長野の白馬に行ってきました(二日目・水車小屋)

二日目は、大出(おおいで)の吊橋の方面に行きました。

この吊橋は、晴れていると吊橋の奥に雪をかぶった白馬の山々を見ることができます。

僕はガイドブックでその写真を見て、「こんなところでスケッチしたいな」と思っていました。

今日はそれが叶うと思うと、わくわくして朝早くに目が覚めてしまいました。

起きて外を見ると、雲が多いものの晴れ間も見えていました。
天気が心配だったのですが、この様子なら山々が綺麗に見えるかもしれません。

ライダーハウスで昨日買っておいた朝食をとり、出発します。

吊橋は白馬駅の線路を渡った先にあるので、まずは歩いて白馬駅に向かいました。

靴を見るとかかとがはがれていたので、途中のコンビニで昼食を買ったついでに、アロンアロファを買って補修しました。

白馬周辺の地図(1)
白馬周辺の地図(1)

さて、吊橋に向かう前に少し寄り道をすることにしました。

まずは、木流(きながし)川の上流に向かいました。

白馬周辺の地図(2)
白馬周辺の地図(2)

この川は、白馬の中心を流れる姫川の支流で、川に沿って遊歩道が整備されています。

川の近くには、木で造られた古い建物がありました。

川沿いの古民家
川沿いの古民家(2)
川沿いの古民家(2)

川に沿って歩くと、細いアスファルトの道と交差する場所に出ました。

その道沿いには神社があったので、お参りすることにします。

神社の入り口
神社の入り口

鳥居をくぐると、そこには二つの建物が並んでいました。

向かって右の建物は平川神社八幡宮と呼ばれ、こちらがこの神社のメインの建物だそうです。

僕はそこで「今日はいい絵が描けますように!」とお祈りしてきました。

平川神社八幡宮
平川神社八幡宮

向かって左の建物は、戦争で亡くなった白馬出身の人の魂を祭る護国神社だそうです。

近くの石碑を見ると「明治四十四年に造られた」と書かれていたので、日露戦争の後で建てられたのですかね…。

護国神社
護国神社

また、この神社が面した街道は「塩の道」と呼ばれており、長野の松本から新潟の糸魚川へと続く道として発展したそうです。

非常に景色の良い道ですが、道は険しく、冬場は大雪のため通行するのは困難だったとか。

また、戦国時代に上杉謙信が武田信玄に塩を送ったとされるのも、この道を利用したそうです。

それからまた川沿いの道に戻り、さらに川の上流に向かいます。
まだ朝が早いので、周囲にはほとんど人がいません。

遊歩道は草むらの中の小道になっています。
昨日雨が降ったので、足元の草は濡れていました。

深呼吸をすると、草木から立ち上ってくる独特の甘い爽やかな匂いがしました。

嗅いだことのある人なら、なんとなくわかってくれると思うのですが…。
伝わりますかね、この感じ。

将来こんなところに住んで、自然と共に生きられたらなぁ…と思います。

ですが、実際に住んでみると不便を感じるだろうし、冬場は大量の雪が降るのでそれはそれで大変かもしれません。

しばらく歩くと、遊歩道は木々の間の道になりました。
その横を小川がさらさらと流れています。

木々の間の道を歩く
木々の間の道を歩く

この小道は特にこれと言って見るべきものはなく、観光スポットでもありません。

訪れる人もあまりいないのですが、僕はこの場所が気に入りました。

別の日にここでスケッチするのもいいかな。
とてもリラックスできる場所でだったので、僕はそう思いました。

その先には小さな池(ビオトープ)がありました。
ここには木で造られた小屋があり、中から池の様子を観察することができます。

案内板によると、ここには多様な生物がいるとのこと。
でも、僕が見た限りでは、特にこれといった生き物はいなかったような…。

池と小屋
池と小屋

遊歩道はまだ奥まで続いていましたが、寄り道ばかりしていられません。
元来た道を引き返し、また駅の方向に向かいました。

元の道を引き返す
元の道を引き返す

次に、線路を越えた先にある詩の小径(うたのこみち)という場所に行こうと思いました。

地図によると、この道を辿っていけば大出の吊橋に到着するそうです。

白馬周辺の地図(3)
白馬周辺の地図(3)

