7月25日(月) 富良野(ファーム富田)

この日は、昨日訪れたファーム富田で絵を描こうと決めていました。

僕は朝一番に起きると、外の木の椅子に座って総菜パンの朝食をとります。

朝食
朝食

ライダーハウスの中と外を何度も往復していると、まだ寝ていた男性に声をかけられました。

「兄さん、もっと静かに歩き」
「あ、すみません」

僕はできるだけ物音を立てず、静かに歩くようにしていました。
ですが、やはり気になってしまったようです。ごめんなさい。

ライダーハウスを出て富良野線の踏切を渡り、ファーム富田へ向かいました。

富良野線の電車

まずは、昨日も訪れた「彩りの畑」で写真を撮りました。

彩りの畑
彩りの畑

それから、僕は昨日訪れなかった「トラディショナルラベンダー畑」に向かいました。
園内には複数のラベンダー畑があり、ここは1958年に造られた、園内でもっとも歴史のある畑です。

そこには青紫色のラベンダーが、急斜面に沿って植えられていました。
まだ朝は早く、よほど気の早い観光客以外は誰もいません。

僕は坂道を登り、丘の頂上に向かいました。

丘の上から
丘の上から

頂上からは、北海道ならではの雄大な景色を眺めることができました。
遠くには十勝連峰と富良野の広々とした平野が見え、手前にはラベンダー畑が広がっています。
文句のないシチュエーションです。

ぜひここで描きたい!と思いました。
しかし、道幅が狭くイーゼルを立てて描くことができません。

僕は畑と林の間の道をうろうろしました。
すると、道が林側に少し出っ張り、そこだけ小さなスペースになっている場所を見つけました。
ここなら通る人の邪魔にならないでしょう。

僕はここにイーゼルを立てて描き始めました。

描いた場所
描いた場所

最近は、遠景の霞んだ部分に白の絵の具を混ぜる方法で描いています。
こちらの方が均一になりやすく、油絵風の厚塗りのタッチになり、後で修正が利きやすいのです。
白を混ぜずに透明感を生かす描き方もありますが、どちらが良いかは一長一短でしょう。

描き始めた頃は観光客がまばらでしたが、日が高くなると徐々に増えてきました。
やはり中国人が多く、観光客全体でも日本人と半々くらいの割合でしょうか。

団体客を乗せたバスはひっきりなしに到着し、ぞろぞろと降りてきます。
まるでどこから湧いたのか、と思うほどに。 

なぜこれほど中国人に人気があるのか、このとき僕は疑問でした。
後で調べたことによると、以前に中国のドラマで富良野と美瑛がロケ地になり、その影響で非常に有名になったそうです。

10年前に比べて、すっかり様変わりしてしまいました。
観光業が潤うのは良いことですが、マナーが悪くなることだけは避けて欲しいです。

彼らは、絵を描いている僕の写真を勝手に撮っていました。
気にしないことにしましたが、中国語でもいいから声をかけてくれると助かるのに、と思いました。

途中経過
途中経過

途中で丘を下り、昼食をとることにしました。
屋外のレストランもほぼ満席で、中国人たちのグループと相席になりました。

僕は「季節の野菜カレー」を注文しました。
やはり観光地だけあって、値段はやや高めに設定されています。

季節の野菜カレー
季節の野菜カレー

あまり具のないカレーに、焼かれたブロッコリーが三本入っていました。
味は悪くありませんが、若干量が物足りませんでした。

昼食を終え、元の場所に戻って作業を再開します。

中国人たちは、お互いに絵の感想らしきものを言い合い、ほぼ話しかけてくることはありません。

それに対して、日本人はときどき話かけてきました。
特に中高年のおじさん、おばさんが多かったです。
彼らの相手をしていると、少し疲れてしまいました。

そんな中、五歳くらいの男の子を連れた外国人の男性は、英語で話しかけてきました。

「写真を撮ってもいいですか?」
「どうぞ!」 
「(…ぱしゃ、ぱしゃ)…とても美しいです」
「実は、僕は十月に新宿で個展をするんですよ」
「それは素晴らしい!十月はちょっと見られないけど、あなたの絵はすごいよ」
「ありがとうございます!」

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ラベンダーは思ったよりも描くのが大変で、時間を食ってしまいました。
朝早くから描き始めましたが、完成したのは日が傾く頃でした。
ですが、時間をかけただけあって、自分でも満足のいく絵が描けたと思います。

完成した作品
完成した作品
完成した絵と風景
完成した絵と風景

荷物を片付け、最後に園内をぐるっと回ります。

デイリリー
デイリリー
キンギョソウ
キンギョソウ

宿に戻り、メロンをご馳走になりました(連泊客でも毎日用意してくれるのです)。
それから温泉に行き、夕食をとり、スーパーで帽子を買いました。

生姜焼き定食
生姜焼き定食

今日の宿泊客は7人で、やはりライダーが多かったです。
高齢の男性ライダーは、彼自身のことを教えてくれました。

「以前は飲食店を経営していたんだけど、今は引退して自由に過ごしているよ。
君とは同じフェリーに乗っていたが、そのときは声をかけられなかったんだ」

彼の年齢は僕が想像していたよりも、ずっと年上でした。

「その年齢でずいぶんお元気ですね」
「そんなことないよ。昔、心臓の手術を受けて、それからずっとペースメーカーを入れてるもん」

ですが、それを感じさせないほど健康的な人でした。

 

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