個展開催のお知らせ

タイトル通り、2016年に個展を開催することが決まりました!

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開催場所・・・デザインフェスタギャラリー WEST 1-A
期間・・・2016年5月6日(金)~5月9日(月)

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(2016.1.14追記)今回の個展は、中止することにしました。

以下、当時に書いた文章です。

会場は、原宿にある「デザインフェスタギャラリー(以下、DFギャラリー)」です。

実は、僕は以前から個展を開きたいとずっと思っていたのですが、なかなかハードルが高く二の足を踏んでいたのです。

ですが、せっかくセツに通っているのだし、またとない機会だからと挑戦してみることにしました。

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さて、このDFギャラリーは、1998年に原宿にオープンしました。

もともと外国人向けのゲストハウスを改装したものなので、ギャラリー内はたくさんの部屋に分かれています。

原宿という立地もあって、普段から若いアーティストたちが集まっているため、いつ訪れても常に何かしらの展示が行われています。

また、このギャラリーの特徴の一つに、驚くほど安いということがあります。

最も安いWEST1-Aの部屋は、平日なら一日5400円(土日は一日7560円)で借りることができます。

僕が個展を開くと決めた理由の一つが、この安さなのですね。

実際に部屋を見てから決めてもよかったのですが、個展を開くことを考え始めると、わくわくして眠れなくなってしまいました。

そのため、web上で空いている日を探し、その場で仮の申し込みをしてしまうことにしました。

「鉄は熱いうちに打て」と、よく言われていることですし。

僕は最も安いWEST1-Aの部屋を、土日を2日を含んだ4日間借りることにしました。

その後に足を運んで、良さそうだったら本申し込みをしようと思っていたのです。

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というわけで、先日DFギャラリーに足を運んでみました。
四谷デッサン会に参加したのと同じ日のことです。

このギャラリーは、原宿の住宅地の一角にあります。

僕は原宿駅から表参道を経由して行きましたが、竹下通りを真っ直ぐ行くほうが、わかりやすいかもしれません。

ギャラリーの場所
ギャラリーの場所

曲がりくねった路地に入ると、大きなギャラリーが見えてきました。

入り口の道路に面したガレージのようなスペースでは、さっそく展示・販売が行われています。

ギャラリーの入り口(GALLERY EAST)
ギャラリーの入り口(GALLERY EAST)

このギャラリーは、GALLERY WESTGALLERY EASTにわかれており、合計で21のスペースがあるとても大きな建物です。

その二つをつないでいる中央の建物には、カフェや鉄板焼きの施設もあります。

僕は入り口の裏手になっているGALLERY WESTに向かうと、受付のスタッフに事情を話し、WEST1-Aの部屋を見学させてもらいました。

当日は部屋で展示が行われていましたが、出展者の姿は見えません。
そのため、申し訳ないと思いつつも、じっくりと部屋を観察しました。

入り口を除くと全面が板張りになっており、説明では自由に釘を打って展示できるとのこと。

しかし、実際に見てみると、安いだけあって「う~ん、やはり狭いなぁ」と感じてしまいました。

部屋の中は三畳くらいのスペースでしょうか。
二人入ると、それだけで一杯になってしまうかもしれません。

また、窓が付いていないので、かなりの圧迫感があります。

さらに、web上の写真で見たときは綺麗に見えたのですが、実際に見てみると少し壁や床の汚れが目立ちます。

人が生活するには、はっきり言って狭すぎます。
もしかしたら、もともと倉庫として使われていたのかもしれません。

僕は「う~ん、どうしよう?」と悩みました。

この時なら、まだ仮申し込みの段階のため、キャンセルすることは可能だったのです。

もう一回り大きな部屋に変更しようか、とも考えました。
もちろん、大きな部屋になればなるほど、ギャラリー代もそれなりに掛かってしまいますが…。

僕はいったん部屋を出て、外の椅子に腰掛けて長い時間悩んでいましたが、結局このスペースで開催することにしました。

まずは一度やってみることが大事だ、と決めたからです。
最初は小さなところから始めて、徐々に大きなところに移動すればいいはずです。

というわけで、ギャラリー代を支払って本申し込みを済ませました。

方針は決まったので、あとは実行するだけです。

…と言っても、未だに「本当にここでよかったのかな?」という疑念は残っているのですが。

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さて、部屋が狭いので、今回の展示はコンセプトを絞り込む必要があります。

そのため、今回はストーリーとキャラクターをテーマにして、展示をしようと考えています。

また、先日応募した絵本の原画も展示する予定です。

僕は今、風景画を中心に描いているのですが、実は以前にシュールでヘンテコなキャラクターを描いていた時期があったのです。

石ころ星人
石ころ星人
走る男の子
走る男の子

僕自身はこれらの絵を気に入っていたのですが、人によってはかなり好き嫌いが分かれる上に、やはり風景画のほうが受けが良かったのですね。

決定的な出来事は、以前に某有名な背景を描くアニメスタジオに、面接のため訪れたときのことでした。

そこで、僕は社長に風景画を含めた作品を見せました。

しかし、彼は鉛筆で描いたキャラクターの絵を見た途端に、作品をボロクソに言ってきたのです。

まあ、背景を描くアニメスタジオに、キャラクターの絵を持っていった時点で、間違っていると言ってもいいのかもしれませんが…。

僕はこのときに「ああ、これはダメなんだ」と思って、ずっと長い間これらのキャラクターをお蔵入りにしていました。

でも、最近はキャラクターのほうから、僕が呼ばれているような気がするのです。

「なんで今までほっておいたんだ!ひどいじゃないか!」って。

そのきっかけは、セツに通い始めたということもあり、この前完成した絵本が僕の中でかなり気に入っているということもあり、最近見た長新太さんやフォロンの絵の影響もあるかもしれません。