場所がわかりにくかったので、駅前のタクシーの運転手に尋ねました。
でも、その人はこの辺りの地理にあまり詳しくなかったようです。

彼は別な運転手を紹介してくれて、「あの人のほうがよく知っているから」と教えてくれました。

(その別の運転手に聞くと、丁寧に道順を教えてくれました)

案内板の方向に向かうと、「詩の小径」と書かれた木の柱が立っていました。
ここが入り口のようです。

「詩の小径」の入り口
「詩の小径」の入り口

その近くには六体の地蔵が祭られていました。
これらは、一体一体に名前が付いているそうです。

六地蔵
六地蔵

小さな橋を渡ったところには、釣り人の人形が置かれていました。
僕はその表情が面白く感じて、気に入ってしまいました。

橋の近くに置かれていた釣り人の人形
橋の近くに置かれていた釣り人の人形

川沿いには素木庵(すきあん)という古民家があり、木で作られたスプーンやフォーク、和紙で作られた小さな鉢植えなどが売られていました。

軒下には蒸気機関車が描かれた、非常に上手な絵が飾られていました。

素木庵
素木庵
さまざまなものが販売されている
さまざまなものが販売されている

詩の小径沿いの木の幹には、木の板に書かれた俳句や川柳が掛けられていました。

これらは地元の住人や観光客が書いたもので、この道の名前の由来になっているそうです。

途中で小さな橋を渡りましたが、その欄干にも句が取り付けられていました。

橋を渡る
橋を渡る

その道を抜けた先には、鮭の養殖場がありました。
生簀(いけす)の水は透き通っています。

生簀
生簀
魚がたくさん泳いでいる
魚がたくさん泳いでいる

ここで育てられている信州サーモンは、約10年かけて開発された品種だそうです。

ニジマスとブラウントラウトを掛け合わせて作られたのだとか。

「信州サーモン」の解説
「信州サーモン」の解説

そんなものを見ながら歩いていると、ようやく目的地の大出の吊橋に到着しました。

その手前には藁葺きの古民家があります。

大出の吊橋
大出の吊橋
茅葺きの古民家
茅葺きの古民家

早速渡ってみると、橋は結構な高さがありました。
でも、頑丈に造られていて揺れなかったので、それほど怖くはありませんでした。

この吊橋が架かっている川は姫川と呼ばれています。
白馬の中心を貫き、最終的には新潟の糸魚川に繋がっているそうです。

吊橋の近くには広場があり、そこの一角には橋を見渡せるポイントがあります。

橋を見渡せるポイント
橋を見渡せるポイント

ここからは雲がない日なら、吊橋の向こうに白馬の山々を望むことができます。

まさにガイドブックに載っていたのはこの場所であり、昨日観光案内所で貰った地図にも「絶好の撮影スポット」と書かれていました。

…ですが、この日は雲が多く白馬の山々は隠れてしまって、残念ながら見ることができませんでした。

なんだか想像していたのと少し違うなぁ…。

僕はそこでスケッチするのはあきらめて、別の場所を探すことにしました。

しかし、特に他にはこれといって描きたい場所がなかったため、とりあえず近くをぐるっと散歩してみることにします。

もう一度吊橋を渡って対岸に行くと、そこは道路の工事中でした。

水車小屋だったら、そこの脇道から行けるよ」
交通整理をしていたおじさんは教えてくれました。

そんなものがあるのか…。
僕は知らなかったのですが、行ってみることにしました。

川沿いの細い道を少し歩くと、小さな広場に出ました。

そこには水車小屋があり、近くには小川が流れています。
水車が跳ね上げた小川の水が、キラキラと光っているのが見えました。

水車小屋
水車小屋

その近くにはアジサイも咲いていました。

多少色は悪くなっていましたが、もう八月の中旬なのにまだ咲いているということは、こちらでは季節の進みが遅いのでしょうか。

アジサイと小川
アジサイと小川

僕はこの場所が気に入ったので、水車小屋が見える場所に腰を下ろし、スケッチすることにしました。

時刻は午前10時頃です。

日差しが強かったので、木陰で描き始めました。
しかし、一時間もしないうちに太陽が移動して日向になってしまいました…。

これだったら、いっそのことあと5メートル前に出たほうが、より小川の流れがはっきり描けたかもしれません。

半袖で描いていると、腕がチリチリと焼かれている感覚になりました。

それでも空気は乾燥しているし、ときどき涼しい風が吹いてきます。
これ以上は耐えられない、ということはありませんでした。

途中経過
途中経過

描いていると、大型の犬を連れた家族がやってきました。

犬は小川を見つけると、喜んで中に飛び込んで、ザブザブと水の中を歩き回っていました。

(リードする側の父親は大変そうでしたが…)

