先日、茨城の鹿嶋に一週間ほど行ってきました。
現在、鹿嶋には父親が住んでいるので、一週間ほど居候させてもらうことにしました。
そこを起点にして、いろいろな場所でスケッチをすることを考えていたからです。
/////////////////////////
初日は電車と高速バスで潮来(いたこ)まで向かって、父親の車で鹿島の家まで行きました。
本格的にスケッチを始めたのは二日目からです。
この日は千葉の佐原(さわら)に行きました。
なぜそこに向かったのかというと、この町には古い町並みが残されており、スケッチするのにぴったりだと思ったからです。
当日は朝早く出発し、鹿島臨海鉄道に乗りました。
この鉄道は第三セクターが経営する地方路線で、茨城の沿岸を走り、水戸から鹿島神宮までの駅をつないでいます。
鹿島神宮駅からJR鹿島線に乗り換えて、佐原駅まで向かいました。
北浦を鉄橋で渡るときは、まるで空を飛んでいるようです。
佐原駅も風情がありますね。
駅を降りて十五分ほど歩くと、町内を流れる小野川にぶつかりました。
古い建物は、この川沿いの道の両側に並んでいます。
この町並みは歴史的景観をよく残しており、それを生かしたまちづくりに取り組んでいるそうです。
平成8年には、関東で初めて「重要伝統的建造物群保存地区」に選ばれたのだとか。
江戸と同じく水上交通が発達し、当時は活気のある町であったことから、昔は佐原のことは「小江戸」とも呼ばれていました。
また、江戸時代に日本の精密な地図を作ったことでも知られる、伊能忠敬の出身地でもあります。
さて、僕は今までに一度だけ、この町を訪れたことがあります。
それは東日本大震災の半年後のことでした。
震災では、東北だけではなく茨城・千葉沿岸も大きな被害を受け、この町も例外ではありませんでした。
当時は屋根瓦が落ちてしまって、応急処置のためにビニールシートをかぶせた家も見かけられました。
また、川の土手や船着場はところどころ崩落しており、そこには入れないようにロープが張られていました。
しかし、震災から四年半が経過して、かなりの部分で復興が進んだようです。
少なくとも僕が見た限りでは、ほぼ元の姿の町並みを取り戻しており、ビニールシートをかぶせた家は見られませんでした。
(川の船着場は、未だところどころに入れない場所がありましたが)
以前に訪れたときには、写真を撮ったり簡単なメモ程度のスケッチをするだけでした。
しかし、その際にスケッチに良さそうな場所を見つけていたため、「いつかここで描きたいな」と考えていたのです。
僕は川沿いを歩いて、さっそくその場所に向かいました。
描こうと思っていた場所は、やや大きな船着場です。
ここは川の水面近くに降りられる階段があり、下まで降りると川の様子と古い町並みの両方を眺めることができます。
川の両岸には柳が植えられていて、それが良いアクセントになっています。
また、ここからは手すりが木でできた橋が見えました。
たまにその上を電車が走っていくように見えたのですが、実際にはその奥にもう一つ橋があり、電車はその橋を渡っていたようです。
僕はその場所で用具一式を広げて、描き始めました。
時間は朝の9時頃です。
ところが、問題点がありました。
それは、描いた場所が日向だったので非常に暑かったことです。
とはいえ、何も対策をしていなかったわけではありません。
来る前には、あらかじめ日向であることがわかっていたので、熱中症対策のグッズを三つ持ってきていました。
一つ目は、凍らせた保冷剤を専用のタオルに入れ、首の周りに巻きつけることができるものです。
しかし、いざ使おうとしてリュックから取り出すと、もう既に保冷剤のかなりの部分が溶けて、ぬるくなっていました。
ええいっ、この役立たずめ!
僕はそれを川の中に投げ入れようかと思いましたが、ぐっと我慢…。
二つ目は、氷を大量に入れた飲み物が入った魔法瓶です。
思ったよりもずっと長持ちしたため、氷は一日中残ったままでした。
三つ目は、凍ったチューブに入ったスポーツ飲料です。
来る途中にコンビニで買ったもので、溶けないようにタオルにくるんで持ち運ぶと、半日は持ちました。
さらに、つばの広い帽子をかぶり、日焼け止めも塗っていたので、対策はばっちりです。
…と思いましたが、それを上回るほどの熱気でした。
描いている途中に、ときどきふらっとしてしまいます。
こりゃたまらん!
