朝6:00頃起床。一階のダイニングに下りていき、用意されていた朝食をとる。体調は良くなっているようで、今日からまた歩けそうだった。
出発前にキッチンにいた二人のオスピタレロに挨拶し、二日間ありがとうございましたということと、今日からまた歩き始めることを伝えた。彼らは別れ際に握手してくれた。寄付金を入れる箱に3日間分のお金を入れ、7:40頃にアルベルゲを出る。まだちょっと体調はだるいけれど、頭はすっきりしている。新鮮な気持ちで出発することが出来た。
今日も良く晴れて、暑くなりそうだ。いつもと同じように、麦畑の中の田舎道をひたすら進む。トサントスの町を出てしばらく歩くと、右手に昨日行ったビルヘン・デ・ラ・ペーニャ教会が見えた。ここからだと岩の中腹に教会が掘られているのがよくわかる。
9:30頃、ビジャフランカ・モンテス・デ・オカという町に到着。この町から先は山をひとつ越えることになり、山の向こうのサン・ファン・デ・オルテガという町まで12km補給がないので、商店に立ち寄って食料と水を買い求める。パンが品切れだったので、クラッカーを買った。
この町には巡礼路に面している公営のアルベルゲがある。その前にはベンチがあり、そこに座ってさっき買ったバナナを食べた。バナナの皮を捨てる場所がなかったので、ジップロックに入れてリュックに入れた。
その後オカという山越えに挑む。山なのにオカという名前なのが面白かった。しかし実際にはそんなヌルそうな名前とは異なり、登りの勾配は結構きつい。ここは昔巡礼路の難所のひとつだったらしい。体調とも相談しながら休憩を多めに入れることにした。
登りきった先から道は平坦になってきた。雪をかぶっている遠くの山々が見えて、とても見晴らしがとても良かった。しばらくは木陰の中を進んでいたが、両側がマツの木になったあたりから日陰がなくなってくる。暑い!
途中おじいさんが歩いているのを追い越したが、後姿の雰囲気で「あれ、もしかして?」と思って振り向きざまに声をかけてみると、まさに思った通りの人だった。それはサン・ジャン・ピエ・ド・ポーに行くときに会ったジョージさんだった。僕たちは「お久しぶり!」と挨拶をした。彼は僕に「体調はどうだ?どこか痛いところはない?」と聞いてきたので、僕は昨日まで風邪を引いて二日間宿で寝込んでいたことを伝えた。ジョージさんも膝とつま先が痛いけれど何とかここまで歩けたようだ。
ジョージさんと別れた後、峠を越えて12:30頃サン・フアン・デ・オルテガの町に到着。ここは人口が30人に満たない小さな町で、巡礼者の宿泊に特化している。アルベルゲやバルの前のベンチではたくさんの巡礼者が休んでいた。バルに立ち寄り、ボカティージョを食べる。
日本語のガイドブックによると、ここのアルベルゲは修道院に隣接しており、ミサの後にニンニクスープが振舞われるとのことだった。確かにそれも魅力的だったが、まだ時間はあるし、明日ブルゴスまで進んでおきたいと思ったので、ここから3.6km先のアヘスという町まで進むことにした。
森の中の道を下っていき、アヘスの町に着いたのが13:30頃。この町には4件ほどアルベルゲがあるのでどれにしようかと迷っていると、地元のおじいさんが話しかけてくれていろいろ教えてくれた。スペイン語だったので言葉がほとんどわからず、かろうじてわかったのが値段だけだったが、ムニシパル(公営)のアルベルゲの場所を指差してくれたので、そこに泊まることにした。
そのアルベルゲは一階がバルとレストラン、二階が宿泊場所になっているところだった。チェックインのときには、ドン・フライのような口ひげを生やした中年のおじさんが出迎えてくれた。彼はなぜかむすっとしていて、一通りアルベルゲの説明をすると、僕にビニールに入った薄手の使い捨てのシーツを渡してくれた。ここのアルベルゲでは一階のレストランで食事をとることもできたのでお願いした。一泊二食付きで22ユーロ(約3080円)。やっぱり昨日と比べると若干高い印象を受けた。
受付の横にはゴミ箱があったので、ジップロックからバナナの皮を取り出して捨てようとすると、おじさんに「そのままじゃダメ!ちゃんと袋に入れて」と言われたので、その場では捨てず、後で別の袋に入れて捨てた。ジップロックは石鹸で洗って再利用する。こちらでは貴重なものだからだ。
二階の宿泊場所は36人の巡礼者がひとつの大部屋で寝るようなところだった。二段ベッドが部屋の中にずらりと並べてある。ただ施設はそれほど古くなかった。僕は上段のベッドを確保し、先ほど貰った使い捨てシーツをベッドと枕にかぶせた。ベッドは楽だったが枕にシーツを通すことに苦戦していると、僕の下段のベッドを使っていた女性が手伝ってくれた。枕を欲に寝かせてシーツを通すのではなく、縦にして枕の重さを利用するように通すとすんなり入るらしい。
それからいつものようにシャワーを浴び、洗濯をして一眠りする。その後クラッカーを食べながら外のベンチで日記を書く。トサントスで休んでいたため、三日分たまっていたからだ。
それから町の中の散歩に出かける。アヘスは小さな町で、すぐにぐるっと回ることができた。町の外れに教会を発見し、入り口が開いていたので入ってみる。こじんまりとしていたが、中は綺麗だった。
その後アルベルゲに戻り、一階のレストランで夕食をとる。
僕が一人で食べていたら、途中から二人の巡礼者たちが声をかけてくれて、一緒のテーブルに座ってくれた。少し高齢の男性がイタリアのジョルジョさんで、若い男性がロシアのアンドレイさんという名前だった。アンドレイさんは今日30km歩いて、昨日は40km歩いたらしい。ものすごいハイペースだ。
夕食はおいしかった。アルベルゲの受付にいたおじさんがレストランも経営しているようで、レストランでは打って変わって非常に陽気な振る舞いをしていた。
夕食後、近くのベッドに寝ていた男性に話しかけられた。スペイン語だったのではっきりとはわからなかったが、どうやら「近くにコンセントがあるので、携帯電話があるならそこで充電してもいいよ」とのことのようだ。携帯電話は普段は電源を切っておき、必要なときだけ入れていたので、まだバッテリーは余裕があったが、デジカメのバッテリーが少なくなってきていたので、そこを利用してデジカメを充電することにした。
22:00就寝。