10歳くらいの女の子は「すごく水が冷たい!足がやばい!」と言っていたので、彼らが去った後に、そっと小川に手を浸してみると…。

…うわっ、冷たい!

それは、予想していたよりもずっと冷たい水でした。

僕は靴と靴下を脱いで流れに足を浸しましたが、しばらくすると足の感覚がなくなってしまうほどでした。

僕はそこで顔を洗って、腕にも水を付けました。
濡れた顔に涼しい風が吹いてくると、とても気持ちよかったです。

これほど水が冷たいのは、白馬の山々の雪解け水だからなのでしょうか。

ずっと描いていると飽きてしまうので、たまに吊橋の辺りを散歩しました。

川は昨日降った雨のせいで、茶色く濁った水が勢いよく流れています。
その川をゴムボートでラフティングをしている人たちが見えました。

ラフティングをする人たち
ラフティングをする人たち

そんなことをしながら、午後3時頃まで描いていました。

完成した絵は、なかなか気に入った出来になりました。
水車小屋の陰の紫色がうまくいったかな?と思います。

完成したスケッチ
完成したスケッチ
スケッチと風景
スケッチと風景

僕は満足してスケッチ用具を片付けると、しばらく周囲の遊歩道を歩いた後で、また元来た道を引き返しました。

せっかくなので、詩の小径に僕の考えた川柳を投稿しようと思ったのですが、投票箱が見当たらないため、諦めてしまいました。

どんな句を考えていたかって?…それは秘密です(笑)

一時間ほどせっせと歩き、ライダーハウスに戻ります。

シャワーを浴びてしばらく休んだ後に、洗濯と食事のため、また駅前に向かいました。

(泊まっていたライダーハウスには洗濯機がないからです)

オーナーに教えてもらったコインランドリーに入り、洗濯物を洗濯機(400円)に放り込みます。

終わるまでに30分以上かかるようなので、その間に駅前でどこか食べる場所はないかと探しました。

コインランドリー
コインランドリー

良さそうだなと思った食堂は定休日だったため、最終的には一軒の魚料理店に入りました。

店内では登山帰りの若者たちが食事をとっていたり、現地の老人たちが酒を飲んでいたりしていました。

思ったよりも繁盛している様子です。

店に入る前は「もしかしたら高い料理屋かも?」と心配していましたが、メニューを見てみると、そこそこリーズナブルな値段でした。

僕はカウンター席に座ると、メニューの中から海鮮丼を選びました。

梅・竹・松の三種類のグレードがありましたが、僕は一番安い梅(850円)を頼みました。

それでもイクラが上に乗っていて、味噌汁やお漬物まで付いていました。
とても美味しかったです。

海鮮丼
海鮮丼

食べ終えた後は、またコインランドリーに戻り、洗濯物を乾燥機(200円)に移し替えて20分ほど待ちました。

ぼんやりと自分の洗濯物が乾燥機の中で回っているのを眺めていると、そこに部活帰りの女の子たちがやってきました。

彼女たちは、大量の汚れたユニフォームを持ち込んで洗濯していました。

乾燥が終わったようなので取り出し、たたんでからライダーハウスに戻りました。

明日もいい絵が描けるといいな…と思いながら就寝します。
三日目に続く!