近くには小さな公園があり、木陰にベンチが置かれていたので、たびたびそこで休憩しました。
それでも何とかして描いていると、たまに目の前を観光用の船が川を通っていくのが見えました。
僕の姿は船の上からだとかなり目立ってしまうようです。
数名の観光客は船から手を振ってくれたので、僕も振り返しました。
一隻の船には外国人の観光客が乗っていて、僕は英語で「やあ、あそこで絵を描いている人がいるぜ!」という言葉を耳にしました。
船が近づいてきたので彼らの顔を見ると、どうやらアジア系の人たちのようです。
彼らは僕に挨拶をしてくれたり、「すばらしいです!」と日本語で言ってくれたりしました。
絵を描いていると、日本人は「邪魔しちゃ悪いかな?」と思っているのか、あまり話しかけてくれないのですが、外国人は割と気軽に話しかけてくれるような気がします。
僕は気分転換にもなるし、話しかけてくれるほうが好きなんですけどね。
水分は多めに持っていったのですが、それでも足りなくなってしまったため、途中でコンビニに寄って買い足しました。
店内はクーラーが効いていたので、外に出るのがためらわれて、ついつい長居してしまいました。
そんなことをしながらスケッチを続けていました。
川の水面の映り込みをどうにかしてうまく描けないかと思って、四苦八苦していましたが、かなり難しかったです。
(技術のある人の絵をみると、本当にはっとするほど上手なのですよ…)
/////////////////////////
結局、午後2時半頃まで描いていましたが、あまりにも暑すぎたので集中力が続かなくなってしまいました。
さすがにもうこれ以上描くのは嫌になったため、スケッチを終了させることにしました。
完成した絵は、色も気に入っているし悪くはないのですが、何かが足りないような気がします。
でも、何が足りないのか考えても、それが具体的に何を指すのかわかりませんでした。
がんばった水面の映り込みも、「う~ん、いまいち…」という感想です。
でも、これ以上描きこみをしても絵が汚くなるだけのような気がします。
結局、このくらいが今の自分の限界なのかもしれません。
(でも、後から写真で見ると、そんなに悪くないかもと思えてきましたが…)
僕はスケッチ用具を片付けると、次の電車までまだ時間があったため、町内を散策することにしました。
この町には伊能忠敬の出身地であるため、彼の生活していた旧宅が現在でも残されています。
内部は自由に見学ができるので、入ってみました。
庭には伊能忠敬の彫像と、「この一歩から」と書かれた碑文が置かれていました。
彼は商人の家で育ったそうですが、内部は思ったよりも普通の古民家という感じでしたね。
また、その向かい側には「伊能忠敬記念館」がありますが、当日は月曜日だったため休館中でした。
(とは言っても、前に訪れたときに既に館内を見ていましたが)
記念館の前には樋橋(とよはし)という橋があります。
これは、水が橋の途中で川に落ちることから、通称ジャージャー橋とも呼ばれています。
ただし、落水は30分間隔であるため、僕はその様子を見ることができませんでした。
ちなみにこの佐原の古い町並みは、AKB48の「言い訳Maybe」の、プロモーションビデオの撮影のロケ地にもなっています。
その中で、彼女たちが自転車でこの橋を渡るシーンが撮影されています。
それから、冷たい甘酒が飲めるという店に向かいましたが、ここも休業日だったため、入り口が閉まっていました。
その際、近くの店でテレビ局の取材交渉のため、ディレクターらしき人が店の人に挨拶をしていました。
この町はよく映画や時代劇のロケ地に使われるため、必然的にテレビにもよく映るのかもしれません。
それから、歩いて駅まで向かいました。
帰りの電車には「ガールズ&パンツァー(通称・ガルパン)」という、アニメのラッピング広告が施されていました。
このアニメは大洗が舞台なのですが、よっぽど宣伝に力を入れているのでしょうか。
車内の様子もガルパン一色です。
オタクの人は喜びそうですが、高齢者の人は少し乗り辛いのでは?
そんなことを考えながら、この日は帰りました。
三日目に続く!
Keisuke
ケイスケさんこんばんは(^O^)/
佐原でスケッチされたのですね。
僕も3年前くらいに遊びに行って、良いところだなと思い、画像を見て懐かしくなりました。
素敵な水彩画ですね。
それも、5時間くらい暑い中、風景と格闘していたと思うと、すごいなと敬服しました。
風景写生もしなくてはと思うのですが、なかなか、足が向きません(-。-;
昨日、四ツ谷デッサン会に行ってきました。すごい盛況で猛者達がいっぱいいて、刺激になりました。
それと、セツ出身の田中チズコさんの個展に行ってきました。
ご本人がいて、色々お話してきました。皆さん色々紆余曲折しながら、頑張って書き続けているのだなと思い、僕も描かなきゃいけないなと思いました。
すいません長文になってしまいました。
最後に田中チズコさんのブログのurlを貼ります
http://tanakachizuko.blogspot.jp/?m=1
ではでは(^O^)/
>セツの赤メガネさん
こんにちは!コメントありがとうございます。
赤メガネさんも佐原に行かれたことがあるのですね。
三年前だとまだ震災の影響があったと思うのですが、どうだったでしょうか?
僕も良いところだと思っていたので、それが伝わっていれば嬉しいです。
当日は本当に暑かったんですよ~。
構図がいい場所よりも、快適に描ける環境のほうが重要だと思うようになりました。
田中チズコさんのサイトも見てみました。
軽いタッチのイラストで、なんだか見ていて楽しくなりますね。
ギャラリーの中では、「ラフレシアさんの肖像」が特に好きです。
Keisuke