さて、今日こそ富良野に向かうのだ!
僕はそう思いながら、朝食をとって出発の準備をします。
宿を出て、歩いて千歳駅へと向かいます。
青春18きっぷを使うのを忘れないように…。
8時24分発の電車に乗り込み、9時頃に白石駅に到着しました。
そこで乗り換えて、岩見沢駅を目指します。
今日も晴れて、良い天気です。
岩見沢駅のホームには、大きな馬の像が置かれています。
その周囲には、ボーイスカウトの格好をした少年たちが集まり、騒がしく話をしていました。
次の電車までは一時間待ちだったので、僕はホームで駅名表示の看板の絵を描きました。
ワンマン運転の一両の電車に乗り、旭川駅へと向かいます。
車窓からは、北海道らしい雄大な平野や大きな山脈が見えました。
電車内には「乗り鉄」「撮り鉄」と呼ばれる人たちがいました。
彼らはあらゆる路線を乗り、列車や駅舎の写真を撮ることに人一倍情熱を燃やしています。
彼らは電車が駅で数分待つたびに、ぞろぞろと降りていき、駅舎や通過する特急列車の写真を撮っていました。
せっかくなので、僕も彼らに倣って下車し、駅舎の写真を撮りました。
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電車は昼過ぎに旭川駅に到着しました。
改札を出たところには大型のショッピングモールがあり、多くの人で賑わっています。
僕はここでラーメンを食べました。
次に、帽子が欲しかったので、サービスカウンターで洋服店の場所を聞きました。
ですが、どれも値段が高くデザインもいまいちです。
結局、そこでは買いませんでした。
電車の時刻に間に合うように、富良野線のホームへと戻ります。
そこには、すでに二両編成の電車が到着していました。
中に乗り込むと、席は乗客で埋まっていました。
僕が驚かされたのは、車内の外国人観光客の多さです。
特に中国人が多く、彼らは母国語で何か話しています。
ここは本当に日本なのでしょうか。
僕は先頭車両の少し広くなったスペースに荷物を置きました。
しばらく待つと、電車は出発しました。
周囲には、広々とした畑が広がっています。
さて、富良野と一口で言っても、富良野市・上富良野町・中富良野町・南富良野町など、さまざまなエリアがあります。
僕が向かうのは、特にラベンダーが有名な中富良野町です。
中富良野駅で降り、構内でパンフレットを貰います。
それから、歩いて「ライダーハウスふくだめろん」に向かいました。
思ったよりも距離があり、日差しも強いので汗がだらだらと流れてきます。
途中で富良野川に架かる振縫橋(ふりぬいばし)を渡りました。
さらに歩くと、ようやく「ふくだめろん」の看板が見えてきました。
それに従って左折すると、メロンの販売所がありました。
ここでは、主にビニールハウスで収穫したメロンを直売しています。
店の前には木の椅子や机があり、ここで食べられるようになっているほか、発送も行っているそうです。
ライダーハウスは店に付随している格好です。
「すみません、ライダーハウスに泊まりたいのですが…」
僕がそう言うと、一人の店員の女性が案内してくれました。
宿泊場所は販売所の裏手にありました。
中は仕切りのない広い空間でした。
入って右側はテーブルが置かれた土間で、左側には畳が敷かれています。
トイレは離れた場所にあります。
おそらく汲み取り式ですが、中は綺麗で匂いもきつくありません。
「洗濯する場所はありますか?」と、僕は尋ねました。
「近場にはないんですよ。富良野駅まで行かないと。そこまで行けば、駅前にあるからすぐにわかるんですけど」
「そうなんですか…」
とりあえず、明日の分は大丈夫。
ですが、明後日は洗濯物を持って、富良野駅まで行く必要がありそうです。
「ところで、宿泊客はメロンを半玉サービスで食べられるんですよ」
「えっ、本当ですか」
「今にしますか?それとも後にしますか?」
「うーん…では、少し後にします」
僕は部屋に入り、閉め切られていた窓を全開にしました。
少し休んでから、メロンを頂くことにしました。
メロンは半分に切られて皿の上に置かれいていました。
オレンジ色の果肉はとても甘く、これが無料で食べられるとは信じられません。
銀座で食べたら数千円はする代物でしょう。
しかも宿泊料は500円と、申し訳ないほどです。
まだ時間は早かったので、宿から歩いて「ファーム富田」に向かいました。
歩いている途中で、十勝連峰がくっきりと見えました。
ファーム富田はラベンダー畑が有名で、富良野といえばまず訪れる場所でしょう。
ほぼ観光地化されており、ここで撮られた写真はパンフレットの表紙やポスターなどにも使われています。
入場は無料です。
園内の畑では、青紫色の絨毯のようにラベンダーが一面に広がっていました。
ちょうど見頃を迎えていて、花の甘い匂いも漂ってきます。
園内は観光客で混雑しており、先ほどの電車内と同様に、中国人の姿が目に付きました。
この農園には、ラベンダー以外にもさまざまな花が植えられています。
展望台から眺めると、「彩りの丘」と呼ばれる畑が一望できました。
紫・ピンク・白・緑…色とりどりの花が、地上に虹を作っているようです。
しかし、そこには「人工的な美しさ」も感じられます。
僕は自然の野草の方が好きですね。
一通り園内の写真を撮ってから、ライダーハウスに戻ります。
今日の宿泊者は、僕を含めて四人でした。
ライダーたちが多く、必然的にバイクの話が中心になります。
絵を描いていると言っても、なかなか話が噛み合わないのが残念です。
このライダーハウスには風呂やシャワーがないので、近くの温泉に向かいました。
歩きだと20分ほどです。
ホテル「ラ・テール」内の「万華の湯」で、郊外型の大きなスーパーの横に併設されています。
とても立派な施設で、サービスも行き届いていました。
受付でバスタオルのレンタルすらありましたが、入浴料は980円と高めでした。
中はとても広く、さまざまな湯船がありました。
メインの大きな湯船から、真っ白いお湯の湯船、泡の出る湯船、五右衛門風呂風の湯船まで。
ホームページによると露天風呂もあるそうですが、僕は入らなかったなぁ…。
窓は全面ガラス張りになっており、そこからの景色も綺麗です。
(さすがに、外からは見られない構造になっていましたが)
ただ、僕は体が綺麗になれば十分でした。
こんなに立派な施設でなくてもいいのです。
その分、もっと値段が安ければ、言うことなしだったのですが。
そのあと、僕は近くのレストランで夕食をとり、歩いて宿まで戻りました。