というわけで、最近それらの絵を見返してみたのですが、「決して悪くはない、むしろ面白いんじゃないか?」と思うようになりました。

足りなかったのは技術的な面よりも、キャラクターに名前を与え、背景を描き、ストーリーを考えるという、命を吹き込む作業だったのかもしれません。

まだ個展の開催まで半年あります。
ですが、セツに入学してからあっという間に半年が経ってしまったように、これからの半年もすぐに経ってしまいそうな気がします。

鉛筆で描いたキャラクターの絵はたくさん手元にあるのですが、展示のためにはそれらにまず色を付けないといけません。

というわけで、これからの半年間はその作業が中心になると思います。

今回は、風景画は展示しないことにします。
それを期待していた人は、ごめんなさい!

(もし作品が間に合わなかった場合は、風景画でお茶を濁すかもしれませんが…)

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今は「このスペースに、自分だけの城を築くのです!」と、意気込んでいるのですが、その反面大きな不安もあります。

誰も来てくれない、ということなら平気です。

でも、せっかく遠くから足を運んできてくれたのに、その人を満足させられるだけの展示ができるのかなぁと思って。

また、グループ展は何度か開催したことがあるのですが、個展は初めてということで右も左もわかりません。

「ダイレクトメールって、どうやって作ればいいの?」という状態です。

でも、とりあえず見切り発車をしてみます。
…失敗してしまうかもしれませんが、それはそれでいい経験になるかなって。

僕が好きなイタリアのスザンナ・タマーロという女性の作家さんは、著書の中でこう書いていました。

「不安というものは、乗り越えるためにこそあるのではないかしら」

というわけで、頼りない僕ですがなんとかやってみようと思います。

このブログを読んでいる人は、過度な期待をせずに遠くから見守ってください。

Keisuke

四谷デッサン会に参加してきました

先日、新宿で行われている四谷デッサン会に参加してきました。

セツが秋休みの間に少しでも描いていないと、授業が再開したときに描けなくなっているかもしれない、という危機感があったからです。

この四谷デッサン会の話は以前からセツでも聞いていたのですが、授業があるときはなかなか参加する機会がありませんでした。

ですが、この日は東京に用事があったため、ついでに参加することにしてみました。

どんな雰囲気なのか一度味わってみたかったことですし。

四谷デッサン会は、毎週土曜日の夜6時から9時まで、四谷ひろばと呼ばれる公共施設の一室で行われており、毎回数多くの参加者たちで賑わっています。

描きかたは、基本的にセツのコスチュームデッサンの授業と同じです。

モデルさんが部屋の中央に立ち、描く人がその周りを取り囲んで一周しながら構図を検討し、場所が決まったら描き始めます。

1ポーズ10分で、合計で12ポーズ描くことになります。
2ポーズ描いたら5分休憩、6ポーズ描いたら30分休憩を挟みます。

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当日は、参加する前に原宿と(これはまた後日書きます)新宿の世界堂に寄ったので、到着が夜6時ぎりぎりになってしまいました。

会場である四谷ひろばは、もともと廃校になった校舎を改装しているため、外観は学校そのものです。

会場の外観
会場の外観

部屋の中も、教室の一室のような雰囲気が残されています。
前方には黒板があり、床は板張りです。

部屋の中では、すでにたくさんの参加者たちが集まり、準備を整えて始まるのを待っていました。

その中には、夏休みの自主トレデッサンで出会ったTさんや、セツでお会いしている年長者のYさんの姿もありました。

また、普段はセツでモデルさんをしている男性もいました。
今日はモデルさんとしてではなく、デッサンを描きに来たようです。

彼らに挨拶してから、僕も準備を始めました。

すぐに開始の合図があり、参加者がモデルさんの周りを回って描き始めたので、急いで準備を整えて描き始めます。

モデルさんは女性の人で、ときどきセツにも来てくれる人です。

彼女はポーズがとても綺麗で、手足の先まで気を使っている印象を受けます。
なおかつ、ポーズ中は全く動くことがありません。

(あとで参加者のYさんは「彼女は一番のベテランだ」と言っていました)

ちなみに、僕は女性が横を向いたときの、お尻から足先にかけてのラインが好きです。

この部分を描くのは難しいですが、上手く描けたときは気持ちいいです。

(…と書くと、変な意味で捉えられてしまうかもしれませんが、やましい気持ちはありません…たぶん。)

