6月12日(木) サンティアゴ・デ・コンポステーラ~マドリッド(列車・地下鉄移動)

 6:30起床。朝食をとり、7:50頃アルベルゲを出発。
 サンティアゴの駅には8:10頃到着。立派な建物だ。ここから高速鉄道のレンフェが発着している。窓口で一応このチケットで列車に乗れるか確認し、OKをもらう。駅ではやっぱりサンドイッチ等の軽食を売っていた。昨日無理してパイを買わなくても良かったかも。

アルベルゲの廊下
アルベルゲの廊下
窓からの眺め
窓からの眺め
アルベルゲに別れを告げる
アルベルゲに別れを告げる
サンティアゴの駅舎
サンティアゴの駅舎

 まだ時間はあるのでキヨスクを見ていると数独の本を発見したのでお土産に買う。他にも村上春樹の「国境の南、太陽の西」のスペイン語訳の本や、「Nintendo」という名前の雑誌が売られていた。雑誌ではマリオカートの特集が組まれており、日本人のインタビューがスペイン語で載っていた。近いうちに新作が出るらしい。
 しばらくすると列車の到着ホームを知らせるアナウンスがあり、電光掲示板にも表示されたので、待合室からそれに乗る客がぞろぞろと移動を始めた(そのアナウンスがあるまではどこのホームに到着するかわからない)。
 途中地下の通路でチケットを確認するところがあり、僕は日本で印刷しておいた紙を渡した。駅員はそのQRコードを専用の機械で読み取っていた。行きは普通のチケットだったので、こういうシステムなのかと初めて理解した。
 階段を登って駅のホームに到着。9:00頃レンフェの列車が到着したので乗り込み、しばらくしてから出発。バイバイ、ガリシア。

駅のホーム
駅のホーム
レンフェが到着
レンフェが到着

 僕が苦労して歩いた道のりでも、特急だとあっという間に過ぎ去ってしまう。車窓の景色は最初森の中だったが、次第に乾燥した大地に入る。その中にずらりと風力発電の風車が回っていた。外は良く晴れて日差しが強く、とても暑そうだった。帰りも行きと同じく窓際の席に座っていたので、ずっと車窓の景色を眺めていた。
 携帯をチェックすると、江川さんからメールが届いていた。彼は昨日無事に日本に着いたらしい。良かった。
 僕の一つ席をはさんだ前方にはカミーノを歩いた帰りであろうグループがいた。彼らは椅子を回転させて、向かい合わせになって4人で話したり、お菓子を食べたりしていたが、僕は彼らに話しかけることはしなかった。途中で昨日買ったパイを食べる。下にぽろぽろ落ちるので食べ方が難しかった。
 途中「メディナ・デル・カンポ」という駅でしばらく停車し、車内の電気が消された。カミーノを歩いたグループも「何が起こっているんだ」と疑問顔。しばらくしたらまた電気がついたが、列車はいきなり逆方向に向かって走り始めた。どうやらこっち方向がマドリッドになるらしい。

風車が回っている
風車が回っている
遠くには山脈が見える
遠くには山脈が見える

 15:00頃にマドリッドのチャマルティン駅に到着。時間があればマドリッドのプラド美術館にも寄りたかったが、そんな余裕はなさそうだったので、直接オスタルがあるバラハス駅へと向かうことにした。来たときとは逆のルートで地下鉄のホームに行く。券売機の使い方はまだわからなかったので女性の駅員さんに尋ねると、僕と一緒に操作してくれた。ついでに彼女はマドリッドの地下鉄の路線図を渡してくれた。
 一度乗ったことのある地下鉄だったので、帰りは乗り換えに苦労することもなく、割りとスムースに行くことができた。気持ちに多少余裕があったので、停車した駅の名前をチェックしてみた。来たときは気づかなかったが、途中には「サンティアゴ・ベルナベウ(ここにもサンティアゴ!)」という駅や、「コロンビア」という駅、「マル・デ・クリスタル(クリスタルの海)」という駅があった。「クリスタルの海」はかっこいい!でもマドリッドには海なんかどこにもないんだけどな。
 16:00頃バラハスの地下鉄駅に到着。構内から外に出ると、強い日差しが照りつけてきた。地図を頼りにしてオスタルまで歩いて向かい、15分くらいで着いた。ここは来るときにも泊まったオステルで、すでに日本で予約は取ってある。宿の人がいなかったのでしばらくロビーで待機。しばらくしたら戻ってきたので、一緒に待っていた女の子に続いてチェックイン。
 僕は来たときのようにチェックインでごたごたするのは嫌だったので、あらかじめ列車の車内でメモを書いていた。そのメモには英語とスペイン語で僕の名前と、「明日バラハス空港に行く。7:00のバスに乗る」ということが書かれていた。それを見た宿の女性は「どの空港のターミナルに行くの?」と確認し、僕がターミナル1に行くことを伝えると、「パーフェクト」とほめてくれた。
 部屋は一泊素泊まりで45ユーロ(約6300円)。アルベルゲに比べると目の飛び出るような値段だったが、これも仕方ないかな。部屋はシングルで予約していたはずだったが、ダブルのベッドが置かれていた。部屋の中にはエアコン、テレビ、冷蔵庫などがあった。
 僕はシャワーを浴び、一休みする。その後汚い格好で飛行機に乗るのもはばかられるので大洗濯をしようと思い、スペイン語で「洗濯機はどこですか?」と受付の人に聞いてみた。
 最初彼女はシャワーのことかと思ったのか、「デントロ、デントロ(中)」と言っていたが、部屋の中には見つからなかった。僕は一度部屋に戻り、洗濯物を持って再度受付に行き、「洗濯をしたいんですけど」と英語で伝えて、ポリ袋に入った洗濯物を見せた。すると彼女は「このオスタルにはないけれど、近くにコインランドリーがあるわ」と言って、そこまでの地図を書いてくれた。
 僕はお礼を言って、地図に描かれたランドリーに向かう。道の途中に「スクウェア」という四角を描いてくれたので、何のことかと思ったら、それは公園だった。中央には噴水があり、その周囲のベンチに腰掛けている人たちがいた。
 彼女は「Canal de Suez(スエズ運河)」という名前のランドリーだと書いてくれたが、実際に行ってみるとそんな標識は全然出てなかったような・・・。
 コインランドリーに入ってみると、地元ののおばちゃんが先に使っていたので、そのやり方を見ながら真似をする。洗濯機5ユーロ、乾燥機3ユーロ。結構高い。僕は洗濯物を洗濯機の中に放り込み、その中でぐるぐる回っているのを確認すると、終わるまで手持ち無沙汰なので、町の中をぶらぶらと散歩する。
 オスタルからコインランドリーまでの道の途中に、一軒の雑貨屋さんがあったので立ち寄ってみた。そこに絵柄がユニークなトランプがあったので、箱を開けて中を見ていると「ノー!」と店員に大声で怒られた。ごめんなさい。その代わりにそのトランプを購入した。
 時間になった頃合を見計らってコインランドリーに戻り、洗濯物を乾燥機に移しかえて、また町の中を散歩。乾燥も終わりそれらを持ち帰って宿に戻る。

