6月1日(日) トリアカステーラ~サリア(18.7km)

トリアカステーラ~サリア
トリアカステーラ~サリア

 今日から6月だ。朝6:20起床。なんだか寝坊してしまった。朝食(パン、バナナ、スモモ)を食べ、7:50頃出発。今日も良く晴れていた。
 今日はサリアという町まで行く予定だが、トリアカステーラからサリアまでは二つのルートがある。一つは山道を越えていくアップダウンの多いルート(18.7km)で、もう一つはサモスという町を経由するルート(25.1km)だ。後者のほうが前者よりも6.4km遠回りになる。しかしサモスの町には古い教会があり、雰囲気はロンセスバージェスに似ているようだ。建築に興味がある人はこちらのルートを選ぶことも多いという。僕はサリアに早めに到着してスケッチをしたいと考えていたので、前者のアップダウンの多い山道を選んだ。
 途中携帯とカメラの充電器がちゃんと入っているかどうか心配になって確認。良かった、ちゃんと入っていた。

早朝のアルベルゲ
早朝のアルベルゲ
お金を入れると動くのかな…
お金を入れると動くのかな…
分岐点では右の道を進む
分岐点では右の道を進む
山道を歩く
山道を歩く

 山道を歩いていると、日本語を喋っている二人のおばさんが僕の前を歩いていた。僕は追いついたときに「おはようございます、日本の方ですか?」と声をかけてみた。彼女たちは僕の姿を見て、「初めて日本の人に会いました」と驚いていた。
 彼女たちは「私たちはオ・セブレイロからスタートしたんです」と話してくれた。「今カミーノを歩くことが、日本でもちょっとしたブームになってきているんですよ。それで私たちも行ってみようと思ったんですけど、個人ツアーで申し込むと50万円近くしてしまうんです。それをスペイン人の友達に話したら、『それは高すぎる!僕がガイドしてあげるからおいで!安くしておいてあげるから』と言ってくれたので、今彼を含めた三人で歩いているんですよ」とのことだった。
 僕のほうが歩くのが早いので、一通り話した後に先に行くことにした。スペイン人のガイドは彼女たちの少し前を歩いていた。彼は少し日本語が話せるらしく、僕が先に行くときに「バイナラ!」と言ってくれた。「サヨナラ!」ではなく「バイナラ!」というところが面白くて、思わず笑ってしまった。

きりっとした表情
きりっとした表情
畑の中のカカシ
畑の中のカカシ
森の中を歩く
森の中を歩く
圧迫感があるなぁ
圧迫感があるなぁ
ちょ、近いって!
ちょ、近いって!
森のトンネル
森のトンネル

 10:50頃、フレラという町のバルで休憩。多くの巡礼者たちがそこで休んでいた。外の石組みの段差に腰掛けて、朝食のときに残ったパンを食べる。しかしただのパンだけというのは味気なかったので、バルの男性の店員にダメ元でジャムがないか聞いてみた。最初英語で聞いたら相手にわかってもらえなかったので、スペイン語で「メルメラーダ(ジャム)?」と聞いたら、彼は奥に引っ込んでいって、僕に小さなパック入りのジャムを渡してくれた。値段を聞いたら「ただであげる」とのこと。ありがとう!
 その後はいくつかの集落を通りながら、また山道を進む。牧場もたくさんあって、牛を飼っているところが多い。歩いていると、以前会った馬で移動している人が後ろからやってきて、僕を追い抜いていった。馬が通り過ぎると、一斉に柵の中の牧場の牛たちがそちらに向かって追いかけるのが面白かった。
 ガリシア州では小さな集落が道路に沿って点在しているのが特徴的だ。また、集落を通ると必ず放し飼いの犬に出会う。これは、牛を移動するときに追い立てるため犬が必要になるからなのかもしれない。

バルの前で休憩
バルの前で休憩
牛舎の中
牛舎の中
颯爽と走っていく
颯爽と走っていく
サリアの町が見えてきた
サリアの町が見えてきた

 12:40頃にサリアの町に到着。ここは人口13000人のそれなりに大きな町だ。階段を登り、公営のアルベルゲにチェックインしようと思ったが、オープンの時間が13:00からだったので、まだ入り口の扉は閉まっていた。仕方がないので、それまで近くのバルで昼食をとり、時間を潰すことにした。
 僕はメニューの中からツナとトマトのボカディージョを頼んだ。しかし料理を運んできた店員は、なぜか僕を見つけられなかったらしく、しばらくしてから「ああ、こんなところにいたんだ」と言うように、ボカディージョを渡してくれた。しかもようやく運ばれたそれにはてっきりトマトが入っていると思ったら、具材はツナしか入っておらず、パンの表面にトマトソースが塗ってあるだけだった。注文するときに「コン・トマテ(トマト入り)?」と確認したのに、これは一体どういうことなのだろうかと、ちょっとだまされたような気分になった。
 食べ終えた後にもう一度メニューをよく見てみると、後ろのほうには野菜のボカディージョがあったので、そちらをを頼んだほうが断然良かったみたいだ。今度から注意しよう。