最近は、「スッと入って、スッと抜けるような線を描く」ということを意識していますが、まだまだ難しいですね~。

部屋の前方にある黒板には、参加者が描いた絵が自主的に貼り出されます。
どんな絵を描いていたのか、一目瞭然でわかるようになっています。

一人ひとり、それぞれのタッチがあって個性豊かです。
鉛筆だけではなく、筆ペンや薄墨を使って描いている人もいました。

また、鉛筆で描かれたあとに、透明水彩で色が塗られている絵もあります。

僕も「上手く描けた!」と思ったものは、黒板に貼り出すことにしました。

そんなことをしているうちに、前半の6ポーズを描き終えて、30分の休憩時間になりました。

参加費の800円を払ったあと、下のロビーに行ってコンビニで買っていた夕食をとりました。

一人で食べていたので、少し寂しかったです。

食べ終えて部屋に戻ると、もうそこには参加者たちが集まっていて、彼らが参加する展覧会などの告知を行っていました。

それから、後半の6ポーズを描きます。

始まった当初は、参加者はセツの授業と同じくらいの人数だったのですが、徐々に人が増えて、最終的には部屋の中が一杯になってしまいました。

このデッサン会ではセツと同様に、必ずモデルさんの周りを一周回ってから描き始めることと言われています。

しかし、人数が多くなると、僕が一周しているうちに、良さそうな場所は他の人に取られてしまっていることが多いのですよね。

僕が優柔不断で、なかなか場所が決められないというのもありますが…。
う~ん、どうしたものか。

モデルさんが最後に着ていた服は、たくさんフリルが付いていたので、描くのがとても難しかったです。

終わった後に、モデルさんに「ブログに載せてもいいですか?」と聞いたところ、許可してくれたので、ここに載せておきます。

ワンピースを着て振り向くモデルさん
ワンピースを着て振り向くモデルさん
椅子に座るモデルさん
椅子に座るモデルさん
セーターを着るモデルさん
セーターを着るモデルさん
フリルの付いた衣装を着るモデルさん
フリルの付いた衣装を着るモデルさん

そのときに、描いた絵を「見せてもらえますか?」と言われたので、僕が見せると「綺麗に描けていますね!」と褒めてくれました。

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デッサン会が終わったあとは、あっという間に片づけが始まり、机や椅子が並べられて元の姿に戻りました。

ずいぶん手馴れたものです。

僕は初参加ということもあって、もたもたしてしまいました。

借りていた画板を返そうと思ったら、既に別の部屋にダンボールごと片付けられていた後でした。

そのため、わざわざ一枚だけ持って行き、片付けてもらいました…ごめんなさい。

これから一部の参加者は、飲み会に参加するそうです。
僕も顔見知りのTさんに飲みに誘われましたが、家が遠いので断ってしまいました。

また機会があればそのうちに!

Keisuke

長新太さんの展覧会に行ってきました

先日、長新太(ちょうしんた)さんの「没後10年 長新太の脳内地図」展を見るため、横須賀美術館に行ってきました。

長さんは日本を代表する絵本作家で、今までに数多くの絵本を残しています。

既に亡くなられた人ですが、今回は没後10年に合わせて大規模な展覧会が開かれました。

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長さんは描いた絵本の数が多いため、「これが代表作!」と挙げるのは難しいです。

しかし、その特徴はとにかくぶっ飛んでいることです。

どこがどうぶっ飛んでいるのかというと、「シュール」「ナンセンス」という言葉に尽きます。

例えば「ゴムあたまポンたろう」(リンク先は「絵本ナビ」です)という絵本では、主人公の頭がゴムで出来ているので、どんなに強くぶつかっても痛くありません。

彼は世界中を頭でバウンドしながら旅をしていきます。

途中で、頭がバットになっている大男のフルスイングを受けたり、バレーボールをしている木々たちにふっ飛ばされたりするなど、なかなかひどい目に遭っているのですが、それでも楽しそうです。

それから「つきよのかいじゅう」という絵本もあります。

十年間、湖から出現するという怪獣の撮影を狙っている男がいた。
ある月夜の晩、ついにその姿が現れた。しかし、その正体とは…。

…って、これって一発ネタじゃないか(笑)
この展開を予想できた人は、どれだけいるのだろう…。

また、「ブタヤマさんたらブタヤマさん」という絵本もあります。

これは、豚のブタヤマさんが蝶を追いかけるのに夢中で、後ろから何が来ても全く気付かない…という内容です。

ありえないほど巨大な鳥や魚が背後に迫っているのに、ブタヤマさんは全く気付きません。

思わず、「志村ー!後ろ後ろ!」と言ってしまいたくなります。

(多分このネタなら、わかってくれる人が多いですよね?)

