8月5日(金) 釧路(塘路湖)

今日は釧路湿原に行く予定です。

この日も5時に起き、駅まで歩いて6時2分発の電車に乗りました。

電車に乗る
電車に乗る

今日も霧が出ていましたが、予報ではこれから晴れてくるとのこと。

さて、今日は一昨日行った「釧路湿原駅」ではなく、その先の「塘路(とうろ)駅」で下車しました。

塘路駅
塘路駅

ここには「サルボ展望台」「サルルン展望台」という二つの展望台があり、どちらも眺めが良いと聞いていたからです。

観光案内所のおじさんは、サルルン展望台までは歩いて行けないと言っていました。
でも、とりあえず行けるところまで行ってみよう、と思います。

何もない釧路湿原駅とは違って、こちらの駅前は小さな集落になっていました。
広場では、地元の住人たちがラジオ体操をしています。

僕は駅のベンチで朝食をとり、まずはサルボ展望台へと向かいました。

幹線道路を少し歩くと、周囲は原生林が広がる森になりました。
川をカヌーで下っている人たちもいます。

幹線道路を歩く
幹線道路を歩く
カヌーを漕ぐ人たち
カヌーを漕ぐ人たち

蜘蛛の糸には朝露が付いていました。

蜘蛛の糸
蜘蛛の糸

30分ほど歩き、サルボ展望台へと至るサルボ歩道に到着しました。
ここからは山歩きです。

…ところが!遊歩道の途中で崖崩れが発生しており、この道は通れないとのこと。
そのため、迂回路を歩くことを余儀なくされました。

迂回路の入り口
迂回路の入り口

原生林の中を通り、ようやくサルボ展望台に着きました。

ところが、霧がかかっていて、あまり見栄えは良くありません。
徐々に晴れてきてはいるのですが。

サルボ展望台からの眺め
サルボ展望台からの眺め

僕はそこで、東京と横浜から来たという、若い二人の男性と話をしました。
それから、僕はその先にあるサルルン展望台へと足を運びました。

サルルン展望台へと至る道
サルルン展望台へと至る道

クマザサが生い茂る山道を歩き、15分ほどで木造の展望台に到着!

サルルン展望台
サルルン展望台

サルボ展望台と違って、こちらの眺めは圧巻の一言でした。
霧が晴れると、北海道の広々とした風景がこうも眺められるとは。

サルルン展望台からの眺め
サルルン展望台からの眺め

目の前には、緑の草原と木々がどこまでも広がっています。
その真ん中にぽっかりとサルルン沼があり、そこには緑色の藻が浮かんでいます。

ここまで足を運ぶ人は少ないのか、周囲には誰もいません。
そのおかげで、僕はこの景色を独り占めすることができました。
多分、この旅で一番印象に残った風景でしょう。

僕はここにイーゼルを下ろして描きたかったのですが、あいにく絵画用の水を用意していませんでした。
荷物の重量を減らすため、持ち歩いていなかったのです。

でも、この印象を記憶にとどめておきたい!
そう考えた僕は、絵の具が入った箱の裏にこの風景の絵を描くことにしました。
ペンでさっと描き、軽く色を付けただけでしたが。

絵の具箱の裏側に描いた絵
絵の具箱の裏側に描いた絵

僕は描き終えると、展望台をあとにしました。

さて、今日はどこで描こうか…と、山を下りて考えます。
しばらくうろうろした後に、「塘路湖」という場所に行ってみることにしました。

もともと、釧路湿原の一帯は大きな浅い湾でした。
しかし、寒冷化が進んだことによって海水面が下降し、約3000年前に湿原になりました。
塘路湖は、そのときの水が取り残されたものだと言われています。

駅方面まで一旦戻り、湖に繋がる遊歩道を歩きます。

この辺りは公園として整備されています。
パークゴルフ場や「塘路湖エコミュージアムセンター(あるこっと)」という施設が建てられていました。

塘路湖エコミュージアムセンター
塘路湖エコミュージアムセンター

湖のほとりには、レジャー用のボートが並べられています。
ここは木陰になっていて気持ち良さそうです。
僕はここで描くことに決め、イーゼルを立てて道具を広げました。

描いた場所
描いた場所

描いていると、一人のおじさんがやってきました。

「こんにちは。お上手ですね」
「ありがとうございます」
「私はそこのエコミュージアムセンターの職員なんです。絵を描いているところを写真に撮ってもいいですか?こんなことをしている人がいる、ということを紹介したいんです」
「いいですよ」

