先日、大雄山最乗寺(だいゆうざんさいじょうじ)に、スケッチをするため行ってきました。
最乗寺は、室町時代に創設された曹洞宗(そうとうしゅう)の寺院です。
神奈川県の南足柄市の山中にあり、曹洞宗の中では、福井県の永平寺、鶴見の総持寺に次いで、格式が高いと言われています。
創設したのは道了(どうりょう)という僧侶で、その名前を取って道了尊(どうりょうそん)とも呼ばれています。
また、ここは箱根の外輪山の一部である、明神ヶ岳(みょうじんがたけ)へのハイキングコースの入り口になっており、たくさんのハイカーたちがこの寺院を訪れます。
僕も明神ヶ岳には何度か登ったことがあるので、この寺院にもよく訪れていました。
そんな中で、「ああ、ここの参道の雰囲気がいいなぁ」と感じて、いつかスケッチをしたいと思っていました。
夏休み中にセツで三枚絵を描く課題を出されたこともあったため、その消化も兼ねて行ってみました。
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当日は朝早く起きて、東海道線に乗り、小田原駅で下車します。
そこで大雄山線に乗り換え、終点の大雄山駅まで行きます。
大雄山線はかなりマイナーな部類に入る路線であるため、神奈川県民でも知っている人は少ないかもしれません。
電車に20分ほど揺られると、大雄山駅に到着しました。
この駅は箱根の金時山が近いため、駅前には金太郎の彫刻が飾られています。
(行きは写真を撮り忘れていたため、帰りに撮りました)
ここからバスに乗り替え、最乗寺へと向かいました。
寺院を創設した道了は、寺の完成と同時に天狗になって山中に身を隠したという伝説があります。
それにちなんで、仁王門から境内の入り口までの3kmの道は「天狗の小径」と呼ばれており、樹齢450年~600年ほどの非常に大きな杉の木が立ち並んでいます。
確かに、この杉の間を天狗が飛び回っていても、全く違和感がないかもしれません。
また、この道に沿って一万株のアジサイも植えられていて、六月中旬から七月中旬にかけて見頃になるそうです。
この道は車道ですが、歩行者用の通路もあるため、歩いている人もたまに見かけます。
バスで「天狗の小径」を抜けると、道了尊という停留所に着きました。
ここが終点で、境内の入り口です。
ここにはお土産屋が並んでいましたが、まだ朝の9時前だったので、営業はしていなかったようです。
バス停からはすぐに境内に入ることが出来ますが、本堂までは参道をもう少し歩かないといけません。
参道の両側には、石碑がたくさん並べられていました。
そこには「○○さんが××円寄付した」ということが記されていました。
一つずつ見ていくと、明治時代の人が多いようです。
変わったところでは、「杉の苗を一万本寄付した」ということが記された石碑もありました。
天狗の伝説にちなんで、境内には多くの下駄が奉納されています。
下駄は左右一体そろって初めて役割を果たすため、縁結びの象徴になっているそうです。
その中でも、ハイキングコースへの入り口にある和合下駄(わごうげた)は、世界で一番大きな下駄として知られています。
それらを見ながら参道を抜けて、本堂に行ってお参りをしました。
家族の健康と同時に、「今日は上手く絵が描けますように!」とお願いしてきました。
それから、元来た道を行きつ戻りつして、スケッチに適した場所を探します。
30分ほど探したところで、「あ、なんとなくここがいいかな」という場所を見つけたので、用具一式を広げてスケッチを始めることにしました。
この場所はちょうど大きなカエデの木の下で、日陰になっていました。
参道が遠くに向かって一直線に伸びており、絵に奥行きも出せます。
僕は奥行きのある構図が好きなのです。
画板に白い紙を広げると、カエデの木漏れ日の影が紙に映り込んでいました。
これだけで絵になるような気がしました。
さて、今回は絵の具を厚く重ねるのではなく、薄く溶いた絵の具を何度も重ねる手法で描き始めてみました。
こちらのほうが、水彩絵の具が持っている色の鮮やかさが出せると思ったからです。
当日は非常に暑かったですが、近くには小川が流れていたので多少は涼しく感じられました。
しかし、少し歩き回ると、それだけで汗が吹き出してきます。
「虫が多いかな?」と思って、虫除けスプレーを事前に塗っていたのですが、あまり近寄ってくることはなかったので、ラッキーでした。
ただ、大きなアリが多く、ときどきパレットの上を我が物顔で歩き回っていましたが…。
描いていると、ときどき目の前をハイカーたちが横切っていくのが見えました。
でも、向こうは邪魔しちゃ悪いと思ったのか、あまり挨拶はされませんでした。
また、何度か遠くからほら貝の音が聞こえてきました。
修行している僧侶たちが使っているのかもしれません。
昼食はあらかじめおにぎりを買っていたのですが、途中で甘いものが食べたくなったため、お土産屋に立ち寄ってマカロンを購入しました。
これは卵白に砂糖を混ぜて泡立ててから焼いたお菓子です。
店のおばちゃんによると、このお菓子は近くの工場で作られているそうです。
でも、マカロンって本来は丸い形をしていなかったっけ?
そう思って後で調べてみると、これは「まころん」と呼ばれる、日本で独自で発達したお菓子のようですね。
(追記)
後で「まころん」をもう少し調べてみると、仙台の茶色いお菓子のようです。
当日買ったのは「メレンゲマカロン」というのが一番近いかもしれません。
スケッチしている場所に戻り、さっそく一口食べてみると…
…う、うまい!
食感は非常に軽く、一度食べ始めたら止まらなくなります。
シンプルなお菓子が、こんなに美味しいものだとは知りませんでした。
結局、一袋全部食べきってしまいましたよ。
そんなお菓子の力も借りながら、午後三時ごろまで描いていました。
セツで描くのが早い生徒は、一日に何枚も描くことができるのですが、僕はやっぱり一日に一枚が限界のようです。
しかし、とても鮮やかな色使いの絵になったため、気に入った出来になって嬉しかったです。
(もう少し、濃い色を乗せてもいいのかもしれませんが…)
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帰りにまた本堂に寄って、いい絵が描けたことに対するお礼を言いました。
バス停まで戻ると、まだ出発までに時間がありました。
先ほどマカロンを買ったお土産屋さんに再度立ち寄って、家族のお土産用にまた同じものを買いました。
(結局は、それも僕がほとんど食べてしまったのですけど・笑)
会計のときに、おばちゃんの店員に尋ねられました。
「今日はどちらまで行かれたのですか?」
おばちゃんは僕の重そうなリュックを見て、ハイカーだと思ったのでしょうか。
「実は、境内で絵を描いていたんですよ」と、僕。
僕が事前に撮っていた絵の写真を見せると、おばちゃんは「あら~素敵な絵ですね!」と褒めてくれました(笑)
ついでに名刺も渡しておきました。
店内で水を一杯頂いてから、バスと電車に乗って帰りました。
Keisuke