洒水の滝でスケッチしてきました

先日、神奈川の山北にある洒水の滝(しゃすいのたき)に、スケッチするため行ってきました。
(※「酒」ではなく、お洒落の「洒」です。)

洒水の滝は神奈川県の山北町にあります。
丹沢山地の近く、と言えばわかりやすいでしょうか。

洒水の滝の地図
洒水の滝の地図

あまり知名度はありませんが、この滝は「日本の滝百選」の一つに選ばれています。

また、昔から僧侶の修行の場でもあり、鎌倉時代には文覚(もんがく)上人が、百日間も滝に打たれる荒行を積んだ地としても知られています。

先日行った大雄山最乗寺と共に、僕はこの滝にもたびたび訪れており、いつかスケッチしたいなと考えていました。

僕が設計の会社に在籍していた頃に、社員にこの話をしたことがあります。

「趣味が渋すぎる。本当に20代なの?」

当時はそう言われたのですが、僕はこういう場所が大好きなのです。

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さて、当日は「えいやっ」と早起きして向かいました。
前日は遅くまで起きていたので、かなり眠かったのですが…。

東海道線で国府津(こうづ)駅まで乗り、そこから御殿場線に乗り換えて山北駅まで向かいました。

御殿場線は、国府津駅から御殿場駅を経由して沼津駅に至るローカル線です。

JR東海の管轄なので、神奈川県内ではスイカが使えないため要注意です。
もしスイカで乗ってしまった場合は、車内で車掌に申し出て清算する必要があります。

僕はそれが嫌なので、一度国府津駅で改札を出て切符を買い直しました。

国府津駅から25分ほど電車に乗り、山北駅に到着しました。
駅を降りると、駅前の道はひなびた商店街になっています。

山北駅
山北駅
駅前の商店街
駅前の商店街
昭和三十年代の新聞
昭和三十年代の新聞

駅周辺の線路沿いの道は桜並木になっており、桜の名所としても知られています。

そのため、桜が咲く頃はカメラを持った人たちがこの駅に押しかけます。

以前、僕が春に訪れたときは、多くの人が線路に架かる橋の上から撮っていました。

ですが、今は葉桜の時期なので観光客の姿はほとんど見られませんでした。

線路に架かる橋の上から
線路に架かる橋の上から

線路沿いの道を抜けて、国道246号線を横切りました。

それから、酒匂川(さかわがわ)に架かる橋を渡ります。
橋の高度はかなり高く、覗き込むと思わず足がすくんでしまうほどでした。

酒匂川に架かる橋を渡る
酒匂川に架かる橋を渡る
橋の上から
橋の上から

そこから少し歩くと「洒水の滝」と書かれた大きな看板があるので右折します。

滝の入り口の看板
滝の入り口の看板

川沿いの遊歩道を歩いていくと、だんだん滝の音が大きくなってきました。

遊歩道を歩く

そして、9:30過ぎに洒水の滝に到着しました。

当日は非常に暑かったですが、この場所はとても涼しかったです。
体感温度は5度くらい違っていたかもしれません。

洒水の滝
洒水の滝

この滝は三段になっており、その中でも一番下流に近い「一の滝」は落差が69メートルあります。

ただし、この場所からは「一の滝」しか見ることはできません。

滝の手前には赤い橋があります。
以前はこの橋を渡って滝壷の近くまで行けたそうなのですが、落石の危険があるため、今はこの橋から先に行けません。

さっそく近くの湧き水で顔を洗いました。

ひんやりとした水が、チョー気持ちいい!