Keisuke

長野の白馬に行ってきました(一日目)

白馬旅行の一日目です。

この日は八王子駅まで行き、そこから12:30発の特急あずさに乗って松本駅まで向かい、さらに大糸線に乗り換えて白馬駅まで向かう予定でした。

ところが、さっそくトラブルが発生しました。
中央線で人身事故があり、その関係であずさの到着が遅れていたのです。

結局、15分遅れで列車は八王子駅に到着しました。

特急あずさ
特急あずさ

僕が乗り込むと、列車はすぐに出発します。
車内は思ったよりも混雑していました。

昼食のお寿司
昼食のお寿司
車窓から
車窓から

時刻通りに行けば、松本での乗り換え時間が23分あるので、「これならぎりぎりで間に合うかも?」と思っていました。

しかし、列車が駅に止まるたびに、徐々に遅れが大きくなっていきます。

松本に着いた頃には、もう予定していた電車が行ってしまった後でした…。

松本駅
松本駅

というわけで、松本駅で40分ほど待ち、予定していた一本後の大糸線の電車に乗りました。

大糸線は、松本駅から新潟の糸魚川駅をつないでいるJRのローカル線です。

安曇野(あづみの)の田園地帯を抜けて、一時間弱で信濃大町駅に到着しました。

白馬駅に向かうには、ここでまた乗り換えなければいけません。

乗り換えのために一度電車を降りて、駅のホームで待ちます。
少し肌寒く感じてきたので、荷物から長袖を取り出して着込みました。

念のために上着を持ってきていてよかったです。

大糸線の電車(折り返し松本行き)
大糸線の電車(折り返し松本行き)

25分ほど待っていると、白馬駅に向かう電車が到着したので乗り込みます。

ボックス席の車窓から外を見ると、空は厚い雲が立ち込めて、辺りはどんどん薄暗くなってきていました。

電車は田園地帯から、緑深い森や杉林の中に入っていきます。

なんだか地の果てに向かっているようで、非常に心細くなりました。

途中では、木々の間から大きな湖も幾つか見えました。
これらは木崎湖や青木湖と呼ばれている湖です。

車窓から見た湖
車窓から見た湖

午後5時過ぎに、ようやく白馬駅に到着しました。

ここは大糸線の中でも比較的大きな駅で、ここで降りる乗客がたくさんいました。

学生たちや登山の服装をした人たちの中に混ざって、僕も下車します。

白馬駅
白馬駅

まず、駅前の観光案内所で白馬の観光マップを貰ってから、ライダーハウスに向かいました。

建物は駅から2km以上離れたところにあります。

あらかじめ調べていた地図によると、駅前を通っている幹線道路を南に歩き、右折してしばらく行ったところにあるそうです。

僕が歩くペースだったら、だいたい40分くらいかな…。
僕はそう見込んでいましたが、実際に歩いてみると思ったよりも長く感じてしまいます。

早く着かないかなぁ、と考えながら歩いていました。

さらに、途中で雨が降り出しました。

リュックから折り畳み傘を取り出すのは面倒なので、そのまま歩いていました。
でも、しばらくすると本降りになってきて、かなり濡れてしまいました。

ライダーハウスはこの道路をどこかで右折するのですが、地図を見ても場所がわかりにくかったので、大きな薬局の前で電話して聞いてみました。

すると、ちょうどこの薬局の角を右に曲がればいいそうです。
途中にコンビニもあるので、そこで食料を調達してもいいのだとか。

電話通りにその角を右折して幹線道路から離れると、細い真っ直ぐな登り坂になりました。

通り沿いには別荘やペンションが並んでいて、途中にはセブンイレブンもあります。

その道をしばらく歩くと、右手に「炭火焼肉ジョイフル」と書かれた看板が出ていました。

どうやらここが今日から泊まる予定の「ライダーハウスJoyful」のようです。

ライダーハウス(写真は翌日撮ったもの)
ライダーハウス(写真は翌日撮ったもの)