ちなみに、心理学者の河合隼雄さんが、この絵本のことを著書の中で取り上げていました。

ブタヤマさんの行動と心理学者のことを絡めて書いていたので、「そこまで読み解くのは、少し深読みのしすぎかも」と思ったのですが…。

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さて、僕が長さんの絵本を知ったのは…いつ頃になるのでしょうか。

僕が物心付いた頃から精力的に活動されていた人なので、多分目にしていたと思うのですが、あまりよく覚えていないのです。

もしかしたら、当時はそれほど好きではなかったと言えるのかもしれません。

僕が彼の世界に虜になったのは、大人になってからです。

きっかけは、十年以上前に北海道を自転車で旅行していたときのことです。

剣淵(けんぶち)という町を訪れたとき、「絵本の館」という図書館があったので入ってみると、そこに長さんの特集コーナーがありました。

何気なく絵本を手に取って読んでみると、「うわ、こんなに面白いんだ!」とびっくりしました。

子供の頃にはあまり面白さがわからず、大人になってから面白さがわかるというのも変な話なのですが…。

また、以前に横浜そごうの美術館で開催されていた、回顧展にも行ったことがあります。

そのときに「四コマ漫画を作ろう!」というコーナーがあり、僕も試しにシュールな内容で応募してみたら、入賞したことがあります。

その賞品として、長さんの四コマ漫画集を貰いました。

この内容もとても面白いのですが…きりがないのでやめておきます。

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さて、僕はこの展示を楽しみにしていたのですが、なかなか時間が取れなかったので、結局行ったのは最終日になってしまいました。

会場は横須賀の観音崎(かんのんざき)にある横須賀美術館です。

横須賀美術館の場所
横須賀美術館の場所

当日は文化の日だったため、無料で館内に入ることができたのです。
(前日までそのことを知らなかったのですが…)

ただ、「休日」+「最終日」+「無料」の条件が重なっていたので、「中はとても混雑していないかなぁ…ちゃんと見られるかなぁ」と不安でした。

これだったら、お金を払ってでも別の日にしたほうが良かったかも…。

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さて、観音崎に行くため、まずはJRの横須賀駅に向かいます。

横須賀駅前
横須賀駅前

駅を降りると、巨大な灰色の艦船が何隻も港に停泊していました。
詳しい人なら種類もわかると思うのですが、僕には全くわかりません。

巨大な艦船
巨大な艦船

そこからバスで美術館を目指しました。

京急の馬堀海岸駅前のバス停でたくさんの人が乗ってきたので、車内はすし詰め状態です。

僕はますます館内が混雑していないか不安になりました。

でも、当日は観音崎でイベントがあるので、それに参加する人たちも多かったようです。
(アイドルグループが出演するとか!)

「観音崎京急ホテル・横須賀美術館前」で下車し、バス停から五分ほど歩くと美術館に到着しました。

美術館の前は広い一面の芝生で、目の前は海という最高のロケーションです。

でも、観音崎ってかなり行きにくい場所にあるのですよね…。
どうしてこんな辺鄙(へんぴ)な場所に、立派な美術館を建ててしまったのやら。

美術館
美術館
目の前は海
目の前は海

芝生では親子連れの人たちが、シートを広げて食事をしていたり、遊んでいたりしています。

時計を見ると午前11時半ごろになってしまったため、僕も近くの椅子に腰掛けて昼食をとってから館内に入りました。

入り口には、長さんの絵本の一場面を拡大した、猫がたくさん描かれている巨大なパネルが置かていました。

その一部は切り抜かれて、顔を出せるようになっています。
子供たちがそこで入れ替わり立ち替わり顔を出し、その親が記念撮影を行っていました。

拡大パネル
拡大パネル

受付で無料のチケットを渡され、展示場の中に入ります。

そこでは、長さんが今までに描いた絵本の原画が、テーマごとに分けられて展示されていました。

中は親子連れの人たちで混雑していましたが、全く見られないということはありませんでした。

ただ、子供は騒がしいので「もう少し静かに見られたらなぁ…」という思いもありましたが…。

こら、そこの子、展示物に触っちゃダメだってば。
指をさしたくなるのはわかるけど…。

また、パネルに書かれた文字を音読している母親もいました。

長さんの絵本は、文章のリズムがいいことも特徴として挙げられるので、声に出して読んでも楽しいのですよね。

それから、彼の作品は色彩が鮮やかなのが特徴的です。

中には、ピンク色の空やオレンジ色の地面など、目が痛くなるほどの原色を使っている作品もあります。

本当に長さんは自由に描いていることが伝わってきました。

彼の絵を見ていると、僕も「もっとぶっ飛んだ絵を描いてもいいのかもしれない」と思うようになります。

さらに作品を見ていくと、長さんが絵本デビューした頃に描かれた、「がんばれ さるの さらんくん」という絵本の原画が展示されていました。

動物園で動物たちが楽器を演奏して、オーケストラを開く計画を立てました。
でも、さらん君が担当するトランペットは難しく、なかなか上手く吹けません。
彼は一度練習を投げ出してしまうのですが、女の子と仲良くなって、一緒に練習をするうちに上達していきます。
そんなとき、動物園で火事があって…。

という内容です。

ですが、この作品では、まだ長さんの特徴が出ているとは言えません。

色は抑え気味で、線も硬い感じがします。
直線を多く使って、しゃっちょこばっている…とでも言うのでしょうか。

また、その近くには「おしゃべりなたまごやき」という絵本の原画が展示されていました。
(文章は寺村輝夫さんです)