この水は「全国名水百選」に選ばれていますが、消毒はされていないので、飲めるかどうかは微妙なところです。

湧き水
湧き水
川の近くまで降りていく
川の近くまで降りていく

それから、滝の近くで用具一式を広げ、スケッチをすることにしました。

僕は普段は画用紙を横にして描くことが多いのですが、今回は縦にして描くことにしました。
そちらのほうが滝の迫力が出せると思ったからです。

最近は僕の中で「」がテーマになっています。

できるだけ色の鮮やかさを出したいと思ったので、今回も薄い色を重ねる塗り方で描いてみました。

途中経過
途中経過

ずっと座って描いていると飽きてきてしまうため、ときどき立ち上がって散歩しました。

滝の近くには最勝寺と呼ばれる寺院があります。

最勝寺の石段
最勝寺の石段

石段を登ると、たくさんの風車を持ったお地蔵さんが出迎えてくれます。

これは水子地蔵(みずこじぞう)と呼ばれており、亡くなった赤ちゃんや流産した胎児を供養するためのものです。

風が吹くと一斉に風車が回るのは見ていて非常に綺麗なのですが、その裏には哀しい事情があるのですね。

最勝寺と水子地蔵
最勝寺と水子地蔵
ずらりと並んでいる
ずらりと並んでいる

描き始めた当初は、朝早かったのでまだ人は少なかったのですが、昼頃になると、だんだんと観光客の人たちが集まり始めました。

夏休み中ということもあって、親子連れの人たちが多かった印象を受けます。

また、海外から来た若い男性の人と会話をする機会がありました。

「ベリービューティフル!」
彼は僕の絵を見て、そう言ってくれました。

「サンキュー!」と、僕。
「ちょっと写真を撮っていい?」
「いいですよ~」

彼は、なぜか僕のカメラを借りると、僕が絵の前で座っている様子を撮りました。
(そのあと、彼のカメラでも僕の様子を撮影していましたが)

「アリガトウゴザイマス!」
彼は撮り終わると、日本語で急に改まって丁寧にお辞儀してくれました。
「こちらこそ、ありがとうございます」と、僕もお辞儀。

僕は彼がどの国から来たのか聞きたかったのですが、その前に彼は立ち去ってしまいました…。

そんなやりとりをしながら、15:00頃まで描いていました。
およそ5時間くらい描いていたでしょうか。

なかなか気に入った出来になってよかったです。
色使いもだんだん「こんな感じかな?」と掴んできた気がします。

完成した絵
完成した絵

帰りは山北駅まで歩き、御殿場線に乗って帰りました。

Keisuke

大雄山最乗寺でスケッチしてきました

先日、大雄山最乗寺(だいゆうざんさいじょうじ)に、スケッチをするため行ってきました。

最乗寺は、室町時代に創設された曹洞宗(そうとうしゅう)の寺院です。

神奈川県の南足柄市の山中にあり、曹洞宗の中では、福井県の永平寺、鶴見の総持寺に次いで、格式が高いと言われています。

最乗寺の場所
最乗寺の場所

創設したのは道了(どうりょう)という僧侶で、その名前を取って道了尊(どうりょうそん)とも呼ばれています。

また、ここは箱根の外輪山の一部である、明神ヶ岳(みょうじんがたけ)へのハイキングコースの入り口になっており、たくさんのハイカーたちがこの寺院を訪れます。

僕も明神ヶ岳には何度か登ったことがあるので、この寺院にもよく訪れていました。

そんな中で、「ああ、ここの参道の雰囲気がいいなぁ」と感じて、いつかスケッチをしたいと思っていました。

夏休み中にセツで三枚絵を描く課題を出されたこともあったため、その消化も兼ねて行ってみました。

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当日は朝早く起きて、東海道線に乗り、小田原駅で下車します。

そこで大雄山線に乗り換え、終点の大雄山駅まで行きます。

大雄山線はかなりマイナーな部類に入る路線であるため、神奈川県民でも知っている人は少ないかもしれません。

電車に20分ほど揺られると、大雄山駅に到着しました。
この駅は箱根の金時山が近いため、駅前には金太郎の彫刻が飾られています。

駅の出口
駅の出口
金太郎の彫刻
金太郎の彫刻

(行きは写真を撮り忘れていたため、帰りに撮りました)