宿に到着すると、オーナーが奥の部屋から出迎えてくれました。

電話口ではもう少し若い人を想像していましたが、現れたのは白い無精ひげを生やしたおじいちゃんでした。

彼は「結構雨に降られた?」と僕を気遣ってくれました。

チェックインの手続きを済ませると、彼は僕を部屋に案内しました。

予想していたよりもずっと綺麗な部屋で、テレビも付いていました。
部屋の中には赤いカーペットが敷かれており、二つのベッドが並べられています。

「ベッドは二つのうちの一つを使って。ライダーハウスだから、部屋には冷蔵庫もなにもないよ!」

彼はそう言っていましたが、一泊1500円という値段で、個室とベッドがあるだけでも天国というものです。

部屋の中はこんな感じ
部屋の中はこんな感じ

「四日間は好きに使ってくれて構わないよ。出かけるときは、フロントに置いておけばいい」

オーナーは僕に部屋の鍵を渡し、そう言いました。

ここは先ほどの看板の通り、焼肉を夕食に出してくれるそうですが、この日は僕しか泊まっていなかったので、夕食のサービスはないそうです。

その替わりに幹線道路まで出れば、通り沿いに何軒か料理屋があるのだとか。

僕は部屋で一息ついた後で、シャワーを浴びます。
それから、近くの中華料理屋に出かけて五目そばを食べました。

夕食の五目そば
夕食の五目そば

近くのコンビニで朝食を買い、宿に戻りました。

やれやれ、思ったよりも疲れました。
「明日は晴れるといいな…」と思いながらこの日は就寝しました。

二日目に続く!

Keisuke

長野の白馬に行ってきました(前置き)

先日、五日間ほど長野県の白馬村に行ってきました。

このブログを読んでいる方は、「また唐突に…」と思うかもしれません。
それには、以下のような理由や経緯があるのです。

実は鹿嶋に行く少し前から、「どこか涼しいところでスケッチをしたいなぁ」と漠然と考えていて、その候補として長野あたりの避暑地で良い場所がないかと探していました。

なぜ長野が真っ先に浮かんだのかというと、もうかなり昔のことになりますが、長野を自転車で走ったことがあるからです。

自転車を電車に乗せて小淵沢まで運び、そこからビーナスラインや美ヶ原、松本などに行きました。

その時に、長野はいい場所だなぁと思って、また来たいと思っていました。

とは言っても、長野は広くて観光スポットもたくさんあります。
また、特別に「ここに行きたい!」という気持ちも湧いてきませんでした。

そこで「できるだけ安い宿泊施設を探して、そこを起点にしていろんな場所でスケッチをしよう」と考えました。

まずは、昔は安宿の代名詞であったユースホステルに泊まることを検討してみました。

ところが、全盛期に比べると最近はその数がかなり減少しており、かろうじて残ったところは値上がりが進んでいました。

会員でない人は、素泊まりでも一泊3600円くらい掛かってしまいます。

う~ん、もっと安いところはないかなぁ。

僕はそう考えて、さらに調べていたところ、「そういえば、ライダーハウスはどうだろう?」とふと思い付きました。

ライダーハウスというのは、主にバイクで旅行する人のための簡易的な宿泊施設で、一泊で無料~2000円前後と非常に料金が安いことが特徴です。

もちろん、設備も値段相応です。

寝袋を持参して、みんなで大部屋で雑魚寝をするというのが基本的な宿泊スタイルです。

主にライダーハウスは北海道に多く存在しますが、一部は本州にもあります。

僕が昔に北海道を自転車で旅行したときによくお世話になったため、その存在を知っていました。

ライダーハウスという名前の通り、利用者はライダーが多いですが、別にそれだけに限られているわけではなく、自転車や徒歩で旅行している人も受け付けています。

「屋根があって寝ることができればいい」という人にとっては、まさにうってつけの施設です。

そんなわけで、長野のライダーハウスをネットで調べていたところ、一泊1000円で泊まれる場所を見つけました。

ライダーハウス ジョイフル」というライダーハウスです。
(追記・現在は閉鎖し、葡萄屋という宿に移転したそうです)

ネットの口コミを見ても、それほど悪い場所ではなさそうです。

というわけで、鹿嶋から帰ってきてから、すぐに宿に予約の電話をしました。

オーナーの話によると、お盆を過ぎると宿泊客がぐっと少なくなるため、特別に個室を用意してくれるそうです。

また、ベッドもあるので寝袋の持参も不要なのだとか。

料金は個室ということで一泊で500円増しになりますが、それでも全然高くないため、ちっとも構いませんでした。

(というか、果たしてこれで経営が成り立っているのだろうか…)

それから、白馬周辺で絵になりそうな場所をネットやガイドブック等で探してみました。

すると、かなり良い場所が何箇所もあるではないですか!

