人物水彩の授業

先日、セツで人物水彩の授業がありました。

人物水彩の授業は、これが二回目です。
先月に一度描いたのですが、そのときは納得のいく仕上がりにならなかったため、うまく記事がまとまりませんでした。

セツには三つアトリエがあり、人物水彩の授業の時には、それぞれの部屋にモデルさんがポーズを取ってくれています。

生徒はその中から好きなモデルさんを一人選び、その人を約三時間(途中で三十分の休憩を含む)かけて描いていきます。

紙は四六判半切(しろくばんはんさい)という大きさのものを使います。
これは、四六判という大きさの紙を半分に切ったものです。

調べたところ、四六判の大きさが788mm×1091mmなので、四六判半切はその半分、545mm×788mmということになります。

これは、広げた新聞紙よりも少し小さな程度で、そのままの状態だと抱えてしまうほど大きなサイズです。

僕が普段スケッチブックに描くように、ちまちまと描いていたら、絶対に時間内に終わりません。
そのため、大きな筆や刷毛を使って大胆に描いていく必要があります。

また、セツで水彩の絵を描くときには、ある特徴的なルールがあります。
それは鉛筆を使って下描きをしないことです。

なぜなら下描きをしてしまうと、絵が「塗り絵」になってしまうからです。

そういう考えを長沢節先生(学校の創始者です)は持っており、それが今の学校にも受け継がれています。

逆を言えば、それ以外なら特にうるさい決め事はありません。

例えば、僕が昔に通っていた専門学校では、「透明水彩は白い絵の具を使わない」と決められていました。

それは白い絵の具を使うと、本来の絵の具が持っている透明感が失われてしまうからです。
そのため、明るい部分でも白を混ぜることなく、絵の具の濃淡で表現していました。

しかし、セツではそのような決め事はなく、自由に描いていいようです。
こちらでは絵の具を透明水彩だと思わずに、アクリル絵の具のような不透明な絵の具だと考えて描いたほうがいいのかもしれません。

さて、僕が今回選んだのは女性のモデルさんでした(彼女は在校生のようです)。
彼女はソファーに腰掛けていたので、その胴体から上を描いてみました。

まだ「下描きをしない」というセツの描き方には慣れていないので難しかったのですが、前回よりはうまくいった気がします(少し太ってしまいましたが…)。

特に顔は本人に似ている気がしたので、描いている途中で少し嬉しくなりました。
モデルさんの許可が取れたので、今回描いた絵を載せておきます。

今回描いた絵
今回描いた絵

描き終えた後はアトリエの一室にみんなの作品が並べられ、講評会の時間になります。
並べられた作品はどれも個性的で、描き手の味が出ていました。

まず、最初に女性の助手(講師と言ったほうがいいのかもしれませんが)に選ばれた生徒が、「どの作品が好きか」ということを発表し、終わったら別の生徒にバトンタッチしていきます。

今回、僕は一番手に選ばれたので、少し焦ってしまいました。
それでも何とか好きな絵を二枚選び、感想を言って別の人にバトンタッチ。

数名の生徒が感想を言った後は、女性の助手が一枚ずつ講評していきます。
彼女は、特に個性の強く出ている作品に対して高い評価を与えていました。

僕の絵の順番になり、彼女は「悪くはないし、色も綺麗なんだけど…」と言っていましたが、それから何か言葉を探しているようでした。

彼女が年配の男性(このときは助手だと思っていたのですが、生徒だったようです)に感想を求めると、彼は「顔だね」と言っていました。

どうやら、顔が普通すぎるようです。

「写真のように本物そっくりに描くのではなく、自分を通してどのようにモデルを見ているか」
ということを表現することが大事だと言っていました。

確かによく考えてみると、そのような視点で絵を描いたことは今まで無かったかもしれません。
しかし、僕としては顔が唯一うまくいった部分だと思っていたので残念でした。

少し悔しい思いもありますが、これは仕方ないのかもしれません。
(もちろん、良い評価を得るために絵を描いているわけではありませんが)

次に描くときには実際の人物に似せるのではなく、もっとデフォルメして個性を前面に出す描き方をしてもいいのかもしれません。
しかし、僕はあまり「奇をてらった」描きかたはしたくないのです。

あえて「個性的である」ことを狙わなくても、水が低いところに流れるように、自然と僕の個性がにじみ出てこないのかなぁと思うのです。
それにはまだ枚数を描かないといけないのかもしれません。

ただ、もっと大胆な色使いをしてもいいのかな、と思いました。
鮮やかな色を使っている人の作品には、それだけ人の目を惹きつけるものがあるからです。

そのためには、失敗を恐れずに大胆に描いていく必要がありますが、まだまだ難しいですね。

Keisuke

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