ここからバスに乗り替え、最乗寺へと向かいました。

寺院を創設した道了は、寺の完成と同時に天狗になって山中に身を隠したという伝説があります。

それにちなんで、仁王門から境内の入り口までの3kmの道は「天狗の小径」と呼ばれており、樹齢450年~600年ほどの非常に大きな杉の木が立ち並んでいます。

確かに、この杉の間を天狗が飛び回っていても、全く違和感がないかもしれません。

また、この道に沿って一万株のアジサイも植えられていて、六月中旬から七月中旬にかけて見頃になるそうです。

この道は車道ですが、歩行者用の通路もあるため、歩いている人もたまに見かけます。

バスで「天狗の小径」を抜けると、道了尊という停留所に着きました。
ここが終点で、境内の入り口です。

ここにはお土産屋が並んでいましたが、まだ朝の9時前だったので、営業はしていなかったようです。

バスを降りたところ
バスを降りたところ

バス停からはすぐに境内に入ることが出来ますが、本堂までは参道をもう少し歩かないといけません。

参道
参道

参道の両側には、石碑がたくさん並べられていました。

そこには「○○さんが××円寄付した」ということが記されていました。
一つずつ見ていくと、明治時代の人が多いようです。

変わったところでは、「杉の苗を一万本寄付した」ということが記された石碑もありました。

石碑
石碑

天狗の伝説にちなんで、境内には多くの下駄が奉納されています。

下駄は左右一体そろって初めて役割を果たすため、縁結びの象徴になっているそうです。

その中でも、ハイキングコースへの入り口にある和合下駄(わごうげた)は、世界で一番大きな下駄として知られています。

和合下駄
和合下駄

それらを見ながら参道を抜けて、本堂に行ってお参りをしました。

家族の健康と同時に、「今日は上手く絵が描けますように!」とお願いしてきました。

入り口
入り口
本堂
本堂

それから、元来た道を行きつ戻りつして、スケッチに適した場所を探します。

30分ほど探したところで、「あ、なんとなくここがいいかな」という場所を見つけたので、用具一式を広げてスケッチを始めることにしました。

描いた場所
描いた場所

この場所はちょうど大きなカエデの木の下で、日陰になっていました。
参道が遠くに向かって一直線に伸びており、絵に奥行きも出せます。
僕は奥行きのある構図が好きなのです。

画板に白い紙を広げると、カエデの木漏れ日の影が紙に映り込んでいました。
これだけで絵になるような気がしました。

描き始める前
描き始める前

さて、今回は絵の具を厚く重ねるのではなく、薄く溶いた絵の具を何度も重ねる手法で描き始めてみました。

こちらのほうが、水彩絵の具が持っている色の鮮やかさが出せると思ったからです。

途中経過(1)
途中経過(1)

当日は非常に暑かったですが、近くには小川が流れていたので多少は涼しく感じられました。

しかし、少し歩き回ると、それだけで汗が吹き出してきます。

「虫が多いかな?」と思って、虫除けスプレーを事前に塗っていたのですが、あまり近寄ってくることはなかったので、ラッキーでした。

ただ、大きなアリが多く、ときどきパレットの上を我が物顔で歩き回っていましたが…。

描いていると、ときどき目の前をハイカーたちが横切っていくのが見えました。
でも、向こうは邪魔しちゃ悪いと思ったのか、あまり挨拶はされませんでした。

また、何度か遠くからほら貝の音が聞こえてきました。
修行している僧侶たちが使っているのかもしれません。

昼食はあらかじめおにぎりを買っていたのですが、途中で甘いものが食べたくなったため、お土産屋に立ち寄ってマカロンを購入しました。

これは卵白に砂糖を混ぜて泡立ててから焼いたお菓子です。
店のおばちゃんによると、このお菓子は近くの工場で作られているそうです。

でも、マカロンって本来は丸い形をしていなかったっけ?

そう思って後で調べてみると、これは「まころん」と呼ばれる、日本で独自で発達したお菓子のようですね。

(追記)
後で「まころん」をもう少し調べてみると、仙台の茶色いお菓子のようです。
当日買ったのは「メレンゲマカロン」というのが一番近いかもしれません。

マカロン(まころん)
マカロン(まころん)
マカロンとまころん
マカロンとまころん

スケッチしている場所に戻り、さっそく一口食べてみると…

…う、うまい!