この絵本は、昔のバージョンとそれをリメイクした新しいバージョンの二種類があります。

今回は両方の絵が展示されており、それぞれ比較できるようになっています。

やはり、昔の絵よりも新しい絵のほうが、色彩も鮮やかでずっと魅力的です。

長さんは作品を作るにしたがって、自分の枠を壊して、どんどん精神的に自由になっている印象を受けるのですよね。

また、途中には彼の描いた絵本が置かれているコーナーがあり、実際に絵本を手に取って読むことができました。

そのコーナーはじゅうたんが敷いてあり、母親が子供に読み聞かせをしていたり、子供が親に「これを読んで!」と言ったりしています。

僕も靴を脱いでじゅうたんに上がり、なるべく邪魔にならないように部屋の隅っこに座ると、親子連れの人たちに混ざって読みました。

展示物の絵は全ての絵が展示されていたわけではなく、一部の絵しか展示されていなかったので、その結末が気になる作品がたくさんあったからです。

半分ほど読むと、「もういいかな」と思って立ち去ったのですが、そのあとにまた気になる作品が展示されていると、またそのコーナーに戻って読みました。

そんなことをしているうちに、最終的には置かれているほとんどの本は読んでしまいました。

展示の最後のほうには、漫画やエッセイなども置かれていました。

もともと長さんは、漫画家としてデビューしました。
そのため絵本を読んでいると、たまに「シュールな漫画みたいだ」と思うこともあります。

彼の作品はアイデアの時点ではもっと過激なようですが、練っていくうちに、ある程度わかりやすい形に落ち着くのだそうです。

それから、彼は「ありとあらゆるものに生命が宿っている」という、アニミズムという考え方が好きなのだとか。

僕も不思議なキャラクターを考えるのが好きなので、一緒だなぁと思いました。

長さんの展示は、合計で二時間ほど見ていたでしょうか。

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全て見終わったあとは、常設展のほうにも足を運んでみました。

こちらは、いわゆる普通の美術館に展示されている絵、という感じです。

あまり印象に残る絵はなかったので、さらっと見てすぐに出ました。

ちなみに、抽象画的な絵は「わかる」とか「わからない」とかよく言われますが、個人的には、絵は好き嫌いで判断してしまってもいいと思います。

あまり好きでなければ、「はい次!はい次!」と飛ばしてしまっても構いません。

(そのかわり、ピンと来たものがあれば、立ち止まってじっくり見ていますが)

次に、別館にある谷内六郎さんの展示場にも足を運びました。

彼は、田舎の子供を数多く描いています。

「どこかで見たような気がするなぁ…」と思っていたら、以前に週刊新潮の絵を長い間担当されていた人なのですね。

結局、全ての美術館を合わせると三時間ほど見ていました。

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それから、まだ時間があったので、美術館を出て観音崎の岬の方向に向かいます。

しばらく歩くと、海が見下ろせる高台になっている場所を見つけました。
海の向こうには、小高い山になっている岬が見えます。

その頂上には白いタワーのようなものが見えました。

このときは、この建物のことを観音崎灯台だと思い込んでいたのですが、あとで調べてみると、これは「東京湾海上交通センター」と呼ばれる建物のタワーだそうです。

海と観音崎公園
海と観音崎公園

小さなスケッチブックと透明水彩・筆を持ってきていました。
せっかくだからそこに腰を下ろし、スケッチすることにします。

当日は観音崎公園でイベントが行われていたので、縞模様のテントが見えました。

「屋台が出ているのかな?」と思いましたが、詳しいことまではわかりません。

近くには、横須賀湾を周遊するフェリー乗り場がありました。
当日は休日だったので、たくさんの人が乗り込むのが見えます。

出発するときは、びっくりするほど大きな警笛を鳴らしていました。

あまり時間がなかったので、なるべくせっせと描きました。
この時期になると、日が落ちるのが早くなりますし。

結局、午後2時半過ぎから午後4時過ぎまで、一時間半ほどで描き終えました。

描いたスケッチ
描いたスケッチ

それから、帰りのバスは混雑すると聞いていたので、京急の馬堀海岸駅まで歩いて向かいます。

夕焼けの空と海
夕焼けの空と海

途中で寄り道をしながら、一時間ほどで馬堀海岸駅に到着し、電車で帰りました。

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そうそう、お土産に「ごろごろ にゃーん」という絵本を買いました。
これは、僕が(現時点で)長さんの中では一番気に入っている本です。

「ごろごろにゃーん」
「ごろごろにゃーん」

トビウオのような形の魚型の飛行機が、猫を乗せて飛んでいくという内容で、特にこれといったストーリーはありません。

文章も「ごろごろ にゃーん ごろごろ にゃーん と、ひこうきはとんでいきます」の繰り返しです。

母親に見せたところ「なにが面白いのかわからない」と言っていましたが、僕はそのわからなさも含めて好きな作品です。

Keisuke

「セツの庭」に行ってきました・他

先週の月曜日は、自分の中で勝手に「この日はアート日!」だと決めて、東京のいろいろなところを回ってきました。

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まず、最初に向かったのが渋谷で開催されていた、「セツの庭」展です。

