少し前になりますが、江ノ島のサムエル・コッキング苑にスケッチに行ってきました。
ちょうど、湘南が舞台の小説「青の炎」(貴志祐介・作)を読んでいるときで、ふと、なんだか江ノ島の海が描きたいなと思ったのです。
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さて、当日は大船駅からモノレールで湘南江ノ島駅へと向かいます。
高いところをジェットコースターのようにビュンビュン飛ばすため、僕は江ノ電よりもこちらのほうが好きなのです。
そういえば、幼稚園の地引き網漁のときにも、このモノレールに乗ったなぁ…と思い出しました。
20分ほどで湘南江ノ島駅に到着し、橋を渡って江ノ島へ。
この日はゴールデンウィーク中で、かつ晴天だったため、予想以上の人出でした。
(中国、韓国から来た観光客もちらほら見かけました)
こんなに人が多くて描けるのだろうか…と、僕は少し心配になりました。
スケッチする場所は決めていなかったので、とりあえず青銅の鳥居をくぐって展望台の方面に向かいました。
店で売られている「生しらす丼」や「たこせんべい」がおいしそうだなぁ…という誘惑に駆られながらも、参道を抜けます。
そこからは、展望台までかなりの登りです。
スケッチ用具を入れた大きなリュックを担いで、えっちらおっちらと坂や階段を登ります。
途中には「エスカー」と呼ばれるエスカレーターがあるのですが、そんなものは使いません!
ようやくのことで、展望台の近くに到着しました。
ここには、明治時代に貿易商のサムエル・コッキングが築いた庭園があります。
今はリニューアルされて、訪れる人の目を四季の花が楽しませてくれます。
僕は当初、江ノ島の海を描くつもりでしたが、ここでもいいかなと思って入場料を払い庭園に入りました。
入り口を入ると広場になっていて、いくつもの花壇や花のタワーが置かれ、パンジーやビオラ、マリーゴールドなどの花が咲いていました。
また、バラの木も植えられていましたが、まだ時期は少し早かったようで、ほとんど開花していませんでした。
ここも観光客が多く、なかなか座って荷物を広げられる場所が見当たりませんでした。
それでも、しばらくうろうろしていると、喫煙所の近くに広いスペースを見つけました。
ここは業者の車が出入りするため、邪魔にならない場所に腰を下ろします。
この場所を選んだというより、ここしかなかったという感じですね。
ここからは植え込みやシュロの木が見え、その奥には巨大で未知の生物を思わせるような、アオノリュウゼツランの木が植えられていました。
その奥には、座った場所からは見えませんが、2003年に新たに建てられたロウソクのような展望台があります。
(時間の都合で、今回僕は上りませんでした)
僕はここにイーゼルを立て、スケッチ用具を広げ、午前11時頃から描き始めました。
庭園の来場者は観光客やカップルが中心でした。
彼らはおしゃべりをしながら足早に通り過ぎ、展望台に上り、すぐにどこかの場所に移動してしまいます。
なぜ、あんなにすぐに行ってしまうんだろう?
ああ、そうか。間が持たないんだ。
だから彼らは観光スポットを回り、おいしいものを食べて、おしゃべりをしているんだ。
僕はそう気付きました。
それに比べて、僕はいい景色を見たら5時間も6時間もその場で描いていられます。
言い方は悪いかもしれませんが、まるで味わい尽くすように。
なんて贅沢なんだろう、と思いました。
江ノ島は観光地なので、それだけ僕は周りの人から見られてしまいます。
ときどき「あ、絵を描いている人がいる」などと噂をされますが、そんなにひどいことを言う人はいないし、気にしないことにします。
展望台の根元には郷土資料館があり、この日は「湘南アート・エキシビション」と題して、地元のアーティストの絵画や立体作品が展示されているとのこと。
途中で気分転換に見に行きました。
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そんなことをしながら、午後5時頃にスケッチは完成しました。
最後に、ぐるっと園内を回ります。
ついでに、レンガ作りの温室遺構で「デス・クリムゾン」ごっこをしました。
「なんだこの階段はぁ!?」
「せっかくだから、俺はこの赤の扉を選ぶぜ!」
(わからない人はググってね)
ともあれ、無事に描けて良かったです~。
Keisuke