食感は非常に軽く、一度食べ始めたら止まらなくなります。

シンプルなお菓子が、こんなに美味しいものだとは知りませんでした。
結局、一袋全部食べきってしまいましたよ。

そんなお菓子の力も借りながら、午後三時ごろまで描いていました。

完成した絵
完成した絵

セツで描くのが早い生徒は、一日に何枚も描くことができるのですが、僕はやっぱり一日に一枚が限界のようです。

しかし、とても鮮やかな色使いの絵になったため、気に入った出来になって嬉しかったです。
(もう少し、濃い色を乗せてもいいのかもしれませんが…)

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帰りにまた本堂に寄って、いい絵が描けたことに対するお礼を言いました。

バス停まで戻ると、まだ出発までに時間がありました。

先ほどマカロンを買ったお土産屋さんに再度立ち寄って、家族のお土産用にまた同じものを買いました。
(結局は、それも僕がほとんど食べてしまったのですけど・笑)

会計のときに、おばちゃんの店員に尋ねられました。

「今日はどちらまで行かれたのですか?」

おばちゃんは僕の重そうなリュックを見て、ハイカーだと思ったのでしょうか。

「実は、境内で絵を描いていたんですよ」と、僕。

僕が事前に撮っていた絵の写真を見せると、おばちゃんは「あら~素敵な絵ですね!」と褒めてくれました(笑)

ついでに名刺も渡しておきました。
店内で水を一杯頂いてから、バスと電車に乗って帰りました。

帰りの大雄山線の電車
帰りの大雄山線の電車

Keisuke

鶴見に風景スケッチに行ってきました(二回目)

僕が通っているセツ・モードセミナーは、7月20日から夏休みに入りました。

期間中には「四六判半切サイズの絵を三枚以上描く」という課題が出されました。

四六判半切は、普段の授業で人物水彩を描いているサイズです。
(とは言え、夏休みは四十日以上あるため、たった三枚だけでは少なすぎるのですが)

