をすることにしました。

彼はこのバーの常連客で、普段は地元で水道管の工事をしているのだそうです。
(今日は仕事が休みだと言っていました)

この日は学校が休みだったため、つい長話をしてしまいました。

いつの間にか、僕は彼の子供の進路相談まで受けてしまったのですが、長くなるのでここでは割愛します。

途中で、オーナーの奥さんと子供たちも店に来ました。
子供たちは、オーナーの手料理をご馳走になっていました。

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さて、僕はエスキースと店内の写真を基にして再構成し、一枚のイラストに仕上げることにしました。

「できるだけ大きな紙に描きたいなぁ」と思って、四六判半切という人物水彩を描くときのサイズの紙に描くことにしました。

描き始める前に、僕は別の紙に下描きをしました。

ただ、大きい紙だったので、人物の体のバランスを取るのが難しかったです。
特に女性の足は、何度も描き直すことになってしまいました。

下描きをしたあと、本描きのほうに移ります。

しかし、完成した作品は、僕自身でも納得の行く仕上がりにはなりませんでした。
(やっぱり、少し雑に見えますねぇ…)

完成した作品
完成した作品

「まあ、それでも出さないよりはよっぽどマシだ」と考えて、乱暴ですがこれで提出することにしました。

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後日、アトリエの一室で講評会が行われ、壁一面に生徒たちが描いた作品がずらりと並べられました。

どの作品も非常に個性的なものばかりです。
M先生は、それらに対して一作品ずつ講評していきました。

僕の作品の番が回ってくると、彼女はこんなことを言ってくれました。

「ファッションイラストから離れて、想像の世界の絵なのが面白いですね。
 それから、自分の足で取材をするというのも大事なことです」

確かに、周りの人はお洒落な絵を描いている人が多かったです。

僕の絵をファッションイラストとして見た場合は、少しずれているのかなぁ…という気がします。

でも、もともと「自由に描いていいよ」と言われていたので、これはこれでありなのではないでしょうか。

M先生は、僕の作品に最も良いAの評価を付けてくれました。
(と言っても、今回はほとんどの人がAの評価をもらっていたのですが…)

Aの評価を受けた作品は、セツのロビーに一定期間貼り出されます。

僕は嬉しかったのですが、「本当にこれでよかったのかなぁ」と、今でも少し疑問に思っています。

Keisuke

四谷デッサン会「デッサンアワード2015」

最近はすっかり更新をしていなくて、申し訳ありません。

先日、四谷デッサン会にまた参加してきました。

当日はデッサン会と一緒に、デッサンアワード2015という企画も行われました。

これは、今までに描いたデッサンの中から最も良い作品を選ぶという趣旨の賞です。

出展する人は当日のデッサン会の参加が無料になるので、ちょうどいい機会だと思って行ってみることにしました。

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さて、当日はセツの4人の生徒たちと一緒に、会場の四谷ひろばまで歩いて移動しました。

セツの冬休み前の最後の授業が終わった後のことです。

僕たちはデッサン会が始まる10分前に到着しましたが、そこにはすでに大勢の参加者たちが準備をしていました。

デッサンアワードが行われるだけあって、前回よりも参加者の数が多かったです。

僕は以前のデッサン会で描いた作品を持ってきていたので、会が始まる前にまず受付にそれを提出しました。

デッサン会は、午後6時からスタートしました。

今回のモデルさんは、以前にセツでも何度か担当してくれている女性の方でした。

いつも奇抜な(と言っては失礼かもしれませんが)衣装を用意してくれる人です。

一体、いつもどうやってあの衣装を用意するのでしょうか?