特にガイドブックに載っていた「大出の吊橋」という場所は、背景に白馬の急峻な山々を見渡すことができるので、スケッチにはちょうど良さそうです。

実は、宿を予約した後も、まだ行こうかどうしようか迷っていたのですが、このガイドブックの写真を見て、「よし、行こう!」と決意しました。

というわけで、不安はあったもののとても楽しみにしていました。

と言っても、前日になると「行きたくない病」が発病して、極端に憂鬱になってしまったのですが…。

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白馬に行こうと思った理由や経緯については以上です~。
次からは本編が始まります。

Keisuke

茨城の鹿嶋に行ってきました(六日目・潮来の祭り~七日目)

六日目は、鹿嶋にある家の近所のHさんの庭で描きました。

ここの庭はとても広く、かつ手入れがされているので、とても素敵な場所になっています。

庭というよりも、ちょっとした森になっていると言ったほうがいいかもしれません。

Hさんは旦那さんと奥さんの二人暮らしで、よく庭の手入れをしている姿を目にします。

以前に庭の前を通りかかったときに、「いい場所だなぁ」と思いました。

そのため、一昨日に挨拶や交渉をして奥さんに了解を頂き、ここでスケッチさせてもらうことにしました。

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「当日は、庭に入って勝手に始めていいわよ」

奥さんはそう言っていたので、朝八時ごろからスケッチを開始しました。

描いた場所
描いた場所

庭の中央には白い椅子とテーブルがあったので、それを中心に描こうと思いました。

この絵が完成して展示されたときに、絵を見た人が「こんなところでお茶を飲みたい」と思ってくれたらいいな…。

そんなことを期待しながら描いていたのですが、なかなか難しかったです。

机と椅子のどちらも色が白かったので、背景に埋もれてしまって、なかなか目立たせることが出来ませんでした。

途中経過
途中経過

準備している途中に、三ヶ所も蚊に刺されてしまいました。

「ここって蚊がたくさんいるんじゃ…」と心配になりましたが、その後はなぜかほとんど刺されることはありませんでした。

ただ、ときどき蜂が寄ってきたので怖かったです。

「私はあなたの敵じゃないわ!」と、ナウシカの心境になって描いていました(笑)

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途中で休憩したり、昼食をとるためいったん家に戻ったりしながら、午後二時過ぎまで描いていました。

しかし、完成したスケッチはごちゃごちゃして、期待していたものとは少し違う仕上がりになってしまいました。

もう少し、「木漏れ日の中の庭」という感じを出したかったのですが…。

完成した絵
完成した絵
絵と庭
絵と庭

このスケッチでは、画面全体を塗ってしまっているのですが、あえて塗らない部分を残してもいいのかもしれない、と思いました。

もう少し、画面を整理したほうがよかったのかもしれません。

終わった後でHさんに挨拶をしたかったのですが、彼らは車で出かけてしまっていて、インターホンを押しても返事がありませんでした。

(後日、手紙を送りました)

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しばらく家に戻って休憩したあと、夕方から潮来(いたこ)で行われるお祭りを見に行くことにしました。

この祭りは「潮来祇園祭礼(HPはこちら)」と呼ばれており、八百年以上の長い歴史を持っているそうです。

(でも、ウィキペディアでは江戸時代に始まったと書かれていますが…)