何を描くかというテーマは自由です。

課題の内容が書かれた貼り紙には、「荒削りでも全力でぶつかってくるような作品を!」という趣旨の内容が書かれていました。

うむむ…僕にそんな絵が描けるのだろうか…。

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ともあれ、心配しても仕方ありません。

さっそく僕は一枚目の絵を描くため、横浜にある鶴見線の国道駅に向かいました。

この駅には以前にも訪れたことがあります。

以前にも書きましたが、駅のガード下は戦前に造られてから、ほとんど変わっていません。
僕はその昭和のうらぶれた雰囲気が好きなのです。

JR鶴見駅で下車し、歩いて国道駅に向かいました。
現場に到着したのは朝の9時前です。

国道駅の入り口
国道駅の入り口
駅の看板
駅の看板
駅の構内
駅の構内

前回はここの近くの鶴見川でスケッチしましたが、「今日はこのガード下で描こう!」とあらかじめ決めていました。

当日、外はかなり暑かったのですが、ガード下は直射日光が当たらないため、まだ涼しいほうでした。

それでも幹線道路の近くにあるため、むあっとした熱気がときどき襲ってきます。

さて、今回はある方針で絵を描くことにしました。
それは、黒い絵の具を極力使わないということです。

それには二つの理由があります。

一つ目は、今日の狙いは軽さをテーマにしているということから。

この場所は薄暗いので、ちゃんと色合いを再現するなら黒を使うべきでしょう。
しかし、黒をふんだんに使うと絵が重くなってしまうのです。

二つ目は、色に関しては思い切ってアレンジしようと思ったから。

先ほどの人物水彩の授業の記事で書いたように、色についてもっと冒険してもいいのかもしれない、と思ったのです。

というわけで、今回は暗い部分を青色を中心に使って描こうと決めました。
また、その補色であるオレンジ色も多めに使おうと思いました。

そんな狙いを持ちながら、通行人の邪魔にならない場所で、スケッチ用具一式を広げて始めることにしました。

ですが、いざ描き始めてみると、非常に難しかったです。
こういった構造物は、自然の風景を描くのと異なって、ちゃんと直線で形が決まっているからです。

今回も、いつもセツの授業でやっているように、下描きをせずにいきなり筆で描き始めました。

しかし、何度描いても絵の辻褄が合わなかったので、かなりの描き直しを迫られてしまいました。
特に連なっているアーチ構造を描くのが難しかったです。

描き直しをすると、今使っている絵の具では上に重ねた絵の具に下の色が透けるので、どうしても濁ってしまうのですよね…。

形の狂いを気にせずに色だけに集中したほうが、今回は良かったかもしれません。

また、途中でお腹が痛くなって、近くのコンビニのトイレに行くなど、あまり良い調子で描くことができませんでした。

ガード内の通行人は、思っていたよりもずっと多かったです。

僕はイーゼルを立てかけ、大きい紙に描いているので、いやでも目立ってしまいます。

一人のおじさんは、僕に話しかけてきました。

「私はね、この近くでペンキ屋をやってるんです。
 絵は描けないけれど、どんな色を使っているかには興味があるんですよ」

「へえ~、そうなんですか」と、僕。

「もう少し黒い絵の具を使うと、国道駅らしい雰囲気が出るんだけどね」
僕が青を中心に描いているのを見て、彼はそう言っていました。

また、別の男性は「上手く奥行きが出てますね」と褒めてくれました。
(僕としては、あまり奥行きが出ている感じはしなかったのですが…)

それから、男性は僕に対してこんな相談を持ちかけてきました。

「私も絵を描いているんだけど、上手く奥行きが出ないんですよ。
 SLが遠くに向かっていく様子を描きたいんだけど…」

僕はその人に対して、立方体を描いて簡単なパースのつけ方を解説しました(かなり適当ですが)。

彼は「いやぁ、勉強になりました」と言っていましたが、本当に上手く伝わったのかどうか少し疑問が残ります。

この日は休日だったため、利用しているのは地元の人だけではなく、わざわざこの駅を訪れて駅構内で写真を撮っている人もたくさんいました。

穴場的ではあるにせよ、知っている人にとっては有名なスポットなのかもしれません。

一人のカメラマンはずっと同じところで撮っていたため、彼の姿を絵に描き加えることにしました。

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なんだかんだで午後三時過ぎまで描いていたのですが、結局、ちゃんと納得のいく出来にはなりませんでした。

あまり奥行きを出すことができなかったため、やや平板な印象を与えます。

また、本来であるならガード下はもっと暗いのですが、全体的に明るくなってしまいました。

ですが、これ以上暗くすると色が濁ってしまうかもしれないのですよね…。
う~む、難しいところです。

もしかしたら、セツで習う下描きをしない描き方は、直線的な構造物とは少し相性が悪いのかもしれません。

完成した絵
完成した絵
駅構内とスケッチ
駅構内とスケッチ

結局、課題の趣旨である「荒削りでも全力でぶつかってくるような作品」にはなりませんでした。

まあ、絵を描いていればこんなこともあるかと思います。
野球の打者だって、三割打てれば上出来なのだから。

Keisuke

自然公園の古民家

先日、近所の自然公園に行ってきました。
以前に一度記事にした事のある公園です。

この公園の敷地内の一角には、わらぶき屋根の古民家があります。
これはもともとここにあった建物ではなく、近くから移築されてきたようです。

とても落ち着ける場所なので、ときどき行ってのんびりしています。
とは言っても、これからの季節は虫が多いので対策は必須ですが…。

入り口を入ると、左手に作業棟や事務所などの建物があり、その奥に古民家があります。

古民家
古民家

中央は広場になっており、それを「コの字型」に取り囲むように三つの建物があります。

建物はそれぞれ母屋(おもや)・納屋(なや)・水屋(みずや)と呼ばれています。

母屋が最も大きな建物で、主な生活の場として機能していました。

母屋の玄関を入った左側には、訪れた人が感想を書くノートや、俳句を投稿する箱が置かれています。

帰りがけに、こっそり俳句の投稿用紙に落書きしてしまいました(笑)

こっそり描いた落書き
こっそり描いた落書き

右手には土間があり、幾つかの竈(かまど)が並んでいます。

最も奥の竈では炭が赤々と燃えており、その上には大きな鍋が乗せられていました。
何か料理を作っていたようです。(何を作っていたのだろう?)

