5月18日(日) カルサディージャ・デ・ロス・エルマニージョス~マンシージャ・デ・ラス・ムラス(24.5km)

カルサディージャ・デ・ロス・エルマニージョス~マンシージャ・デ・ラス・ムラス
カルサディージャ・デ・ロス・エルマニージョス~マンシージャ・デ・ラス・ムラス

 今日は明け方に目が覚めた後、いろいろ考えてしまってよく眠れなった。しかもみんな5:00頃に起きるので、僕も仕方なくその時間に起きる。
 朝食をとり、6:30出発。まだ外は薄暗かった。今日はまたおとといのように17kmほどバルや休憩所が無い道を歩く。今回も水をたくさん用意したのでリュックが重い。

早朝のアルベルゲ
早朝のアルベルゲ
飛行機雲
飛行機雲

 3.4kmほど舗装された道を歩き、その先は道が土になったので、またひたすら歩く。時々小川や用水路を横切るが、それ以外は景色がずっと同じような麦畑が続き、飽きてきてしまう。仕方が無いので、90年代の微妙な古さのヒットソング(ミスチル、スピッツ、マイリトルラバーなど)を口笛で吹き続ける。そうでもしないと単調で間が持たないからだ。周囲には歩いている人はあまりいなかったので、あまり人目を気にしないで済んだ。
 確かに景色は綺麗で、スペインらしさもある。でも仮に誰かに何百枚も同じような写真を見せられると、さすがに飽きてくるだろうなと思う。今の状況はその感覚に近いのではないだろうか。
 草むらの中に湿地帯があり、サギのような鳥が飛んできたので写真を撮った。

用水路の向こうから日が昇ってきた
用水路の向こうから日が昇ってきた
周りには何もない道
周りには何もない道
唐突にたたずむ石碑
唐突にたたずむ石碑
湿地帯にいた鳥
湿地帯にいた鳥

 10:40頃、ようやく17km先のレリエゴスの町に着いた。バルに入り、ボカディージョ・トルティージャとカフェ・コン・レチェを頼む。今日はトルティージャの中にポテトは入っていない、トルティージャ・フランセスというものを食べた。フランセスとは「フランス風」という意味だが、なぜプレーンオムレツを「フランス風」と言うのかという由来は知らない。

ようやく町が見えてきた
ようやく町が見えてきた
相変わらずのボカディージョ
相変わらずのボカディージョ

 町を出ると巡礼路は車道に沿って伸びていた。いつの間にか「トラナハの道」から「レアル・カミーノ・フランセスの道」に入ってしまったようだ。二つの道の合流地点のマンシージャ・デ・ラス・ムラスの町までもう少しだったので、そのまま進むことにした。両脇にはずっと菜の花が咲いていた。鉄塔が地平線の先まで続いていて、まるで巨人が行進しているようだった。
 途中で韓国人の夫妻を一緒になったので話をする。彼らは「日本人の女性と会ったよ」と言っていた。それがチカさんだったら、彼女はもうずいぶん先にいるようだ。どこで追い抜かれたんだろう。

車道沿いに進む
車道沿いに進む
地平線の先まで鉄塔がずらり
地平線の先まで鉄塔がずらり

 12:30頃、今日の目的地であるマンシージャ・デ・ラス・ムラスの町に到着した。町の入り口には、十字架の下で三体の巡礼者たちが休憩している彫刻があった。二体はリュックから食料を取り出していて、もう一体はうつぶせになって休んでいた。強い日差しを浴びて、みんなぐったりと疲れているように見えたのが印象的だった。
 それから古い城壁の間を通り、町の中心部へ向かう。

町の入り口の十字架
町の入り口の十字架
巡礼者の彫刻
巡礼者の彫刻
こっちはお疲れモード
こっちはお疲れモード
古い城壁の間を通る
古い城壁の間を通る

 公営のアルベルゲは大通りから一つ入った石畳の道に面している。最大76人宿泊可能な施設だ。アルベルゲに入り、チェックインを済ませる。今日はまだ時間が早かったので、先頭から12番目だった。ベッドは好きなところを選んでいいと言われたので、眠っているときに人の出入りが気にならないように、部屋の奥の下段のベッドを確保することにした。
 アルベルゲの構造は一階に受付やロビー、キッチンやダイニングがあり、二階が寝室で二段ベッドが並んでいた。一階から二階に向かう木の階段は、少し斜めになっていて歩きにくかった。
 それからシャワーを浴び、洗濯をする。中庭で休んでいると、一人のイタリアから来た男性が話しかけてきた。なぜカミーノを歩いているの?という話になり、僕が仕事を辞めてここに来たと言ったら、彼は「それは日本の経済が悪いのか?」と聞いてきた。いや、そういうわけではないのだけど。
 彼がそう聞いたのは、僕が仕事を辞めたということを「quit(やめる)」という単語ではなく、「lost(失う)」という単語を使っていたからかもしれない。でも自分の意思ではっきり辞めたわけではないので、「quit」という表現が正しいのかどうかはわからなかった。
 それから一休みして、その後商店で夕食の食材を買いに行ったり、教会に行ったりした。今日は日曜だったので、ミサはすでに日中に終わっていた。残念。
 今日も夕食は自炊することにした。キッチンが混雑していたので、空いた隙を見計らって、さっと作ることにする。いつも売っている野菜は一人分にとっては大きすぎるので、今日は野菜の缶詰を買ってきた。それをフライパンで炒め、トマトソースを和え、その中に別の鍋でゆでたパスタを入れて絡める。カットされてあらかじめトーストされたパンを袋から取り出し、一緒に並べた。
 自分でもなかなかの出来栄えだと思った。一緒にキッチンで料理していたイタリア人も、僕の作った料理を少し味見して、ほめてくれた。ついでに僕も彼が作ったパスタを少しご馳走になったが、僕の作ったものよりさらにおいしかった。彼の料理は少しピリ辛で、ニンニクが利いていた。やっぱり本場のイタリア人は違うなと思った。

町の黒猫
町の黒猫
おいしそうな夕食だけど…
おいしそうな夕食だけど…

 夕食の席でアイルランドから来ていた人と話す。ジャガイモをゆでた料理を作っていたので「これはアイルランド料理ですか?」と聞いたら「わからない・・・スペイン風かしら?」と言っていたので、どうやらそうではないようだった。
 21:30就寝。

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