先日、横浜の山手にある「YAMATE美術セミナー」に行ってきました。
この美術教室は、毎年クリスマスの時期になると、ヌードクロッキーとクリスマスパーティーが行われます。
僕は、以前デッサンを習うために、ここに通っていたことがあります。
今はもう通っていないのですが、こういう機会があるときには、年に一度でも顔を見せるようにしています。
また、毎年4月には「アトリエ展」という展覧会が行われ、そのときにはアトリエ中が絵で一杯になります。
僕も今年のアトリエ展には、スペインの巡礼路で描いたスケッチを展示しました。
パーティーの参加は無料ですが、参加者は全員プレゼントを用意します。
また、男性はワインを、女性は料理をそれぞれ持参する必要があります。
僕もアトリエに向かう前に、発泡性のマンゴーのお酒とプレゼントを買っておきました。
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当日はパーティーの前にヌードクロッキーが行われたので、僕はまずそれに参加することにしました。
山手のアトリエに到着して、会場となっている二階に上がります。
そこにはすでに10組ほどのイーゼル(絵を立て掛けるもの)と椅子が用意されていました。
ここでは3日前に、子供たちのクリスマスパーティーが行われていました。
そのため、壁面には子供たちが描いた大きな絵や、パーティーのプログラム、「ジングルベル」の歌詞が書かれた模造紙が貼られたままになっています。
また、床にはテープで作られた巨大なすごろくが描かれていました。
僕はまず昼食をとったあと、場所を選んで椅子に座り、準備を始めました。
参加者も続々と部屋に現れ、しばらくするとモデルさんもやってきました。
モデルさんは女性の方でした(それも美人さん!)
彼女が裸になってポーズを取ると、参加者たちはおもむろに描き始めました。
内容は、セツと同じように10分で1ポーズです。
しかし、セツが立って描くのに対して、ここではイーゼルの前の椅子に座ってクロッキー帳を使うという、セツとは少し違っている部分もあります。
クロッキー帳も「F6」というサイズのもので、普段セツで使っている四六判の八つ切りサイズと比べると、一回り大きくなっています。
また、縦と横の比率も異なっていて、こちらのほうが正方形に近いです。
いつもセツで人物のデッサンをしているので、ある程度なら自信はあったのですが、描き始めてみるととても難しく感じてしまいました。
その理由は二つあります。
一つは紙の大きさや、縦と横の比率が異なっていたこと。
そしてもう一つは、セツのモデルさんは痩せ型で長身の人が多いのですが、今回のモデルさんは日本人として一般的な体型であったということです。
(決して太っているわけではありません)
最初は紙一杯に収まらず、足先のスペースが余ってしまったり、頭の大きさが小さすぎたり大きすぎたりしてしまいました。
また、逆に紙一杯に大きく描こうとすると、実際のモデルさんよりもかなり体型が太くなってしまいました。
それでも、描いているうちに徐々に慣れてきました。
当日は鉛筆の他に透明水彩も持ってきていたので、途中から色も付けてみました。
今回、モデルさんは全部で12ポーズ取ってくれました。
でも、ようやく調子が出てきたところで終わってしまったので、「もっと描いていたいなぁ」と、物足りなく感じました。
それでも去年の作品と比べると、かなり上達しているのが実感できました。
やっぱりセツで描いているおかげですね。
終わった後は、M先生による講評が行われました。
イーゼルに参加者たちの作品を立て掛けて、一枚ずつ彼女があれこれと言っていきます。
M先生は、僕の作品に対してこんなことを言ってくれました。
「腰から足にかけてのボリュームが足りないけど、独特なタッチで描かれていますね。実際のプロポーションとは違っている部分もありますが、面白い線が描ければいいんです」
それを聞いた僕は、「失敗した!」と思った作品でも、「ああ、これはこれで面白いかもしれない」と思うようになりました。
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ヌードクロッキーが終わった後は、今度はアトリエの一階に移動します。
机を用意してテーブルクロスを掛け、クリスマスパーティーの準備が行われました。
パーティーだけ参加する人もいたので、総勢で16名が集まりました。
半数以上が僕にとっては初対面でした(僕が忘れているだけかもしれませんが…)。
テーブルには、女性たちが持ち寄った料理が並べられました。
ストーブの上では、おでんがぐつぐつと煮立っています。
準備が終わると、男性陣が用意していたワインが開けられ、パーティーが始まりました。
乾杯が終わったあと、一通り自己紹介が行われました。
楽器を演奏できるメンバーが数人いたので、彼らはギターとサックスで、「ジングルベル」と「ラスト・クリスマス」を演奏してくれました。
それを聞きながら「楽器が弾けるっていいなぁ…」と、僕は思いました。
来年から何か練習してみようかな。
演奏の終わったあと、僕は隣に座っているNさんに、持ってきていた「けいくんと うちゅうじん ピロン」の絵本を見せることにしました。
実は、Nさんも絵本を描いているそうなのです。
(そうそう、この絵本について書くのを忘れていました。
以前に文芸社様から連絡が来ていて、今回は残念ながら落選だそうです)
絵本を見たNさんは、「面白かったです!」と言ってくれました。
でも、「どうして『けいくん』の正体は○○(ネタバレなので伏字)なの?」と、疑問に思ってしまったそうです。
彼によると、その必然性があまり感じられないのだとか。
それからM先生にも見せたところ、こんなことを言われました。
「この絵本は、まだ固い感じがするわね。
ストーリーも比較的ありがちで、どこかで見たような気がする。
それよりも、もっと誰も見たことのないものを描かないと!」
「あなたが今日描いたクロッキーはとても良かったです。
イラストもあんな感じで描けるといいんだけど」
それを聞いて「うむむ、なるほどなぁ…」と僕は思いました。
もしかしたら、僕は想像だけで描くのはあまり得意ではないのかもしれません。
それよりも、何かモチーフとなるものを見ながら、自分なりのアレンジやらフィルタを通して作品として発表するほうがいいのかも、と考えました。
その後もいろいろな話をしていると、あっという間に夜9時を回ったので、そろそろ僕は帰ることにしました。
最後に、クリスマスプレゼントをもらいました。
開けてみると、酒に浸したチェリーが入ったチョコレートでした。
ちなみに、僕がプレゼントとして買っていたのは、「魔女の宅急便」に登場する、黒猫のジジが描かれたジグソーパズルでした。
僕が買ったプレゼントも、誰かに喜んでもらえるといいなぁ…。
Keisuke