長野の白馬に行ってきました(三日目・姫川源流)

三日目は、姫川源流自然探勝園というところに行きました。

旅に出ると夜はあまり眠れないし、朝は早く目が覚めてしまいます。

窓の外を見ると、空は薄曇りですが雨が降る気配はなさそうです。
僕は「えいやっ」と起きて、午前6時頃にライダーハウスを出ました。

ところが、途中でフロントに鍵を置いてきたか心配になり、戻って確認しているうちに20分ほど経ってしまいました。

昨日はそんなに心配しなかったのですが、なぜか今日は気になったのです。

予定していた電車は6:57発。
せっかく早く出てきたのに、これでは間に合わないかもしれません。

僕は急いで駅まで向かいました。

到着したのは、出発の七分前でした。
(本当は、この一本後でも構わなかったのですが)

僕が電車に乗り込むのと同時に、学生たちも一緒に乗り込んできました。
彼ら同士で話をし、車内は賑やかです。

こちらでは、もう夏休みが終わって学校が始まっているのでしょうか。

白馬駅から南神城駅まで
白馬駅から南神城駅まで

三駅先の南神城(みなみかみしろ)駅で下車し、駅構内の休憩所で、あらかじめコンビニで買っておいたサンドイッチを食べました。

南神城駅
南神城駅

それから、姫川の源流に向かいました。

南神城駅から姫川源流まで
南神城駅から姫川源流まで

駅から姫川源流へと向かう道は、昨日神社の前を通っていた塩の道の一部であるそうです。

昔からこの道は人の往来があったため、歴史的な石仏などが多く残されています。

田舎道を歩く
田舎道を歩く

少し歩くと、道端には道祖神が祭られていて、その近くには大量の石仏がありました。

僕はこういう石仏が好きなので、たくさん写真を撮りました。

道祖神
道祖神
たくさんの石仏
たくさんの石仏

他にもこういうものがないかと思って、目的地には遠回りになってしまいますが、しばらく塩の道沿いに歩きました。

すると、小さな祠を見つけました。
その両隣には、庚申塔二十三夜塔と書かれた石碑が置かれています。

小さな祠
小さな祠

そういえば、以前にも庚申塔を描いたなぁ…。

そう思ってよく見ると、金剛様が邪鬼を踏みつけており、その下には三匹の猿が彫られていました。

前に地元で見たのと同じような作りです。

庚申塔
庚申塔

遠く離れている場所なのに、ちゃんと同じ作りになっているので、おお~と感心しました。

(正確に言えば、地元で見たのは金剛様の代わりに観音様?が彫られていましたが)

その隣の二十三夜塔という石碑については、僕はこの由来を知りませんでした。

後で調べてみると、月齢が二十三夜のときに地元の人が家に集まり、飲食を共にした後で、お経を唱えて月を拝み悪霊を追い払うという行事のようです。

二十三夜塔
二十三夜塔

近くにはスキー場もありました。

草がぼうぼうに生えていたので、今は閉鎖しているのかな。

そう思いましたが、後で調べたところ、ここは「白馬さのさかスキー場」という名前で、ちゃんと今でも営業してるそうです。

スキー場のリフト
スキー場のリフト

そんな寄り道をしながら、ようやく姫川源流自然探勝園の入り口に到着しました。

姫川源流の入り口
姫川源流の入り口

まずは園内にある荒(あら)神社にお参りをしてから、源流に向かいます。

荒神社
荒神社

森の中の小道を歩いていると、水の音がするようになりました。
ここが姫川の源流のようです。

ここには木の道が取り付けられており、それに沿って歩くことができます。

木の道伝いに歩く
木の道伝いに歩く
木の橋
木の橋

姫川は、昨日訪れた大出の吊橋が架かっている川のことです。
しかし、ここではまだほんの小川でしかありません。

ここから電車でたった三駅しか離れていないのに、吊橋の近くではあのような大きな川になっているというのが少し驚きでした。

ここは春になると、フクジュソウがあちこちで咲くそうです。
その頃も見ごたえがあるかもしれませんね。

木の道を歩いていると、少し広いスペースのある場所に出ました。

ここには、姫川源流が「全国名水百選」に選ばれていることが書かれた石碑が置かれていました。

そういえば、以前訪れた洒水の滝も、名水百選に選ばれていたことを思い出しました。

最近は名水百選に縁があるのかもしれません。

名水百選の碑文
名水百選の碑文

その近くには、姫川の由来について書かれた案内板がありました。

それによると、この川の名前は古事記に登場するヌナカワヒメが由来になっているそうです。

由来の案内板
由来の案内板

彼女とオオクニヌシが結婚して産まれた子供がタケミナカタです。

タケミナカタというと、以前訪れた鹿島神宮に祭られていたタケミカヅチと相撲を取って負け、諏訪まで逃げてきたことがあるのだとか。

いろんなことがちょっとづつ繋がってくると、なんだか面白いなと思いました。

さて、すぐにここでスケッチしても良かったのですが、まず先に隣にある親海(およみ)湿原に向かいました。

山道を歩く
山道を歩く

姫川源流から親海湿原までは、歩いて10分くらいの距離です。
山道を歩いていると、急に開けた場所に出ました。

ここが親海湿原のようです。

ここには姫川源流と同じように木でできた小道があり、それに沿って歩くと湿原をぐるりと一周することができます。

案内板によると、その途中でたくさんの種類の花を見ることができるそうです。

僕はあまり花の種類に詳しくはないのですが、せっかくなので覚えておこうと思いました。

案内板をじっくり読み、草花の写真を撮ります。

まだ朝早かったので、周囲には誰もいません。
そのおかげで、この風景を独り占めすることができました。

空気は爽やかで、「ああ、ここに来て良かったなぁ」と思いました。

木道を歩く
木道を歩く

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時系列が前後してしまうのですが、帰った後で植物の名前を調べてみると、どれもあまり聞いたことがありませんでした。

