四日目は、疲れていたのでひたすら家でだらだらと過ごしていました。
この日は12時間くらい寝ていました(笑)
五日目は、千葉の香取神宮に行ってきました。
この神社は、鹿島神宮に負けないほどの歴史と規模があります。
二つの神社は利根川を挟んで距離が近いため、ワンセットで語られることも多いです。
この神社では、フツヌシと呼ばれる神様が祭られています。
僕は昔に古事記をわかりやすく解説した本を読んでいたことがあるのですが、その時にはこの神様が出てきませんでした。
「あれ?」と思っていたら、日本書紀にだけ登場する神様ようです。
こちらも鹿島神宮のタケミカヅチと同じく戦の神様として知られ、古代の蝦夷の討伐時には、鹿島神宮と共に戦勝祈願がされることもあったそうです。
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さて、当日はいつものように鹿島臨海鉄道に乗り、鹿島神宮駅で乗り換えて、JR鹿島線で香取駅に向かいました。
駅から香取神宮までは、約2kmの距離があります。
歩くと30分ほどだと案内板に書かれていました。
こういうときには車があると便利なのですが、僕は持っていないので、スケッチ用具を入れた大型のリュックを背負って、えっちらおっちらと歩きました。
まだ朝は早かったのですが、既にかなり暑くなっていたので、少し歩くと汗が噴き出してきます。
これは何かの修行でしょうか。
途中でT字路に突き当たりました。
その突き当たりには前後に並んだ二つの鳥居が立っていて、草の生えた階段がその奥に続いています。
僕は「何の入り口だろう?」と思いましたが、なんとなく入りづらい雰囲気だったので、写真を撮っただけで、そこには寄りませんでした。
(あとで調べたことによると、ここは神道山という場所であり、自然植物観察所があるそうです)
T字路を左折し、そのまま田園地帯の田舎道を歩きます。
八月の上旬だというのに、もう既に稲穂は黄色くなりかかっています。
これらは「早稲(わせ・わさ)」と呼ばれている品種で、この一帯でよく植えられているそうです。
早く成熟することが特徴的で、九月には収穫時期を迎えるのだとか。
小さな山道を越えて下り道を歩くと、ようやく香取神宮の駐車場が見えてきました。
そのまま駐車場を突っ切って、大きな門をくぐります。
道の両側にはお土産屋や売店が並んでいました。
まだ朝が早かったので、開業しているところは少なかったですが…。
大鳥居をくぐり、石灯籠が並んだ参道を歩きます。
参道を抜けると、鳥居の前に到着しました。
階段を登って真っ赤な総門を通り、さらに楼門をくぐると、開けた場所に出ました。
ここには拝殿や本殿、授与所や宝物殿など、いろいろな建物があります。
拝殿と本殿は前後に並んでおり、どちらも黒い漆塗りの木材を使った立派な建物でした。
周囲には大きな杉の木が何本も立っています。
ただ、神社の規模自体は、鹿島神宮と比べると若干小さい印象を受けました。
僕は拝殿に「今日はいい絵が描けますように!」とお参りをしました。
それから、スケッチをするのにいい場所はないかと、周囲をぐるっと回ってみることにしました。
拝殿の左側に回ると、そこには海上自衛艦の「かとり」の碇が置かれていました。
この艦は長らく練習艦として使われていましたが、1998年に退役して解体されてしまったため、碇だけこの神社に奉納されているそうです。
そういえば「艦これ」というゲームにも、「香取」という練習艦(の女の子)が出てくるのを思い出しました。
ゲームは旧日本海軍を基にして作られているのですが、今の海上自衛隊にも、当時使われていた名前が受け継がれているようです。
本殿の奥に回ると、さらにその奥に続いていく道がありましたが、そこを歩いていると、いつの間にか神社の裏口を出てしまったようです。
裏口を出たところには少し寂れた売店があり、駒や剣玉、紙風船などの昔ながらのおもちゃが売られていました。
僕はこのノスタルジックな雰囲気が好きになったので、たくさん写真を撮りました。
一通り見たあとで、また神社の敷地の中に戻ります。
その道の途中で、雰囲気が良さそうな場所を見つけました。