これは、セツで選抜された12名の学生たちが中心になって物販を行う展示会です。

期間は一週間ほどでしたが、なかなか都合が付かなかったので、結局、僕が訪れたのは最終日でした。

会場は渋谷の西武渋谷店A館の7階で、店舗はハチ公口を出てスクランブル交差点を渡った先にあります。

渋谷に来るのはとても久しぶりです。

当日は雨だったのですが、スクランブル交差点はすごい人通りでした。

交差点では、海外から来た観光客が写真を撮っている姿も目に付きました。

やはり、ここは世界的に見ても日本文化を語る上で外せない場所なのでしょうか…。

交差点を渡って西武渋谷店に向かいます。
階段を昇って7階に着くと、すぐ出た先が物販の会場でした。

物販の会場
物販の会場

そこには、セツの同期であるPさん(と書くと、すぐにわかってしまいそうですが)がいて、僕が着くとすぐに出迎えてくれました。

会場は出展者ごとに各スペースに分かれていました。

その一角には彼女のコーナーもあり、そこにはダルマや剣玉・かんざしなどの、和風を基調としたグッズが置かれていました。

Pさんの展示
Pさんの展示

ダルマや剣玉は、彼女自身が無地のものを買ってきて、後から彩色したものです。

その色彩感覚を反映して、どれもサイケデリックな派手な色で塗られていました。

剣玉は実際に使用すると塗料が落ちてしまうため、飾る目的で売られていたのですが、遊べないのは少しもったいない気もします。

僕は手のひらサイズの小さなグッズを集めているので、もう少し小さくて価格が安いダルマがあれば、買いたかったのですが…。

そうそう、Pさんに教えてもらったのですが、ダルマにも置きかたや目の塗る順番に、いくつか決まりごとがあるのだそうです。

一つは、南を向けて置くこと。

そしてもう一つは、祈願するときは左目(向かって右)を塗り、願いが叶ったら右目(向かって左)を塗ることです。

これは、太陽が東から昇り西に沈むことと関係しているみたいですね。
勉強になりました。

(後で調べてみると、いろいろな説があるようです)

ダルマの置きかた
ダルマの置きかた

また、その近くには三枚の抽象画のような絵が置かれていました。

これらの絵は、期間中にイベントとしてライブペイントが行われたときに描かれたものです。

ライブペイントで描かれた絵
ライブペイントで描かれた絵

参加者たちがそれぞれ数名で分担して描いたそうで、どの絵も色彩がとても綺麗です。

「このイベントはとても楽しかったです」とPさんは言っていました。

会場が汚れないように養生シートを敷いて、好き勝手に描いたのだとか。

それから、会場を一通りぐるっと回ってみました。

その一角には、ある出展者が作った絵本が2冊置かれていました。

読んでみると面白かったのですが、サンプルを除くと在庫が切れてしまっていたため、買えませんでした。

他の物販は、アクセサリーや小物などが中心に売られています。

ですが、「これを買いたい!」と思わせるようなものは、特にありませんでした。

やはり、女性的なグッズが中心になっているので、自分の好みとは少しかけ離れてしまっているのかもしれません。

アクセサリー類
アクセサリー類

出展していたのはほとんどが女性だったのですが、唯一の男性の出展者がペーパークラフトを出品していました。

彼はセツに隣接しているギャラリーで個展を開いていたので、僕も絵は見たことがあります。

原色をふんだんに使い、人目を引くことが特徴的な絵です。

彼と話す機会があったので、いろいろ聞いてみました。

ですが、彼の取り扱っている商品はあまり売れていないそうですね…。
完成しても、置く場所がないのでしょうか。

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会場を後にして、お昼にそばを食べてから、次に中目黒にある美術系の古本屋に行きました。

この店を訪れようと思った理由は、以前からフォロンという画家(イラストレーター)の画集が欲しいと思っていたからです。

フォロンはベルギーの出身で、10年ほど前まで活躍していた人です。

僕はその独特な色合いと少し不気味なモチーフに引かれ、中学生の頃に美術の資料集で見たときから、ずっと気になっていたのです。

今まですっかり忘れていたのですが、ふと思い出して検索してみました。

すると、この店でフォロンの画集を取り扱っているとのことだったので、足を運んでみることにしました。

店舗は「dessin(デッサン)」という名前です。

住宅地の一角にあって小ぢんまりとしている、ちょっとした隠れ家的な店です。

店舗の外観
店舗の外観

中に入ると、ワンフロアの店内に本棚がずらりと壁面に並べられており、そこには画集や絵本などが置かれていました。

奥のフロアは展示会をしていて、手作りのお皿が並べられていました。

さらにその奥には、女性の店員さんの姿が見えます。

置かれているのは古書が中心でしたが、店内は綺麗に掃除されていました。

ムードを壊さない程度のお洒落な音楽が掛かっており、とても落ち着ける場所です。

ひなびた田舎の古本屋であるような、「ところ狭しと棚が並び、奥に気難しいそうな老人が座っていて、日焼けした古本が埃をかぶっている」という感じではありません。

いろいろな画集が売られていたので、僕はフォロンの画集を探しながらも、気になった本は手に取って読んでみることにしました。

本の価格はピンキリで、千円以下のものもあれば一万円以上する大型のものもあります。

まず目に付いたのは、エドワード・ホッパーWikipedia)という画家の画集です。
彼の画集は数冊置かれていました。

彼は20世紀の前半に活躍したアメリカの画家で、アメリカの街並みや、そこに生活する人の少し不安になるような日常を描いています。

有名なのは「ナイトホークス(Wikipedia)」と呼ばれる、バーで夜更かしをする人々の絵でしょうか。

僕はこの人の風景画も好きなのですが、今回はそれが目的ではないので買いませんでした。

棚の上には、サヴィニャックWikipedia)というフランスのイラストレーターの大型の画集が置かれていました。

彼は主にポスターなどで活躍した人で、手に取って読んでみるとユニークで面白かったです。

他にも、日本のイラストレーターの宇野亜喜良(うのあきら)(Wikipedia)さんの本や、「アン・ジュール」(絵本ナビ)という一切台詞のない犬の絵本などがありましたが、こちらも目的のものではないので読むだけです。

