今年の9月上旬から10月中旬にかけて、僕はグループ展の準備と平行して、絵本作りも進めていました。
まだ審査結果が出ていないので、絵や文章については載せられません。
ですが、直接関わりのない事柄や、さわりの部分だけだったら大丈夫かなと思って、その記事を書くすることにします。
今回応募したのは、文芸社様が主宰する「第9回えほん大賞」という公募です。
この告知を新聞の広告で見たのは、今年の9月の上旬でした。
実は、僕は10年ほど前からずっと絵本を作りたいと思っていたのです。
なかなかその機会に恵まれなかったのですが、ちょうどいいタイミングで募集が掛かったので、せっかくだから応募してみることにしました。
タイトルは、「けいくんと うちゅうじん ピロン」といいます。
「ある夜、星を眺めていたけいくんは、流れ星を見つけました。
すると、その流れ星はどんどん大きくなってきて…」
というストーリーです(宇宙人も出てきます)。
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この絵本の元ネタは、5年ほど前に描いた漫画です。
僕は以前に、横浜の山手にある美術教室に通っていたことがあります。
そこには、画用紙をホッチキスで止めた手製の小冊子がいくつも置かれており、子供たちが自由に描くことができるようになっていました。
その作品が面白いと思ったので、僕も落描き程度の漫画を描き、その中にこっそり紛れ込ませておいたのです。
…と言っても、すぐに先生に見つかってしまったのですが。
後で聞くと、子供たちに意外と受けが良かったみたいです。
「宇宙人が登場するシーンでは、子供が『おもしろい!』って言ってたよ」と、先生に教えられました。
その後しばらくは、この作品自体のことを忘れていたのですが、今回絵本を作るに当たって何かいい素材を探していたときに、ふとこれを思い出ました。
セツの生徒にも見せたところ、なかなか評判が良かったので、「これはいけるかも?」と思って絵本にすることにしたのです。
絵本にするに当たっては、漫画用の絵を絵本用に一から描き直し、足りないシーンの分は新たに描き起こしました。
どんな絵を描けばいいか決まっているから、あとは描くだけじゃん!
…と、描き始める前までは高をくくっていたのですが、実際に描いてみると、そう上手くはいきませんでした。
絵本用の絵と漫画とでは紙のサイズが異なるし、表現も別物になってしまうからです。
そのことに遅ればせながら気付いたため、その間で四苦八苦していました。
例えば、次のような問題がありました。
「絵本の絵に吹き出しを描かなかった場合、その空いてしまった空間をどう処理するか?」
「『ババーン!』とか、『ドーン!』といった擬音語を、イラストの中で浮かないようにするためには、どうしたらいいか?」
などです。
描いていると本当に苦しくなりました。
「これはダメなんじゃないか」とか、「たいして面白くないんじゃないか」とか、ネガティブな感情が渦巻いていました。
それでも、深夜になるとある程度は捗ってきます。
そのまま描き続けていたのですが、今度は日中のセツの授業に出るのが辛くなってしまいました。
製作もその分遅れてしまったので、締め切り間際に追い込んで何とか間に合った感じでしたね…。
「ひょっとしたら面白いかも?」と思えたのは、最後の最後に印刷して読み終えたあとです。
最後のほうはセツの同期の人に「頬がこけてますよ」と言われてしまいました。
実は、描きたくないときはゲームやインターネットばかりして夜更かしをするという、健康に良くない生活を送っていたせいでもありますが…。
また、完成間際に風邪を引いて、喉を痛めてしまいました。
締め切りの一日前(10月19日)に完成したファイルを郵便局に出しに行ったのですが、医者に薬を貰ったあと、バタッと倒れて三日間寝込んでいました。
セツの人物水彩の授業を休んだのもこのためです。
…というのは、少し大げさな表現なのですが。
まあ、それだけ大変だったということです。
製作途中で絵の感想を言ってくれたり、アドバイスをしていただいた皆さんには、本当に感謝をしています。
多分、一人きりで描いていたら完成できなかったと思います…。
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さて、この作品の元々のタイトルは「宇宙の果てからコニャニャチハ」でした。
もちろん「コニャニャチハ」は「天才バカボン」から取ったものです。
しかし、「さすがに勝手に使うのはちょっとまずいかなぁ」と思って、別のタイトル案も考えてみたのですが、どれもしっくりと来ませんでした。
そこで、セツの同期の人たちに相談したところ、セツの生徒の中に現役の漫画家がいることを教えられました。
(彼とは以前から面識があったのですが、漫画家だということは知らなかったのです!)
授業が終わった後で、僕は話を持ちかけました。
「何かいいタイトルはないですかねぇ」
「タイトルには固有名詞を入れたほうが、子供の食いつきが良くなりますよ」
「固有名詞ですか」
「例えば、藤子先生が描いた漫画の中に『※宇宙旅団』という作品があったのですが、このタイトルのときはあまり受けが良くなかったんです」
「ふむふむ」
「でも、あとで『ロケットくん』に改題したら、人気が出たということがありました」
「なるほど。確かに『ドラえもん』や『アンパンマン』も、固有名詞が入っていますね」
(※後で調べてみたら、正しくは「宇宙少年団」というタイトルでした)
というわけで、タイトルには「けいくん」という名前(これは自分の名前から取ったものです)と、宇宙人の名前(ピロン)を入れることにしました。
タイトルが「けいくんと うちゅうじん ピロン」に決まったのには、こういう経緯があったのです。
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僕が出来ることはやったので、あとは審査員次第ということになります。
でも、久々にやり切った感はありますね。
結果発表が12月の下旬なので、それまでは待つことになります。
少しでも賞に引っかかるといいのですけどね…。
Keisuke