5月20日(火) マンシージャ・デ・ラス・ムラス(0.0km)

 体調は今日も良くなかったので、出発できずに宿のベッドで横になっていた。昨日貰ったオレンジ色の飲料と水を交互に飲みながら過ごす。
 9:30頃、アレックスさんが寝室に現れて、「今から料理を作るよ」とのこと。僕は彼に昨日医者に貰った「注意書き」を渡し、彼はそれを確認して英語で訳してくれた。そのとき僕は彼の言ったことをただ聞いていたけれど、あとでわからなくならないように、メモしておけばよかったかもしれない。
 僕はベッドから起きて、アレックスさんと一緒にキッチンに降りていった。彼はそこで「注意書き」の中に推奨するものの一つとして書かれていた、鶏肉と米のスープを作ってくれた。鶏肉は粉にした後ペーストにしてパスタのように固め、針金くらいの太さになったものを1センチくらいの細切れにしたものだ。どこかで見たことがあるなと思ったら、ラベ・デ・ラス・カルサーダスのアルベルゲで出されたスープに入っていたものだった。
 アレックスさんは完成したスープをお皿に盛り付けて「ゆっくりゆっくり食べなさい」と言ってくれた。久しぶりの食事だったが、あまり多くは食べられなかった。でも少しずつお腹が空いてきたことは実感できた。
 それから気になっていた宿泊費と医療費について彼に聞いてみると、「宿泊費は要らない。医療費も多分要らない。医療費は医者に聞いてみないとな」と言ってくれた。しかし結局医療費も請求されることはなかった。どうやらカミーノを歩いている人が病気や怪我になったりすると、医療機関では無料で診てくれるらしい。
 そのあとまたベッドに戻り、ひたすら横になっていた。僕はこのときに何を考えていたか、今は全然覚えていない。そこまで考えている余裕がなかったのだと思う。
 午後に昨日診察してくれた女性がやって来て、追加の粉末を渡してくれた。彼女は「明日行きたいのはわかるけれど、もう一日休みなさい。そうすれば体調は完璧になるわ」と言ってくれた。しかしそうすると出発は明後日になってしまう。全体的な計画も見直さないといけないかもしれない。この調子でフィステーラとムシアまで歩いていけるかなぁ。
 19:00頃にまたアレックスさんが寝室に来て、今から夕食を作るとのこと。「朝食べたものと同じだけどそれでいい?」と聞いてくれた。贅沢は言っていられないし、今はそのくらいしか食べられそうもないのでお願いした。作ってもらった料理は朝よりは多く食べられたので、だんだんと体調は良くなってきた感じはする。
 朝の時点での体調と比べると、熱は下がってきた感じだし、吐き気もあまりなくなってきた。ただし立ち上がると、ずきずきと両側のこめかみの辺りが痛かった。その後もひたすら横になっていた。

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