今日は釧路に滞在する最後の日です。
宿を出る前に、僕はおばちゃんに伝えました。
「すみません。今日はここで夕食を頂こうと思います」
「わかったわ。6時半からだから、遅れないようにね」
夕食は1800円(だったと思います)。
少し高いですが、それだけの価値はあると宿泊客から事前に聞いていたのです。
宿を出て幣舞橋を渡り、「出世坂」と呼ばれる階段を上ります。
階段を登り切り、幣舞公園に到着しました。
今日は遠出できないので、ここで描こうと決めていました。
この公園は高台にあるため、釧路の街や北大通りのラウンドアバウト交差点が見下ろせます。
公園の中央には天使の像があり、その周囲は花壇になっています。
地面には茶色の落ち葉が一面に広がり、木々が影を作っています。
取り立てて特徴はない小さな公園ですが、僕はこの場所が気に入ったのです。
僕はブランコの前にイーゼルを立て、描き始めました。
カモメが上昇気流に乗って、ゆったりと飛んでいます。
ああ、ここは港町なんだなぁ…と、改めて思いました。
途中で、女の子がブランコに乗っていたので、その様子も描き入れました。
気分転換に釧路の街を見下ろすと、今日も祭りが行われていました。
北大通りの幣舞橋付近では交通規制が行われ、音楽に合わせて踊っている人たちがいます。
今日が最終日のようです。
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絵は午後5時過ぎに完成しました。
荷物を片付けて、公園を後にします。
でも、最後だしちょっとだけ寄り道を…。
僕はそう思って、お祭りの写真や、幣舞橋の夕日の写真を撮りました。
2、3枚だけ取るつもりが、気付いたら十数枚…うむむ。
結局、宿に戻ったのは午後6時半を過ぎた頃でした。
「遅かったじゃない!」
そうおばちゃんに言われてしまいました。うう…ごめんなさい。
食堂には宿のご主人と、サイクリストの若い三人の男性がいました。
すでに彼らは食べ始めていたので、僕もさっそく席に着きます。
食堂の壁には、この宿を訪れた学生のサークルなどから送られた、たくさんの寄せ書きが飾られていました。
おばちゃんは次々と台所から料理を持ってきます。
僕たちの前には、食べきれないほどの海産物が並べられました。
刺身!カニ!ツブ貝(初めて食べました)!
どれも鮮度が高く、おいしかったです。
これで1800円とは、破格の値段です。
ご主人も「料亭で食べたら、これだけで7000円はするよ」と言っていました。
また、ご主人には「甲羅酒」というのを教えてもらいました。
カニの甲羅の部分に日本酒を注ぎ、少し温めてから飲むそうです。
「甲羅の横に溝があるでしょ?そこに口を付けて飲むの」
ご主人のレクチャー通りに、僕も飲んでみました。
カニみそと日本酒が溶け合ってうまい!
僕は満腹になり、幸せな気持ちでお風呂に入って、この日は就寝しました。