店内には、店員さんを除くと僕しかいなかったので、とても静かに本を読むことができました。

僕にとっては宝の山です。

そうしていろいろ探しているうちに、ようやく目的のフォロンの画集を見つけました。

彼の画集は数冊ありましたが、僕はその中でも価格・大きさ・収録点数などが良さそうな本を選びました。

この画集は日本で展示会を行ったときに販売されていたようで、3500円のやや大型の本です。

フォロンの画集
フォロンの画集

ぱらぱらとめくっていると、かなり好きな感じの絵が載っています。

彼は版画で印刷された作品も残していますが、僕はどちらかというと水彩絵の具で描かれた絵が好きですね。

そうやって気になった本を読んでいると、あっという間に二時間が過ぎてしまいました。

他の客も入ってきたので、そろそろ出る頃合いです。
僕は先ほどのフォロンの本をカウンターに持っていきました。

すみませんね、長居してしまって…。
そう思いつつも、いい買い物ができたのでまた来ようと思っています。

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最後に、「Humming Bee」と呼ばれるグループ展に行きました。

これは、僕が卒業した日本デザイン専門学校(以下「日デ」)のOBや先生たちを中心とした、細密な植物画を描くというグループです。

先日行われた「Brunch off展」の主催者である松井先生が、講師として描きかたを教えています。

現在は、月一回活動しているそうです。

以前は日デの教室を使っていたのですが、最近は下北沢に拠点を移しているのだとか。

ギャラリーは「コーヒー&ギャラリーゑいじう」という名前で、新宿にあります。

今まで気付かなかったのですが、セツの校舎にとても近い場所にあったのですね…。

場所は住宅地の少し奥まったところにあります。
過去に一度だけ行ったことがあるのですが、着くまでに迷ったことを覚えています。

今回もやはり迷ってしまいましたが、それでもどうにかしてギャラリーにたどり着きました。

ギャラリーの外観
ギャラリーの外観

このギャラリーの中は、一階と二階が展示スペースになっています。

一階にはカフェも併設されており、そこではコーヒーなどを飲みながら、ゆっくり作品を見ることができます。

一階に展示されていたイラストは、バラが中心になっていました。
どの作品も、とても細かく丁寧に描かれています。

しばらくすると、日デの講師だった片桐先生が現れました。
先生と話をするのは久しぶりでしたが、とても気さくに話しかけてくれました。

それから、二階に移動して別の展示物を見てみます。

二階には、それぞれの出展者が描きたいモチーフの植物が展示されていました。

二階の展示
二階の展示

松井先生の絵は、一階に置かれていたものもの含めると4~5点ありました。

二つの展示会を掛け持ちしていたのに、これだけの量の絵を描かれるなんて、どれだけ手が早いのですか…。

しばらく作品を見ていると、そこに片桐先生が現れました。

彼女は、絵の解説やサークルの活動内容について話してくれました。

「参加してみるのはどう?遊びに来るだけでもいいんですけど」

片桐先生はそう誘ってくれましたが、今のところまだ参加するつもりはありません。

なぜなら、今はセツで「自由な絵の描きかた」を学んでいるので、このような精密画とは、今は目指している方向性が違うのですよね…。

もちろん、図鑑に載るような精密な絵も、素晴らしいことは十分に承知なのですが。

いずれ僕が「植物画を描きたい!」と思ったら、参加してみることにします。

しばらくすると、そこに中年の男性のKさんと、若い女性のOさんが現れました。

二人とも日デの卒業生で、僕とは初対面です。

Kさんは今、アクセサリーを販売しているそうです。

もともとグラフィックデザインを10年やっていたのですが、結婚をしてからはアクセサリーの販売に切り替えたそうです。

Oさんは今年初めて参加する人で、チューリップを描いていました。

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というわけで、この日はアート関係の展示をいろいろ見てきました。

