5月1日(木) プエンテ・ラ・レイナ~エステージャ(21.9km)

プエンテ・ラ・レイナ~エステージャ
プエンテ・ラ・レイナ~エステージャ

 6:00起床。朝食をとり、7:00過ぎに出発。今日は21.9km先のエステージャという町に向かう。今日は曇っているが、雨の降る心配はなさそうだった。
 出発してからは思ったよりもアップダウンがあり、結構きつい。このあたり一帯はブドウ畑が広がっている。これらはスペインの特産品でも有名な赤ワインの原料になる。ブドウ畑といっても、日本で連想するような棚を使った背の高いブドウの木ではなく、背の低い木が一定間隔で生育しているような畑だ。その中の赤土の道を通っていく。

出発前のアルベルゲ
出発前のアルベルゲ
プエンテ・ラ・レイナの町を見下ろす
プエンテ・ラ・レイナの町を見下ろす
赤土の畑の中を通る
赤土の畑の中を通る
ブドウ畑
ブドウ畑

 途中でシラウキという町の中を通った。シラウキはまるで迷路のような町で、黄色い矢印にそってあちこち巡礼路は曲がりくねっている。途中で建物の一部が門のようになっており、その中を通るのが面白かった。町を出た先のブドウ畑の中に、なんと畑の模様が世界地図になっているところがあった。シラウキの学生達が2012年の地球環境デーを記念して作ったものらしい。

シラウキの町は目の前
シラウキの町は目の前
この下をくぐっていく
この下をくぐっていく
こんなところも巡礼路の一部
こんなところも巡礼路の一部
畑に作られた世界地図
畑に作られた世界地図

 そこからまた少し行ったところに非常に古い橋がある。これはなんとローマ時代に造られたもので、巡礼路はその中を通っていく。まだそんなに古い橋が現役で残っているのが驚きだ。
 歩いている途中、別の古い橋の近くでサン・ジャン・ピエ・ド・ポーで会った韓国人夫妻と再会した。いろいろと話をする途中で、彼らの名前を教えてもらった。男性はキムさんという名前で、女性の名前は申し訳ないが忘れてしまった。僕はキムさんとはよく話していたが、奥さんと話したのはこのときが初めてだった。彼女ははあまり英語が話せないのかもしれない。ちなみに韓国は夫婦別姓で、彼らも別々の姓を名乗っていた。

ローマ時代の橋
ローマ時代の橋
バラの花?
バラの花?
青い花
青い花
壁の落書き
壁の落書き
橋のたもとで一休み
橋のたもとで一休み
トンネルを抜けて
トンネルを抜けて

 それからしばらく歩いたところにあるロルカという町で休憩。バルとアルベルゲが一緒になっている建物に立ち寄って、昼食をとることにした。そこのおばちゃんに、「サンドイッチ食べない?私が作ったのよ。サラミと野菜とトマトがはさんであって、とてもおいしいわ」と英語で言われたので、それを注文してみた。店の奥のテーブルに座り、出てきたボカティージョを食べる。本当だ。めちゃおいしい。
 食べ終えた後、会計のときにバルのカウンターにあったバナナを一緒に買おうと思ったら、半分腐っていた。そのことをおばちゃんに言ったら半分に切って、腐っていない部分だけ僕に渡してくれた。ありがたいことに無料でサービスしてくれるらしい。支払いを終えた後、バルのおばちゃんは日本語で「おいしい(おいしかった?)」と聞いてきたので、僕が「ボナペティート」と言ったら喜んでいた(本当は僕の使い方は違うんだけど)。

民家の窓飾り
民家の窓飾り
昼食のボカティージョ
昼食のボカティージョ

 店を出てしばらく歩くと、だんだん晴れて暑くなってきた。麦畑の中に真っ赤なポピーの花が咲いていて、緑と赤の対比がとても印象的だった。
 途中の町の近くの川べりで地元の子供たちが手作りのブレスレッドを売っていた。子供たちに「どこから来たの?」と英語で聞かれたので「日本だよ」と答えると、「ブレスレッド買わない?50セントだよ」とブレスレッドを売ってきた。僕が買わないと断ると、「えー、50セントだよ!買わないのー?」と呆れられたので、「ごめん、お金がないんだ」と答えると、彼らはそれじゃ仕方ないなという顔をしていた。明らかにばればれの嘘だったんだけど、そのくらいは許してほしいな。