アルベルゲに続く階段を登る
アルベルゲに続く階段を登る
(トマトと)ツナのボカディージョ
(トマトと)ツナのボカディージョ

 その後アルベルゲのオープンの時間になったのでチェックインした。ベッドを確保し、シャワーを浴び、洗濯をして一眠りする。その後16:00頃から町に出て、時間があるのでどこかスケッチを描く場所がないかと探す。
 メインストリートはマヨール通りという名前で、ここは巡礼路の一部になっている。アルベルゲやレストラン、バルなどが軒を連ねていた。たくさんの巡礼者たちが道端やバルの屋外の椅子に座りながら話をしていた。僕も道端で韓国から来たという夫妻と話をした。

マヨール通り
マヨール通り
サンタ・マリーニャ教会の壁画
サンタ・マリーニャ教会の壁画

 ここに来て、ずいぶん巡礼者の数が多くなったことを感じさせられた。それには理由がある。前に書いたとおり、巡礼証明書をもらうためには徒歩で100km以上歩くことが必要になるのだが、ここサリアの町がサンティアゴまで残り114kmであるため、ここからスタートする人も多いからだ。
 僕はしばらくマヨール通りを行ったり来たりしてスケッチに良さそうな場所を探した。でも通りはどこも巡礼者でにぎやかで、なかなか腰をすえてスケッチする場所が見当たらなかった。地図を見ると「パーク・ド・ボスケ(森の公園)」というところがあったので、ここならスケッチに良さそうだと思ったけれど、僕が見た限りではそこはただの森だった。なおかつ公園の入り口がわからなかったので、中に入るのは諦めてしまった。
 その後もうろうろして、ようやくマヨール通りの中央付近に腰を下ろし、そこにある「サン・サルバドル教会」を描いたけれど、あまり納得のいく出来ではなかった。本当にスケッチにいい場所を見つけた場合、肩肘を張らずとも「すっ」と描くことができるんだけど、今日はそれができなかった。周りに巡礼者たちが多すぎて、あまり落ち着けなかったからかもしれない。結局色を塗らず、線画をスケッチしただけで終わってしまった。最近はこれだという絵がかけないので少し悲しくなってしまう。

サン・サルバドル教会
サン・サルバドル教会
教会のスケッチ(後日加筆あり)
教会のスケッチ(後日加筆あり)

 その後所持金が若干少なくなってきていたので、銀行を探してお金を下ろすことにした。カミーノのグッズを売っている店員に聞き、教えられたように大通りをずっと歩いてみた。しかし残念ながら見つけることができなかった。まだ一週間分くらいは大丈夫なので、お金を下ろすのはサンティアゴに着いてからでも遅くないくらいだけど、僕は心配性なので多少お金には余裕を持っておきたかった。しかしあまり持ちすぎてもそれはそれで危ないけれど。結局サリアの町には早く着いたけれど、ほとんどうろうろしているだけで時間を使ってしまい、あまり収穫がなかった。
 それからマヨール通りに戻り、商店に入り明日の朝食を買った後、7ユーロで巡礼者メニューを出している店があったので、中に入りそれを頼んだ。メニューはサラダ、フライドポテト、目玉焼き、リンゴだった。まあまあの味だったが、取り立ててこれと言った特徴もなかった。ここはあまり人気のない店だったのか、店内は閑散としていたので、今日も一人用のテーブルに座って黙々と食べた。テレビではバイクレースの放送をしていた。

夕食の目玉焼きとフライドポテト
夕食の目玉焼きとフライドポテト
サンタ・マリーニャ教会に立ち寄る
サンタ・マリーニャ教会に立ち寄る

 20:00頃アルベルゲに戻り、ダイニングで今後の計画を考える。僕はサンティアゴに着いた後、先にフィステーラに行ってからムシアに行こうと思っていたが、先にムシアに行ってから最後にフィステーラに行って、夕日を見るのもありかもしれない。ただし僕の持っていた英語のガイドブックには、サンティアゴからフィステーラまでの地図はあるものの、途中で分岐してムシアに行き、それからフィステーラに行くまでの地図は載っていなかった。そのため地図をどこかで入手しないといけないようだ。
 寝室に戻り、22:00就寝。

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