そこから一段上がったところは畳になっています。
中央には囲炉裏があり、床の間には子供の書いた習字が貼られていました。

家屋の雨戸は開け放たれていたので、とても風通しが良かったです。
その代わり、外から埃が入ってくるので汚れやすいかもしれません。

それでも綺麗に整備されているのは、ボランティアの人たちのお陰なのだと思います。

縁側には収穫されたタマネギが干してありました。

いつもは、竹とんぼやお手玉などのおもちゃがを入れた箱が置かれており、自由に手にとって遊ぶことができるのですが、今日は見かけられませんでした。

干してあるタマネギ
干してあるタマネギ
縁側
縁側

休日の天気の良い日は、子供連れの家族や中高年の人たちが、この縁側に座って休んでいる光景をよく見ます。

しかし、この日は台風が近づいていたので、訪れる人は僕以外にほとんどいませんでした。
たまに作業着の人が通るくらいです。

縁側に座って右手にある建物は納屋です。

ここには昔ながらの農機具(木製の脱穀機など)が置かれていました。
まだ実際に使っているのでしょうか。

納屋
納屋

左手にある少し小さな建物は、水屋と呼ばれています。

僕は水屋がどういう建物なのか知らなかったのですが、後で調べてみると「台所」のことを指すようですね。

ただ、中に入ることはできなかったので、今は使われているのかどうかわかりません。

この建物の軒下には木製のベンチが置かれており、ここから母屋と納屋を眺めることができます。

僕はそのベンチに腰掛けて、スケッチをすることにしました。

スケッチした場所
スケッチした場所

とは言っても、実は一年前にもこの場所に来てスケッチをしており、ペンによる線画だけは既に終わらせていたのです。

スペインの巡礼から帰ってきた後に、「日本の風景も描きたいな」と思って描いていました。

でも、線画だけ描いたら満足して、色を塗る気になれませんでした。

一年ほどそのまま放ったらかしにしていましたが、また同じ季節がやってきたので、ちゃんと仕上げることにしたのです。

(実は以前にも色を塗ろうと思っていたのですが、途中まで描いて止めていました)

雨が急に強くなったり、突然に止んで晴れ間が見えたりと、あまり安定しない天気でしたが、軒下で描いていたので濡れることはありませんでした。

透明水彩の絵の具を使って、三時間ほどかけて色を塗りました。
綺麗な色に仕上がったと思うので、自分でも少し嬉しくなりました。

スケッチ
スケッチ

それでも、緻密な描き方は今は少し窮屈に感じてしまいます。

やっぱり最近は下描きをせずに、いきなり絵の具で塗るほうが、伸び伸び描くことができるので好きですね。

最近は「途中で終わっているものを、ちゃんと一つずつ終わらせよう!」と考えていて、先日の部屋の大掃除もその一環です。

これで少しずつ、自分の身が軽くなってくれるといいのですけどね。

Keisuke

鶴見に風景スケッチに行ってきました

先日、鶴見に風景スケッチに行ってきました。
行った場所は、JR鶴見線の国道駅(こくどうえき)付近です。

これを読んでいる方々は、「なぜわざわざそんな場所に行ったのか?」と疑問に思うかもしれません。
それは、僕は以前に鶴見にある職業訓練校に通っていたことがあるからです。

鶴見駅から訓練校までは、鶴見線を利用したほうが早いですが、僕はその区間を40分ほどかけてたまに歩いていました。

そんな中で、国道駅付近の雰囲気が気に入り、いつかスケッチしたいと考えていました。

このことはずっと忘れていたのですが、最近になってふっと思い出したのです。
数年越しの念願がようやく叶った、といったところでしょうか。

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鶴見線は鶴見駅を基点とするJRの路線ですが、関東近辺でも知る人ぞ知るマイナーな部類に入るのではないでしょうか。