そこは本殿の裏手になっている場所で、木々の間から本殿がちらっと見えています。
その左横には、大きな杉の木が一本立っていました。
幸いなことに日陰にもなっています。
僕はここに場所を決めて、用具を広げてスケッチを開始しました。
建物を描くのは、あまり得意ではありません。
そのため、本殿を描くのは少し難しいかな、と思っていました。
ところが、今日は調子が良かったようです。
割とすんなり形が決まったので、比較的スムーズに描くことができました。
最近は、まずピンクの絵の具を使って薄く下描きをしてから、黄緑や水色、黄色などの絵の具を順に重ねていく描きかたをすることが多いです。
「なぜ初めにピンクの絵の具を使うのか?」と聞かれても、これは感覚的なものなので、上手く答えることは出来ませんが…。
描いていた場所は、やや虫が多かったですが、蚊に刺されることはなかったです。
また、ここは本殿の裏手になっているため、あまり人が来ることがありません。
それでも、何人かの観光客たちが目の前を通り過ぎたり、たまに声を掛けてくれました。
描いている途中で、中高年の夫婦に声を掛けられました。
彼らも絵を描いているようで、絵の具の種類や紙のサイズなど、いろいろ細かいことを聞かれました。
そこで、彼らに聞かれて少し返事が難しかった質問があります。
それは「午前と午後って光の加減が変わってしまうけれど、どうするんですか?」というものです。
僕はあまりいい答えが見つからなかったので、少し考えてから、「適当ですかね…」と言ってしまいました。
(彼らはその答えにあまり納得はしていなかった様子でしたが)
彼らが立ち去った後に、「普段はどうしているのだろう?」と改めて考えてみると、結構、自分のイメージで作っているのかもしれないと思いました。
ある程度形がしっかりしていれば、色は比較的自由に変えてしまってもいいと考えています。
見たままを描くのではなく、画面の中でアレンジするように。
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描き始めたのは午前十時頃で、午後三時頃まで描いていました。
この絵は鹿嶋に来てから描いた中で、一番スムーズに進んだので、完成した絵は結構気に入りました。
今回は色のアレンジを加えて、少し冒険をしてみました。
特に地面を黄色と青で塗ってみたのですが…どうでしょう、うまくいっているでしょうか。
最近は色を見た通りに描くのではなく、自分でアレンジしてしまうことを考えています。
今は見たとおりに描くのが7割、アレンジが3割くらいです。
でも、いっそのこと、半々くらいの割合まで持っていってもいいかもしれません。
僕はスケッチ用具を片付けると、元来た道を戻りました。
途中で、来るときには寄らなかった護国神社という場所に行きました。
これは昭和21年に建てられたもので、戦死した香取出身の人たちの魂が祭られているそうです。
その近くには、要石(かなめいし)がありました。
これは鹿島神宮と同様に、地震を起こすナマズの頭を押さえているものだと言われています。
この石も水戸光圀の家来が掘っても、石の根元まで見ることはできなかったとか。
僕は案内板に書かれている解説を読んで、「鹿島神宮とそっくりだな」と思いました。
この二つの神社は、妙なライバル意識があると言ってもいいのかもしれませんが…。
神社を出て、香取駅までリュックを担ぎ、また帰り2kmの道のりを歩きます。
日はだんだん傾き始めましたが、西日がきつくまだまだ暑いです。
ゆっくりしていると電車の時間に間に合わなくなるため、できるだけさっさと歩きました。
ようやく香取駅に到着し、駅舎で一息つきました。
ここは無人駅であり、なおかつスイカが使えないため、「乗車駅証明書発行機」という機械を使って証明書を発行しました。
しばらく待っていると、電車が到着したので乗り込みました。
鹿島神宮駅で鹿嶋臨海鉄道に乗り換えます。
下車する駅で証明書を運転手に見せて、清算してもらいました。
疲れたけれど、なかなか気に入った絵がかけて良かったです。
六日目に続く!
Keisuke