彼は僕の写真をカメラに収め、お礼を言いました。

撮ってもらった写真(後で渡されました)
撮ってもらった写真(後で渡されました)

「この辺は虫が多いので気をつけてくださいね。ブヨなんか、刺されると赤く腫れてしまうので」
「わかりました」

ブヨとは、蜂のように大きな虫です。
しかし、この日僕は虫除けスプレーを持ってきていませんでした。
注意しないといけないな、と思いました。

「ここは描いていて気持ちいい場所ですね」と、僕。
「その代わり、冬は大変ですけどね。マイナス20度くらいになることもざらだし」
「マイナス20度…どんな世界なんですか」
「寒いと言うよりも、痛いですね」
「へぇ~」

「それじゃお邪魔しました。時間があったら、エコミュージアムセンターにも寄ってください」
彼はそう言うと、施設の中に戻っていきました。

途中経過
途中経過

僕はしばらく描いたあと、お昼を食べました。
ところが、今日は5時起きだったため、ものすごく眠くなってしまいました。

でも、エコミュージアムセンター内で寝るのは、行儀が悪いなぁ…。
そう感じた僕は、パークゴルフ場の東屋に寝転んで一眠りすることにしました。
ここなら虫が来なさそうだと感じたからです。

東屋
東屋

30分ほど眠るとかなりすっきりしましたが、同時に腕が痒くなっていることに気付きました。

しまった!刺されてしまったか!
うーん、見通しが甘かったようです。

何の虫かはわかりませんが、このまま放置するのも良くありません。
僕は先ほどのエコミュージアムセンターの職員に助けを求めました。

「すみません。虫に刺されてしまったのですが、薬はありますか?」
「ちょっと待ってて」

彼はそう言うと、チューブに入ったムヒを取り出し、僕の腕に塗ってくれました。

「これでしばらくは大丈夫。気をつけたほうがいいよ」
「ありがとうございます」

僕はついでに、館内を見学することにしました。
そこには、釧路湿原の歴史や、そこで見られる動植物、バードカービングの作品などが展示されていました。

館内の様子
館内の様子
バードカービングの作品
バードカービングの作品

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絵は午後5時を過ぎた頃に完成しました。
風が吹いている湖面を描くのが難しかったのですが、そこそこ上手くいったかな、と思います。

完成した作品
完成した作品

完成間際に、ちょうど良いタイミングで、また先ほどの職員のおじさんが現れました。
完成したことを伝えると、彼は絵の写真を撮りました。

僕が荷物を片付けて立ち去るまで、おじさんは見守り続けてくれました。
歩いて塘路駅まで戻ります。

夕日と湖面
夕日と湖面
駅前のポニー
駅前のポニー

午後6時半に釧路行きの電車に乗りました。

電車に乗る
電車に乗る

釧路市内では、この日から三日間、大きな祭りが開かれています。
駅前ではパラソル付きのテーブルデッキが置かれ、多くの人がそこで食べています。

釧路駅の前
釧路駅の前

メインストリートの北大通りでは、大勢の若者たちが船の形をした山車(だし)を引いています。
音楽に合わせて踊っている人たちや、太鼓を叩くパフォーマーたちもいました。

花のアーチ(なんて言うんだろう…)
花のアーチ(なんて言うんだろう…)
音楽がかかるまでスタンバイ
音楽がかかるまでスタンバイ

僕はそれらを見ながら大通りを歩き、フィッシャーマンズワーフMOOに向かいました。
今日は、港の屋台の「藤」という定食屋に行き、焼き魚定食を注文しました。

焼き魚定食
焼き魚定食

宿に戻ったのが午後8時半過ぎ。
すっかり遅くなってしまいました。

 

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