彼女は多くの服を用意していて、2ポーズごとに衣装を変えてくれます。

例えば、ネコミミの帽子に尻尾の生えたミニスカや、真っ赤なサンタ風の服や、夜の仕事をしている雰囲気の服などです。

衣装というよりも、コスプレをしていると言ったほうがいいかもしれません。

ちなみに、彼女は第一回目のセツのデッサンのときにも来てくれました。
そのときも、彼女はこんな風に変わった衣装を着ていました。

途中からますます人が増えて、部屋の中は一杯になってしまいました。

そのため僕は、モデルさんの近くに座ったり、人と人との間から顔を出すようにデッサンをしていました。

6ポーズが終わった30分休憩の間に、デッサンアワードの投票が行われるとのこと。

別の部屋に行くと、そこには参加者が描いた人物のデッサンがずらりと並べられていました。

全部で50枚くらいでしょうか。

出せるのは一人一点までです。
今までに描いた自信作を持ってきている人もいれば、今日描いたデッサンを提出している人もいます。

壁一面に貼られた絵を見るのは、なかなか壮観なものがありました。

絵を眺める
絵を眺める

最近、僕は鉛筆と水彩を併用して描いています。

しかし、出品する作品はモノクロという縛りがあったため、色を付けた作品は出せませんでした。

「色を付ける前に、もっとちゃんとデッサンができるようになったら?」と自分でも思います。

しかし、僕は「色を付ける!」と思うと、自然とテンションが上がってやる気が出るのです。
(逆に、モノクロだと何か物足りないような気がします)

僕はじっくり選んでから、投票を済ませました。

30分休憩後に、最後の2ポーズのデッサンが行われました。

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デッサン会が終わった後に、参加者は別室に移動してパーティーが行われました。

そこには、壁一面に貼られたデッサンと一緒に、テーブルにワインやソフトドリンク、イチゴやブドウなどのフルーツ、ポップコーンなどのお菓子などが並べられていました。

ひとしきりの歓談のあとで、今回の賞の発表が行われました。
入賞したのは3名で、その中の1名が大賞に選ばれます。

大賞に選ばれたのは、僕も「これはいいな!」と思って投票した、ベテランのYさんの作品でした。

その作品には、花柄の付いたワンピースを着て、麦わら帽子をかぶった女性が描かれていました。

「夏の少女」というキャプションがぴったりです。
背景を描いて色を付けたら、そのまま絵画になりそうです。

ちなみに、僕の作品は賞にかすりもしませんでした…残念。

授賞式が終わったあと、引き続きパーティーが行われました。

主催者の一人が、児童書の編集をしているとのことだったので、僕は作品をファイリングしたものを見せることにしました。

(一応、何かあったときのために、できるだけ持ち歩くようにしているのです)

彼は僕の作品を見て、こんなことを言っていました。

「もっと作品に統一感があったほうがいいね。
 今はまだ作風がバラバラなので、印象が弱くなってしまう」

僕はそれを聞いて、「確かにそうだよなぁ」と思いました。

ただ、今はなかなか「作風をこれに絞る!」というのができません。
それは「それ以外を切る」という作業が僕にとって難しいからですね…。

また、彼が言うことには、セツで描くような大きなタブローと、雑誌のイラストレーションは異なるそうです。

そのため、セツでの描き方が抜けずに、イラストを描く上で苦労してしまう人も多いのだとか。

「ただ、セツでの価値観を知ることはいいことだよ。
 写実的な絵の描き方と、セツで学ぶ自由奔放な描き方。
 その両方を習得できれば、それが強みになるから」

彼はそう言ってくれました。
ありがとうございます。

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夜9時前にパーティーが終わってから、多くの人は飲み会に行くそうでしたが、僕は自宅が遠いためそのまま帰ることにしました。

ロビー降りていくと、そこに今日のモデルさんがいたので、僕は挨拶をしました。

「いい絵が描けましたか?」

「まあまあでした」と、僕。

「また年明けにもセツに来るから、そのときはよろしくね」

最後に、今日描いた絵をブログに載せていいのか聞いたところ、OKをもらえたので載せておきます。

(彼女は「上級生になったから解禁だから」と言っていました)

猫耳の帽子をかぶったモデルさん
猫耳の帽子をかぶったモデルさん
ミニスカートのモデルさん
ミニスカートのモデルさん
座るモデルさん
座るモデルさん
ロングスカートのモデルさん
ロングスカートのモデルさん

でも、最近はそれほど神経質になって、いちいちモデルさんに許可を取らなくてもいいのかなぁ、と思っています。

写真と違って自分のフィルターを通しているから、見たままというわけでもないですし。

う~ん、どうなのでしょうね。

Keisuke