コバギボウシ(小葉擬宝珠)、ドクゼリ(毒芹)、サワギキョウ(沢桔梗)、
コオニユリ(小鬼百合)、キンミズヒキ(金水引)、フシグロセンノウ(節黒仙翁)などなど…。

興味がなければ「あ、綺麗だね」で終わってしまいます。

ですが、後で調べると「こういう名前だったのか」と覚えることができて、面白いです。

コバギボウシ
コバギボウシ
ドクゼリ
ドクゼリ
サワギキョウ
サワギキョウ
コオニユリ
コオニユリ
キンミズヒキ
キンミズヒキ
フシグロセンノウ
フシグロセンノウ

このサイトでどんな花が咲いているか見ることができます。

そのうちに、こういった草花だけをスケッチしてもいいかも、と思いました。

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木の小道を一周すると、また姫川の源流に向かいます。

その途中で、名古屋から来たという中高年の夫婦に声を掛けられました。

「その大きな筒は望遠レンズなの?」と、奥さん。

「あ、いえ。この中にはスケッチに使う紙が入っているんです。今から源流で描くつもりなんですよ」

「へえ~。今までどんな絵を描いているの?」

僕はデジカメを取り出して、今までに描いて写真に撮っておいた絵を見せると、「とても綺麗な絵ですね!」と褒めてくれました。

「私たちは名古屋から来ているの。格安ツアーでね」と、奥さん。

「僕は一泊1500円の宿に泊まっているんですよ」

「ふーん。探せばあるもんだねぇ」と、旦那さん。

僕は名刺を渡し、二人と別れました。

10時頃に姫川の源流に戻り、先ほどの名水百選の石碑がある少し広い場所でスケッチを始めました。

目の前には木製の橋があり、その下を小川が流れています。

描いた場所
描いた場所

水面下では水草が流れに乗って、ゆらゆらと揺れていました。
その上には、小さな白い花が水面から顔を出すように咲いています。

この花はバイカモと呼ばれ、漢字で書くと「梅花藻」になります。

これは藻の一種で、その名の通り梅の花の形によく似ており、水温が低くて綺麗な川にしか生育できないそうです。

バイカモ
バイカモ

水に手を入れると、ひんやりとして気持ちよかったです。
昨日もそうでしたが、長野の水はとにかく冷たいことが特徴的なのですよね。

また、その近くには黄色の花をいくつも付けた大きな花が咲いていました。
これはオタカラコウ(雄宝香)と呼ばれている植物だそうです。

オタカラコウ
オタカラコウ

スケッチをしていると、周囲に観光客や写真を撮る人が集まってきました。
確かに、ここは絶好の撮影スポットなのかもしれません。

通行の妨げになっては悪いなと思って、邪魔にならないような場所で描いていました。

しかし、僕は一番いい場所を確保してしまったようです。

撮影しようとしていた人にとっては、僕やスケッチ用具が写り込んで、結果的に邪魔になっていたかもしれません。

途中経過
途中経過

昼過ぎにおにぎりを食べた後は、猛烈に眠くなりました。
トイレに寄ったついでに、屋根付きのバス停のソファで横になります。

30分ほど寝ると、ずいぶん頭がすっきりしました。

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そんなことをしながら、午後4時頃まで描いていました。

完成したスケッチ
完成したスケッチ
スケッチと風景
スケッチと風景

水が流れている様子を描きたかったのですが、静止していないものは描くのが難しかったです。

でも苦労した甲斐もあってか、それなりには見えるような気がします。

せっかくなので、水草の上に咲いているバイカモの白い花も描いてみましたが、この絵では白い点々に見えてしまって、わかりにくいかもしれません。

今日は遠近感を出してみようと思ったので、手前の水草をかなり描き込み、奥はわざとぼかした感じで描いてみました。

どうでしょう…後ろのほうは手抜きに見えてしまうかも?

逆に、橋の質感や手前の水草は上手くいったかな、と思います。

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スケッチを完成させて帰る間際になると、一人の高齢の女性が話しかけてくれました。

その際に、いろいろな植物の名前を教えてくれました。

僕はバイカモは知っていましたが、近くに咲いているピンク色の花の名前は知りませんでした。

彼女の話によると、これはツリフネソウ(釣船草)という花なのだそうです。

ツリフネソウ
ツリフネソウ

それから、荷物をまとめて南神城駅へと戻りました。

17:07発の電車に乗り、白馬駅で下車します。

電車が到着
電車が到着

ライダーハウスに戻る前に夕食をとろうと思ったので、定食屋に寄って野菜炒め定食を食べました。

まだ午後6時前だったので、店の中はガラガラだったのですが、人気のない店というわけでなく結構美味しかったです。

僕は高級な料理屋よりも、こういう庶民的な店のほうがなじむ感じがします。

野菜炒め定食
野菜炒め定食

定食に加えて小さなラーメンまで付いています。
かなりのボリュームがありました。

でも、一日中歩いていて空腹だったので、食べ切ってしまいました。

店を出てからライダーハウスに戻る途中で右手を見ると、白馬の山々が初めて顔を見せてくれました。

雄大な景色が間近に見えて、おお~と思いました。

白馬の山々
白馬の山々

それからライダーハウスに戻り、シャワーを浴びてから就寝しました。
明日は雨の予報なので、描けるかどうか心配です。

四日目に続く!

Keisuke

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