ジム・カマエ(構え)
ジム・カマエ(構え)
公園の噴水
公園の噴水
雑貨屋の招き猫
雑貨屋の招き猫
コインランドリー
コインランドリー
スペインでも公文式
スペインでも公文式
今日はダブルベッド
今日はダブルベッド

 その後夕食をとろうとまた町の中に出かける。夕食はここでという2軒の店にあらかじめ目星をつけておいたが、「外のメニューを食べたいんですけど」と言っても、2軒とも断られてしまった。もしかしたら夕食のときはそのメニューを出してくれないのかもしれない。
 公園の近くのレストランのメニューは高いし、結局地下鉄のバラハス駅近くまで行くことにした。駅の向かい側の一軒のバルで食事をしようと思って店内に入る。しかしカウンターの向こうに書かれたメニューを指差しても、なぜかオーナーに断られてしまい、注文することができなかった。一体なぜなんだろう?と疑問に思った。
 店の男性のオーナーに「よしわかった。英語で説明する」と言われ、「ミート・オア・フィッシュ?」と聞いてきたので、僕は「フィッシュ」と頼んだら、彼は「カラマレス(イカ)はどうだ?」と言ってきた。僕は「イカは魚じゃねぇぇ!」と心の中で突っ込みを入れて、その提案を断ってしまった。それをカウンターの席で見ていた客に大笑いされる。彼の「ひゃっはっは」という笑い声は、僕を不快な気分にさせるのに十分だった。
 その後オーナーは「わかった、じゃあこれはどうだ?」とにカウンターの奥にあった鶏肉のトマトソース和えの料理を見せてくれた。僕は納得がいかないものの、それを食べることに了解してテーブルに着く。先ほど大笑いされた客に「君は中国人なの?」と聞かれたので、僕は少しむっとしながらも「日本人です」と答えた。しばらくするとパンと一緒にその料理が温まって出てきたので食べる。
 この一連のやり取りを考えると、それなりに英語が通じて、「日替わりメニュー」が用意されている巡礼者用のレストランは非常に良心的だったのかもしれない。これはカミーノの「外」に出てみて初めて気がついたことだった。料理を食べ終えたが、まだそれだけでは物足りなかった。でもなんだかイライラしたので5ユーロ払って店を出る。
 街頭のテレビでは闘牛の様子が映っていたので、しばし立ち止まって見入ってしまった。牛にはすでに何本かの槍が刺されていたが、それでも牛は闘牛士に向かって突進していた。江川さんが言っていたように、確かにこれはちょっと残酷かもしれない。その後フルーツ屋で果物を購入し、宿に戻って食べた。やっと満腹になった。
 その後明日の朝食を買うことにした。再度町の中に出かけて、スーパーと果物屋でパンと果物を購入。宿に戻り、明日の航空券の確認をして、荷物をまとめる。テレビをつけるとワールドカップの開幕のセレモニーの準備をしていたらしく、ブラジルのミュージシャンがステージで演奏している様子が映し出されていた。もうワールドカップが目前に迫っているのかもしれない。
 部屋の中は蒸し暑いのでクーラーを入れた。久しぶりに使う文明の利器だ。
 22:00頃就寝。

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