ポピーの花
ポピーの花
大きなポプラの木
大きなポプラの木

 エステージャの町の手前で教会の案内板を発見する。案内板はスペイン語で書かれていたので全く読めなかったが、近くにいた女性の巡礼者に英語でその内容を教えてもらった。彼女によると、その教会は11世紀に建てられたらしい。それほど遠くないので行ってみることにした。
 教会は巡礼路からはわき道にそれて5分ほど歩いたところにあった。ロマネスク様式の教会で、中には誰もおらずがらんとしていた。室内には正面に祭壇があるだけで、長椅子などは置かれていなかった。祭壇にはいろいろな言葉の文章が供えられていた。巡礼者の人たちが願いをこめて置いていったのだろうか。
 部屋の隅には石が一段出っ張っているところがあり、ちょうど腰をかけられるようになっていたので座ってみた。とても静かで落ち着く感覚だった。これは多分外国人がお寺に行ったときと同じような感覚なのかもしれない。はるか大昔から多くの人がここで祈りを捧げたんだろうな、と感じた。
 そこからしばらく下り道を歩くと、エステージャの町が見えてきた。エステージャはスペイン語で「星」という言葉が由来になっている。この町には、11世紀後半に羊飼いが流れ星に導かれ、この地で聖母マリア像を発見したという伝説があるそうだ。

ロマネスク様式の教会
ロマネスク様式の教会
町の入り口にある水道
町の入り口にある水道

 アルベルゲに着いたのが13:20頃。チェックインを済ませ、シャワーを浴び、洗濯をして一眠りする。洗濯物を干そうとテラスがある中庭に行くと、そこには天使や聖ヤコブ、エジプトのファラオや布袋様が一堂に会した壁画が描かれていた。いったい何なんだこれは。
 その後アルベルゲを出てエステージャの町を散策する。少し高台にあるサン・ミゲル教会というところに行ってみたが、入り口には鍵がかかっており、中に入ることはできなかった。仕方がないのでしばらく町の中を散歩する。町の入り口には聖墳墓教会があり、ファサード(建物の正面)には聖人たちが彫られていた。

アルベルゲの壁画
アルベルゲの壁画
聖墳墓教会のファサードを見上げる巡礼者
聖墳墓教会のファサードを見上げる巡礼者

 さらに散歩していると、町に入るときに渡ったエガ川の近くの公園に着いた。
 その公園は一面が芝生で敷き詰められており、川に面していくつかベンチが設置されていた。僕はそのうちのひとつのベンチに座り、川の様子をスケッチをした。川の向こう岸の建物は廃屋になっており、その屋根には大きな穴が空いていて、木の幹がそこから顔を出していた。もうずいぶん前に廃屋になったようだ。川ではカルガモが仲良く泳いでいたので、その場面もスケッチに付け加えることにした。

エガ川
エガ川
エガ川のスケッチ
エガ川のスケッチ

 18:30頃にまだ途中だけど風が冷たくなってきたので切り上げて、商店に立ち寄って明日の朝食を買う。その後レストランに入ろうとしたら、もうすでにすっかり酔っ払って、顔を真っ赤にした巡礼者のおじちゃんが握手をしてくれた。そうしたら「とても手が冷たいね」と言って抱きしめてくれた。
 レストランに入り、ドイツのトーステンさんという人と相席になったので話をする。彼は46歳で、鉄道の工事の仕事をしているらしい。僕がドイツで観光するならお勧めは?と聞いたところ、ドレスデンの町をお勧めされた。
 パンをおかわりしたら、もう1ユーロとられて、夕食は計12ユーロだった。少し損した気分。
 その後宿に戻り、22:00頃就寝。

←前の日(シスール・メノール~プエンテ・ラ・レイナ)
→次の日(エステージャ~ロス・アルコス)