この日は釧路湿原に向かいました。
僕は朝5時に起き、途中のコンビニで朝食と昼食を買ってから、駅へと向かいました。
目標は6時2分発の電車で、もし乗り過ごすと3時間待たないといけません。
僕は早足で歩き、無事に乗車成功!
まだこの時間は乗客がまばらです。
今日は、湿原の展望台で絵を描こうと思っていました。
ただ、今日は霧が出ていて、景色が見られるかどうか不安です。
数駅行ったところの釧路湿原駅で、僕は一人だけ降ります。
駅の周囲には何もなく、ここに車で来ることはできません。
駅舎はログハウス風の建物で、翼を広げたタンチョウをモチーフに設計されたのだとか。
ここには白黒の猫が一匹住み着いていました。
僕は駅から展望台までのトレッキングコースを歩きました。
目指すは「大展望が見られる」という触れ込みの、細岡展望台です。
駅から約500メートル歩き、いよいよ展望台に到着!
…ところが、景色は真っ白で何も見えません。
わずかに蛇行した釧路川が見えるかな?という程度です。
晴れていれば、遠くに阿寒の山々も見ることができるそうなのですが…。
霧の景色を描こうかとも考えましたが、あまり気が進みません。
結局、この展望台で描くのは諦めました。
湿原の他の場所も探しましたが、なんだかいまいち…。
僕は帰りたくなって、釧路駅に戻ることにしました。
偶然、ちょうどいい時間に電車が来ていたので、それに乗り込みます。
ばいばい、猫ちゃん。電車にひかれないようにね。
僕は釧路駅に戻り、港のほうに向かいました。
まだ8時半過ぎなので、描く時間も十分に残されています。
フィッシャーマンズワーフのMOOの横を通り、釧路川の河口付近に出ました。
ここには、水森かおりが歌った「釧路湿原」の歌碑が置かれています。
「川の蛇行する様子」と「あなたを失って迷っている気持ち」をうまく重ね合わせた歌詞です。
でも、後で曲を聴いてみると、くどく感じてしまいます。
もっとさらっと流した感じにできないかなぁ、と思いました。
ここの岸壁には、ランプをぶら下げた多くのイカ釣り漁船が係留されています。
船を描くのは難しそうですが、挑戦しがいがありそうです。
その中でも、僕はとりわけ大きな漁船(これはイカ釣り用ではないかも)を描くことにしました。
岸壁の近くにイーゼルを立て、荷物を広げて描き始めました。
空は霧がかかって見通しは悪く、海は鉛色で、8月だというのに少し肌寒いほどでした。
僕が心配していたのは、描いているうちに、この船がどこかに行ってしまわないかという点です。
しかし、わざわざ乗組員の人に声をかけるのも抵抗がありました。
すると、自転車に乗った外国人が、船の方から僕の近くにやってきました。
彼は乗組員でしょうか。
「すごく、上手」と、彼は片言の日本語で言いました。
「ありがとうございます!」
ちょうど良いチャンスだと思った僕は、この船が移動しないかどうか尋ねました。
でも、彼は答えずに、また自転車に乗って行ってしまいました。
聞き方が悪かったのか、質問の意味がわからなかったのか…。
まあ、移動したらそのときはそのときです。
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絵は午後3時半頃に完成しました。
結局、この日はずっと霧が出たままでした。
潮流の関係で、夏の釧路では霧の出ない日のほうが珍しいのだとか。
でも、周りがぼやけている分、船の迫力が出せたんじゃないかなと思います。
いったん、僕は銀鱗荘に戻りました。
すると、宿の前には、どこかで見たようなカブが置かれています。
部屋に入ると、やはりライダーハウス丘で会った、カブで旅行している人がいました。
彼は僕と別れてから納沙布岬に行き、今日ここに着いたそうです。
これから襟裳岬を回って、苫小牧まで行くのだとか。
それから僕は夕食をとるため、釧路港に面したフィッシャーマンズワーフMOOに行きました。
二階に上がり、「港の屋台」の扉を開けると、そこには10軒の屋台風の飲食店が並んでいます。
そこは多くの人でごった返していました。
僕は「ザンギの横綱」という店で、ザンギ定食を頼みました。
ザンギというのは釧路発祥の唐揚げで、かりっとした食感が人気です。
とてもおいしかったです。