ネットで事前に調べたところによると、見所は何といっても山車(だし)です。

この山車は全部で14台あり、それぞれ町内会によって異なっているそうです。

山車の上には日本神話に登場する人物や、歴史上の人物が巨大な人形になって鎮座しているのだとか。

父親も見てみたいと言っていたので、車に乗せてもらって二人で見に行きました。

祭りは毎年八月上旬に三日間行われていて、その初日です。

お盆も近づいていたため、まずはお墓にお参りをした後に、潮来駅周辺に向かいました。

近くの駐車場で車を止め、駅の方向へと歩きます。
道には提灯の飾り付けが至るところにあり、すっかりお祭りムード一色です。

その途中で、さっそく法被(はっぴ)を着た人たちに引かれている一台の山車に出会いました。

近くに現地のおじさんがいたので、「この祭を見るのは初めてなんですけれど…」と話を聞きました。

おじさんによると、本格的に祭りが盛り上がるのは、日が落ちてからだそうです。

それまでは山車は市内をぐるぐると引き回され、夕方になると駅前に集まってくるのだとか。

その人にお礼を言ってから、しばらく僕たちはその山車の後にくっついて歩きました。

しかし、どんどん駅から離れていってしまうため、山車と別れて駅の方角に向かうことにしました。

道の途中に置かれていた山車
道の途中に置かれていた山車
格納庫
格納庫

駅の方角に向かうと、少し先に駅の方向に向かっている別の山車が現れました。
それに付いていくと、自然と駅前に到着しました。

駅前は幅の広い車道でしたが、この日は通行規制が行われ、歩行者天国になっていました。

山車は駅前で止まったので、僕たちも駅前で待機。

山車には十数名の人が乗り込み、笛や太鼓などで演奏しています。

僕はその様子をスケッチしました。
(チラシの裏で申し訳ありませんが…)

太鼓を叩く人
太鼓を叩く人
笛を吹く人
笛を吹く人

山車を引いているのは若い人が中心で、茶髪のヤンキーっぽい人も多いです。

しかし、彼らはこの祭りが自分の見せ場であることを心得ているらしく、一段と気合を入れて山車を引いていました。

二台の山車が駅前で止まると、しばらくしてから踊りが始まりました。

この踊りは、それぞれの町内会で微妙にメロディーや歌詞・振り付けなどが異なるようです。

一部の地域では、和傘や花笠を持って踊っていました。

それから、若い人たちは山車を一ヶ所でぐるぐると回し始めました。

これはのの字廻しと呼ばれている曲引き(パフォーマンス的な引き方)の方法です。

山車に向かって左前の車輪を軸にして、筆で「の」の字を書くように後輪を担ぎ上げ、数回転させるものです。

多分、このサイトがわかりやすいと思います。

山車の車輪と直角方向に回転させるため、車輪が磨り減ってしまわないかと少し心配になりました。

その周りで女性たちが「わっしょい、わっしょい」と掛け声をかけて応援します。

それが終わると、山車はまたどこかに引っ張られていきました。

道路には今引き回した山車の車輪の跡が、ミステリーサークルのようにくっきりと残されていました。

車輪の跡
車輪の跡

しばらくすると代わりに別の山車が現れ、また同じことを繰り返していました。

山車の上部の人形は可動式になっています。

電線が横切っているような危険なところでは、人形がボタン一つで(なのかどうかは知りませんが)出たり引っ込んだりするようです。

この人形を作るだけでも結構大変な気がします。

山車の人形のスケッチ
山車の人形のスケッチ

いつの間にか日が暮れて、周囲が暗くなっていました。

山車にも明かりがともり、一層祭りが盛り上がります。
ギャラリーの数も増えてきました。

(僕はそこで写真をたくさん撮りましたが、人物が写っているものは投稿してもいいものなのか…う~ん、どうなんだろう)

僕はしばらく父親と別行動を取って、山車の周りをうろうろしていました。

道路の反対側に渡ると、そこには数件の屋台が出ていました。

リンゴ飴
リンゴ飴

夜の七時半ごろになるとお腹が空いてきたので、駅周辺から離れて夕食をとることにしました。

しかし、最初に訪れたイタリア料理店は閉まっていて、次に訪れたお寿司屋も今日は営業していませんでした。

お寿司屋の従業員の人によると、今日は祭りのため、ほとんどの店は営業していないそうです。

しかし、一件の居酒屋はたまたま営業をしていたため、そこにに立ち寄ることにしました。

と言っても、車で来ていたのでお酒を飲めませんでしたが…。

ここでは一品料理のほかに、ちゃんとしたごはん系の料理も出してくれるため、父親は天ぷらそばを、僕は石焼ビビンバを頼みました。

美味しかったです。

石焼ビビンバ
石焼ビビンバ

父親は、この祭りがたいそう気に入ったようで、「来てよかった」と言っていました。

それから、車で鹿嶋の家に帰りました。

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次の日は、朝早くにバスと電車で横浜に帰りました。

鹿嶋の旅行はこれで終了です。
四枚の絵を描くことができたし、父親とこんなに話をするのも久しぶりでした。

一応、目標は達成できたかなと思います。

Keisuke