最近はあまり大きな絵を描く気がしないので、しばらくは見るのが中心になるかもしれません。

Keisuke

「第9回えほん大賞」に応募しました

今年の9月上旬から10月中旬にかけて、僕はグループ展の準備と平行して、絵本作りも進めていました。

まだ審査結果が出ていないので、絵や文章については載せられません。

ですが、直接関わりのない事柄や、さわりの部分だけだったら大丈夫かなと思って、その記事を書くすることにします。

今回応募したのは、文芸社様が主宰する「第9回えほん大賞」という公募です。

この告知を新聞の広告で見たのは、今年の9月の上旬でした。

実は、僕は10年ほど前からずっと絵本を作りたいと思っていたのです。

なかなかその機会に恵まれなかったのですが、ちょうどいいタイミングで募集が掛かったので、せっかくだから応募してみることにしました。

タイトルは、「けいくんと うちゅうじん ピロン」といいます。

「ある夜、星を眺めていたけいくんは、流れ星を見つけました。
 すると、その流れ星はどんどん大きくなってきて…」

というストーリーです(宇宙人も出てきます)。

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この絵本の元ネタは、5年ほど前に描いた漫画です。

僕は以前に、横浜の山手にある美術教室に通っていたことがあります。

そこには、画用紙をホッチキスで止めた手製の小冊子がいくつも置かれており、子供たちが自由に描くことができるようになっていました。

その作品が面白いと思ったので、僕も落描き程度の漫画を描き、その中にこっそり紛れ込ませておいたのです。

…と言っても、すぐに先生に見つかってしまったのですが。

後で聞くと、子供たちに意外と受けが良かったみたいです。

「宇宙人が登場するシーンでは、子供が『おもしろい!』って言ってたよ」と、先生に教えられました。

その後しばらくは、この作品自体のことを忘れていたのですが、今回絵本を作るに当たって何かいい素材を探していたときに、ふとこれを思い出ました。

セツの生徒にも見せたところ、なかなか評判が良かったので、「これはいけるかも?」と思って絵本にすることにしたのです。

絵本にするに当たっては、漫画用の絵を絵本用に一から描き直し、足りないシーンの分は新たに描き起こしました。

どんな絵を描けばいいか決まっているから、あとは描くだけじゃん!

…と、描き始める前までは高をくくっていたのですが、実際に描いてみると、そう上手くはいきませんでした。

絵本用の絵と漫画とでは紙のサイズが異なるし、表現も別物になってしまうからです。

そのことに遅ればせながら気付いたため、その間で四苦八苦していました。

例えば、次のような問題がありました。

「絵本の絵に吹き出しを描かなかった場合、その空いてしまった空間をどう処理するか?」

「『ババーン!』とか、『ドーン!』といった擬音語を、イラストの中で浮かないようにするためには、どうしたらいいか?」

などです。

描いていると本当に苦しくなりました。

「これはダメなんじゃないか」とか、「たいして面白くないんじゃないか」とか、ネガティブな感情が渦巻いていました。

それでも、深夜になるとある程度は捗ってきます。
そのまま描き続けていたのですが、今度は日中のセツの授業に出るのが辛くなってしまいました。

製作もその分遅れてしまったので、締め切り間際に追い込んで何とか間に合った感じでしたね…。

「ひょっとしたら面白いかも?」と思えたのは、最後の最後に印刷して読み終えたあとです。

最後のほうはセツの同期の人に「頬がこけてますよ」と言われてしまいました。

実は、描きたくないときはゲームやインターネットばかりして夜更かしをするという、健康に良くない生活を送っていたせいでもありますが…。

また、完成間際に風邪を引いて、喉を痛めてしまいました。

締め切りの一日前(10月19日)に完成したファイルを郵便局に出しに行ったのですが、医者に薬を貰ったあと、バタッと倒れて三日間寝込んでいました。

セツの人物水彩の授業を休んだのもこのためです。

…というのは、少し大げさな表現なのですが。
まあ、それだけ大変だったということです。

製作途中で絵の感想を言ってくれたり、アドバイスをしていただいた皆さんには、本当に感謝をしています。

多分、一人きりで描いていたら完成できなかったと思います…。

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さて、この作品の元々のタイトルは「宇宙の果てからコニャニャチハ」でした。

もちろん「コニャニャチハ」は「天才バカボン」から取ったものです。

元の漫画の表紙
元の漫画の表紙

しかし、「さすがに勝手に使うのはちょっとまずいかなぁ」と思って、別のタイトル案も考えてみたのですが、どれもしっくりと来ませんでした。

そこで、セツの同期の人たちに相談したところ、セツの生徒の中に現役の漫画家がいることを教えられました。

(彼とは以前から面識があったのですが、漫画家だということは知らなかったのです!)

授業が終わった後で、僕は話を持ちかけました。

「何かいいタイトルはないですかねぇ」

「タイトルには固有名詞を入れたほうが、子供の食いつきが良くなりますよ」

「固有名詞ですか」

「例えば、藤子先生が描いた漫画の中に『※宇宙旅団』という作品があったのですが、このタイトルのときはあまり受けが良くなかったんです」

「ふむふむ」

「でも、あとで『ロケットくん』に改題したら、人気が出たということがありました」

「なるほど。確かに『ドラえもん』や『アンパンマン』も、固有名詞が入っていますね」

(※後で調べてみたら、正しくは「宇宙少年団」というタイトルでした)

というわけで、タイトルには「けいくん」という名前(これは自分の名前から取ったものです)と、宇宙人の名前(ピロン)を入れることにしました。

タイトルが「けいくんと うちゅうじん ピロン」に決まったのには、こういう経緯があったのです。

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僕が出来ることはやったので、あとは審査員次第ということになります。

でも、久々にやり切った感はありますね。
結果発表が12月の下旬なので、それまでは待つことになります。

少しでも賞に引っかかるといいのですけどね…。

どう思う?
どう思う?

Keisuke