今日も空は良く晴れています。
ですが、天気予報では午後から大雨に警戒とのことです。
それでも、昨日は一日持ったから大丈夫でしょう。
僕はそう思って、今日は「三愛の丘」で絵を描くことにしました。
僕は真鍋さんに挨拶をして、ついでに釧路の画材屋の情報を調べてもらいました。
市内に一軒あるそうなので、僕は釧路を訪れたらそちらに向かおうと決めました。
やはり、こういうときにスマホがないと困ってしまいます。
少なくともガラケーでは駄目ですね。
女の子は朝早くに出発し、カブの人も出かけて行きました。
僕は今日も自転車を借りて、三愛の丘に向かいました。
昨日行った「北西の丘」とは逆方向であるため、僕は南に向けて自転車を飛ばします。
ところが、地図を持っていたのに、途中で迷ってしまいました。
一体、ここはどこなのでしょう。
三愛の丘は、それほどメジャーな場所ではないため、道路に案内板などもありません。
僕は適当に見当を付け、自転車であちこち巡りました。
牛が放牧されている牧草地を抜け、ダムの近くを回りましたが、それでも場所がわかりません。
僕は諦めてライダーハウスに戻ろうとしました。
ですが、最後だと思って細い急な坂道を登っていくと、ようやく丘らしきものが見えてきました。
ここが三愛の丘のようです。
この丘の周囲は白樺の林になっていて、その間からなだらかな美瑛の丘が一望できました。
手前には、大根畑が広がっています。
比較的綺麗なトイレも近くにあります。
ここは知名度が低く訪れる人は少ないですが、穴場の良スポットでした。
それから、僕は丘の裏手に回ってみました。
そこにはレストランがあり、木で作られたベンチやブランコが置かれていました。
僕は丘が見渡せる場所に腰を下ろし、描き始めました。
まずは奥の遠景から、徐々に手前の近景へと描き進めていきます。
始めた当初は、清々しいほどの晴天でした。
しかし、そのうち急に雲行きが怪しくなってきて、これはまずいな…と思います。
予想通り、やはり雨が降り始めました。
僕は慌てて荷物をまとめ、トイレに一時避難します。
僕は、その場に居合わせたライダーの人と、丘の管理人(町の役場の人でしょうか)と一緒に、雨宿りをしました。
「この雨、すぐに止みますかねぇ」と、僕は管理人に尋ねました。
「天気は、西から東に変わっていくから、ここだと大雪山側のほうが悪くなりやすいんです。
西から来た湿った風が、山にぶつかり上昇して雨雲を作るんですよ。
この辺の天気は、とても変わりやすいですね。
でも、西の空は晴れているから、もうじき止むと思いますよ」
彼の言った通り、雨は15分ほどで止み、日差しがまた現れました。
ライダーはどこかに出かけ、管理人も車で戻っていきました。
僕もイーゼルを元の位置に戻し、作業を再開します。
昼ご飯を食べ、一休みしてから描き進めました。
ところが、また天気が悪くなってきました。
西の空は晴れているのに、東の空は真っ暗です。
遠くに稲妻の光るのが見え、雷鳴も聞こえてきました。
気温も低下し、冷たい風が吹いてきます。
これは、本格的にまずいかもしれません。
そう思った僕は、急いで絵を仕上げることにしました。
とりあえず、紙の白い部分に緑の絵の具を塗っておきます。
近景の大根畑をまだ全く描けていませんが、仕方ありません。
あとで時間があれば、続きを描こうと思いました。
何とか塗り終わったところで、勢いよく大粒の雨が降ってきました。
僕は慌てて、再度荷物をトイレに避難させます。
今度は、先ほどよりずっと激しい雨でした。
トイレの中にも吹き込んでくるので、奥の方に荷物を持っていきました。
しばらく待っていても、雨は弱まる気配がありませんでした。
僕は途方に暮れてしまいました。
一応、絵もこれで完成と言えなくもありません。
結局、僕はこれ以上ここで描くのを諦めて、宿に戻ることにしました。
荷物をまとめていると、雨は次第に小降りになり、最後には止みました。
これなら濡れずに帰れるかもしれません。
僕はリュックを背負うと、坂を自転車で駆け下り、宿まで戻りました。
一休みしたあと、自転車でセイコーマートまで出かけ、ラーメンを作りました。
木村さんにトウモロコシをもらったので、それも一緒に食べます。
今日、泊まるのは僕一人でした。
木村さんは「ずいぶん寂しくなったね」とのこと。
でも、僕はこの静かな雰囲気が好きです。
本来なら、明日は釧路に行く予定でした。
しかし、天気予報では、明後日まで不安定な天気が続くといいます。
僕はもう一泊、ここに泊まることに決めました。