なぜなら、一般の人はほとんど利用する機会がなく、利用者は主に沿線付近の工場の従業員や職業訓練校の生徒などに限られるからです。

そのため、朝夕は非常に電車の本数が多いですが、日中は極端に本数が少なくなります。

この鶴見線には、特徴的な駅がいくつかあります。

例えば、海芝浦(うみしばうら)という駅は、ホームが海に面しています。

改札を出た先が工場の敷地になっているため、一般の人は改札を出ることができません(ただし、その近くに隣接されている公園には、一般の人でも立ち寄ることができます)。

まだこの駅には行ったことはないのですが、そのうち行ってみたいですね。

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さて、当日は朝早く出発してJR鶴見駅で下車します。
そこから15分ほど歩いて、8:40頃に国道駅に到着しました。

国道駅は、鶴見駅から鶴見線に乗って一つ先の駅ですが、歩いてもそれほど距離はありません。

国道駅の入り口
国道駅の入り口

前述のように、鶴見線は特徴的な駅の多い路線ですが、国道駅もそれに負けないほどの特徴があります。

この駅構内は、1930年に建設された当初から全く改築されていないのです。
そのため、特に駅のガード下は昭和の香りがぷんぷんします。

国道駅のガード下
国道駅のガード下
反対側から
反対側から

このガード下は、映画やドラマのロケにも使われたことがあったそうです。
現在は無人駅ですが、Suicaには対応しています。

Suicaを読み取る機械
Suicaを読み取る機械

この場所では、以前はさまざまな店舗が営業していましたが、今はほとんど閉鎖しています。

しかし、「国道下」という焼き鳥屋は、唯一営業しているようですね。

「国道下」という焼き鳥屋
「国道下」という焼き鳥屋

その近くには、太平洋戦争の頃にアメリカ軍から空襲を受けたときの、機銃掃射の跡が今でも残されています。
(現在はその上に緑のネットが張られています)

機銃掃射の跡
機銃掃射の跡

このガード下も絵になりそうですが、本日の目当ての場所はここではありません。

ガード下を抜けて、鶴見川に出ました。

この場所は海が近いので、流れが非常にゆったりとしています。
頭上には鶴見線の高架があり、その岸辺には船が係留されていました。

鶴見川の高架下
鶴見川の高架下

河口側の川に架かっている道路は、首都高速神奈川1号横羽線です。
その上を乗用車やトラックなどの車両が行き交っているのが見えました。

その向こうに大きく見えるのは、横浜火力発電所の排気筒です。
高さは200mある、巨大な建築物だそうです。

ツインタワーですが、スケッチした場所からでは重なってほとんど一本に見えました。

僕はそんな風景が見える高架下で用具一式を広げ、スケッチを始めました。

描いた場所
描いた場所

描いていると、ときどき高架の上を電車が走っている音が聞こえてきました。

当日は暑く日差しが強かったので、日向で描くのは自殺行為でしたが、高架下は日陰になっており、風が吹いていたので過ごしやすかったです。

ただ、途中で風にあおられたイーゼルが倒れてしまうことが何度かありましたが…。

ここは現地の人(主に老人)がたむろする場所にもなっています。
彼らは、主に本日行われる競馬の話をしていました。

そんな中で、僕はかなり大きな絵を描いていたので、いやでも目立ちます。

そのため、彼らは僕にいろいろ話しかけてくれました。

「私もこのぐらいの絵を描いてみたいんだけどね」と言う人や、
「これあげるから、頑張ってね」と、缶コーヒーをくれる人もいました。

描いている途中で、近くにいた小さな女の子が急に泣き出して、父親があやしていましたが、どうしてそんなに泣いていたのかわかりません。

9:00頃にスタートし、休憩を含めて5時間半ほどで完成させました。

これだけ注目されていたので、「失敗したらどうしよう」と少し不安になっていたのですが、何とか無事に完成したのでほっとしました。

完成した絵
完成した絵

空や川の緑色と、川沿いの道のピンク色との対比が気に入っています。

あまり絵に手を加えすぎると、色が濁ってしまうことがあるのですが、そうならなくてよかったです。

やっぱりセツに通い始めると、少しずつ画風が変化している気がしますね。
良い方向に向かってくれますように。

Keisuke